◆明治安田生命J1リーグ 第31節 札幌1―2鹿島(29日・札幌ドーム)
首位の鹿島は後半2分にMF三竿健斗(21)のプロ初ゴールで先制し、同25分にエースFW金崎夢生(28)の決勝点で2―1で札幌に勝利。2位の川崎は劣悪なピッチ状態に苦しめられ、柏とドロー。勝ち点差は4に広がり、次節に鹿島が浦和戦(11月5日・カシマ)に勝利し、川崎がG大阪戦(11月18日・等々力)に敗れれば、鹿島の連覇が決まる。鹿島は2位以上が確定し、来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得した。
鹿島の底力だった。1―1で迎えた後半25分。DF山本からパスを受けたFW金崎が左サイドからゴールラインとほぼ平行にボールを運ぶ。角度がない中、最後は右足つま先でつつき、右サイドネットへ。スピードに乗った状態で195センチの相手GKクを前にし、ボール1個分の隙間を通した。エースは「(土居)聖真がよく走ってくれた」と起点となった相棒に感謝した。
前節・横浜M戦(21日)で敗れ、2位・川崎とは勝ち点差2に縮まった。さらに天皇杯準々決勝の神戸戦(25日)はPK戦で敗れ、公式戦2連敗。ミスからの失点に加え、判定ミスでゴールが取り消される不運も重なった。この日も先制したが追いつかれ、失速する材料がそろったかにみえたが19冠の鹿島は倒れなかった。
金崎はロッカールームで若手を見つけては「しゃべる時間があったら、シュート練習してこい」と尻をたたく。試合前の円陣でMF遠藤は、2連敗の原因を「気の緩み」とし「今日は90分、隙を絶対に見せないぞ」と求めた。試合中には羽田コーチが途中出場のFW鈴木にささやいた。神戸戦の敗因となった終盤のプレー選択。「時計を進める役割もあるぞ」
指示通りの働きを見せた鈴木は「ただでは負けないのが鹿島」と言った。勝利後のロッカールームには柏―川崎の中継がテレビに映されていたが、山藤崇ドクターが消した。どこからともなく「相手は関係ない」と漏れた。金崎が得点すれば、公式戦29試合連続不敗の記録を更新。次節にも優勝が決まる状況となったが、チームには「残り3試合勝つ」(DF昌子)という空気が流れていた。(内田 知宏)
【鹿島】金崎が決勝弾!11月18日にも優勝決定