12月8日に開幕するEAFF E-1サッカー選手権(旧・東アジアカップ)。Jリーグ勢が中心のチームでの参加となりそうな中で、伝統的に日本の「売り」であるMF陣に誰をチョイスするべきか。ハリルホジッチ監督は大会で単に勝つことよりもW杯に向けたテストを優先させるはず。その中で選ばれるべき選手は誰だろうか。
まず重要なのは、中盤は軸となるべき選手が抜ける中での選考となること。そして基本となる布陣が「1アンカー+2インサイドハーフ」の形になることは変わらないだろう。11月の欧州遠征メンバーからは大黒柱である長谷部誠(フランクフルト)が抜けることになるが、山口蛍(セレッソ大阪)と井手口陽介(ガンバ大阪)は招集可能だ。この二人をメインキャストにした編成になることは想像に難くない。
問題は「もう1枚」のセレクションだ。欧州遠征では長澤和輝(浦和レッズ)がベルギー戦で先発起用されて高評価を得たが、クラブW杯の出場権が確保されればそちらを優先する見通し。ブラジル戦で途中出場の遠藤航(浦和)も同様だ。また2試合ともに途中出場となった森岡亮太(ベフェレン)も今回は招集できない。過去何度も招集されている小林祐希(ヘーレンフェーン)も今回は呼べない。となると、インサイドハーフの最有力候補は欧州遠征にも7番を着けて帯同している倉田秋(G大阪)だろう。技術に加えて活動量もあるタイプで、ハリルホジッチ監督のスタイルにも適応しており、今回の主力候補だ。
もう一人、有力なのは高萩洋次郎(FC東京)か。欧州遠征メンバーからは漏れているが、貴重な長身のセントラルMFでもあり、テストの可能性は高い。アンカー役ではベテランの今野泰幸(G大阪)の名前も再び浮上してきそうだ。アジア最終予選では突然の招集ながらしっかり仕事をこなした男にはハリルホジッチ監督からのリスペクトもある。「今さらテストするまでもない」という判断もあるかもしれないが、長谷部不在の中で経験のある選手が欲しくなるのは自然な流れとも言える。また谷口彰悟(川崎フロンターレ)もセンターバックよりアンカーとして名前が挙がりそうだ。
ここまで未招集の選手の中からアンカー候補を推すなら、21歳の三竿健斗(鹿島アントラーズ)だ。181cmの長身で球際の“デュエル”でも存在感を出せるタイプで、鹿島加入後から着実な進歩も感じさせる成長株。また同じリオ五輪世代の原川力(サガン鳥栖)もJ1で初めてフルシーズンを戦う中で力を蓄えてきている上、さまざまな戦術に適応できるタイプでもあるため、候補になり得る。個人的には、中山雄太(柏レイソル)も中盤の底で候補になれるタレントと思うものの、クラブでセンターバックとしてプレーしている現状を思うと、少し厳しいか。冨安健洋(アビスパ福岡)も同様だ。
インサイドハーフの候補としては負傷から復帰した大島僚太(川崎F)を推したいところ。未招集組では、川辺駿(ジュビロ磐田)の名前がまず挙がりそうだ。インサイドハーフとしては未知数の部分も大きいが、センスのあるボールさばきに加えて、縦に飛び出していく力もあるだけに、可能性はある。同様に代表のシステムでは未知数ながら、三田啓貴(ベガルタ仙台)も面白い。元より「前に出て行ってナンボ」のパンチ力を備えたタイプであり、より生かされる可能性もある。
より守備に長じるタイプとしては、予選の予備登録メンバーに入っていた喜田拓也(横浜F・マリノス)も候補だろう。そしてもちろん、Jリーグでのプレーをフラットに観るなら、偉大なる重鎮、37歳の中村憲剛(川崎F)も候補リストに入ってくるべき男だ。
日本のストロングとなるべきポジションであり、海外組にも他に柴崎岳(ヘタフェ)がおり、候補には事欠かない。残り半年と時間がない上に、山口と井手口を招集できる今回に関しては、単に能力の高低というよりも、彼ら二人とフィットできるタイプかどうかも選考のポイントになりそうだ。
文=川端暁彦
【ハリルへの推薦状】E-1サッカー選手権で起用すべき注目の新戦力は?/MF篇