日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年4月29日日曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第11節(オフィシャル)




明治安田J1 第11節

鹿島、敵地で3失点。横浜FMに敗れる。

4月を締めくくる90分で、鹿島が大敗を喫した。日産スタジアムに乗り込んだJ1第11節、横浜F・マリノスとの対戦。鹿島は前半立ち上がりに先制点を許すと、直接FKで2失点目を喫する。2点ビハインドで迎えた後半も反撃できず、逆に3失点目を奪われた。0-3と敗れ、公式戦4試合勝ちなしとなった。

3日前、鹿島は悔しい夜を過ごすこととなった。J1第10節の神戸戦、結果は1-1。前半立ち上がりから主導権を握っていながら、一瞬の隙を突かれて先制を許すと、後半の早い段階で同点に追い付いたものの、逆転まではたどり着けなかった。聖地で逃した勝利、公式戦3試合勝ちなし。しかし、もがき苦しむ選手たちを迎えたのは大きなチームコールだった。ともに戦い続ける意志を叫び続ける背番号12に、内田が歩み寄る。「クラブハウスに貼られている横断幕のメッセージにもネガティブなものが一つもない。一緒に闘おうという思いが込められているから、頑張れる。一緒に乗り越えよう」。改めて、思いを一つに――。次なる戦いへの準備が始まった瞬間だった。

翌日のクラブハウス。選手たちはリカバリーメニューに取り組み、自身の状態を確かめた。見据える先は2日後、横浜での90分だ。神戸戦でピッチへの帰還を遂げた安西も、さらに状態を上げるべく精力的にトレーニングに打ち込んでいた。「スタメンを意識してやっていきたい」。途中出場で掴んだ手応え、そして何よりプレーする喜びが若武者の表情に滲み出ていた。

そして試合前日には、2日連続となるミーティングを敢行。わずかな準備期間で、トリコロールの戦術と警戒すべきポイントを全員で共有していく。そしてグラウンドではセットプレーを入念に確認。激しいマッチアップを繰り返し、動き方を何度も繰り返しながら集中力を高めていった。最終調整を終えた遠藤は「スタメン、サブ、スタッフ、サポーターが一緒に戦って勝ち点3を持ち帰りたい」と決意を述べて横浜へと向かった。

中2日で迎える一戦、先発変更は2名。安西が左サイドバックで先発復帰を遂げ、前線の一角にはペドロ ジュニオールが指名された。その他、ゴールマウスにクォン スンテ、最終ラインは安西のほか、犬飼と植田、内田が並ぶ。ボランチは三竿健斗とレオ シルバ、2列目には遠藤と鈴木。そして前線ではペドロとともに金崎がゴールを狙う。ベンチにはGKの曽ケ端、昌子、西、伊東、永木、中村、山口が座る。



横浜は朝から雲一つない青空に恵まれた。今節唯一のナイトゲームは、通算57回目を数える「オリジナル10」同士の激突だ。トリコロールが待ち受けるスタジアムに、アントラーズレッドの背番号12が続々と足を運んでいく。晴天の下、ビジタースタンドの待機列は時間を追うごとにボルテージを高めていった。

キックオフ前には暗転の演出が行われたが、トリコロールの奏と暗闇を切り裂くように、アントラーズレッドの歌声が響き渡っていた。そして灯がともったスタジアム。現れたのは、情熱に満ちたビジタースタンドだった。勝利だけを目指して戦う90分が、ついに始まった。

ファーストユニフォームを纏った選手たちは立ち上がりからゴールを目指し、相手の背後を狙い続けた。最終ラインを高い位置に保つ横浜FMの戦術に対して、金崎やペドロが果敢な飛び出しを繰り返して脅威を与えていく。最初の決定機は6分、金崎が右サイドのスペースを突いて縦へ突破。ペナルティーエリアに入ってマークを剥がし、右足を一閃。しかし、シュートは相手GKに阻まれてしまった。





すると、最初の歓喜はトリコロールのものだった。7分、右サイドからのクロスを植田がブロックしたものの、こぼれ球が背後へ浮き上がる。遠藤渓にヘディングで押し込まれ、ゴールネットを揺らされてしまった。

ビハインドを負った鹿島だが、選手たちは下を向くことなくゴールを狙い続けた。前節に続いてサイドハーフを務める鈴木がタッチライン際でのバトルを繰り返し、鋭いロングパスを遠藤に通して攻撃の起点となる。高い位置でのプレスも時間を追うごとに鋭く機能し始め、ショートカウンターを仕掛ける場面が目立つようになった。そして、この日2度目の決定機は16分。ハイプレスでボールを奪うと、金崎がペナルティーエリア手前まで突破。右側を並走したペドロに預け、ゴール前へ走り込んでリターンパスを受けた。右足での一撃が決まったかに見えたが、惜しくも結実せず。相手GKに阻まれてしまった。



横浜FMを押し込み続けていた鹿島。だが、痛恨の2失点目を喫してしまう。21分、ペナルティーエリア手前からのFKを天野に直接決められ、スコアは0-2に。アウェイで2点を追う展開となった。

鹿島は反撃に転じた。25分経過後は両サイドバックの内田と安西が高い位置でプレーする機会が増え、人数をかけて敵陣へ押し込んでいく。28分にはペナルティーエリア右側で内田と遠藤、金崎が絡んだ攻撃を敢行。クロスのこぼれ球を鈴木が左足ボレーで狙ったが、相手DFにブロックされてしまった。35分には金崎がペナルティーエリア左外で倒され、FKを獲得。自らの右足で直接狙うと、鋭いシュートが枠を捉えたが、相手GKに阻まれてしまった。



0-2。攻勢をかけ続けた鹿島だが、45分間でゴールネットを揺らすことはできなかった。ロッカールームへと引き揚げる選手たちにビジタースタンドが送り届けたのは「奇跡を起こせ」という叫びだった。そして15分後、再び戦いの舞台へと姿を現したアントラーズレッドに、大きな鼓舞の声が飛ぶ。



後半キックオフから20秒足らず。鹿島はいきなりチャンスを作り出した。鈴木が正確なサイドチェンジを敵陣右サイドへ通すと、内田のクロスに遠藤が飛び込む。しかし、ヘディングシュートはわずかに枠を越えてしまった。55分にもリスタートから内田がパスを受けてクロスを上げ、金崎が頭で狙ったものの、枠を捉えることはできなかった。





後半の立ち上がり15分で反撃のゴールを奪うことができず、以後は次第にオープンな展開へと推移していく。大岩監督は62分に伊東、64分には山口を投入。交代カードを切って打開を試みた。



しかし、次のスコアもホームチームのものだった。カウンターを受けて鹿島陣内左サイド深くまで進出されると、一時は突破を阻止したものの、セカンドボールを拾われて二次攻撃を受ける。最後は仲川の折り返しを中町に押し込まれた。









65分の失点で、ビハインドは3点に。鹿島は失点直後に西を投入した。67分には山口が強烈なミドルシュートを放ったが、相手GKの手を弾いたボールはクロスバーを直撃。以後も必死に反撃を狙ったが、人数をかけて守備を固めた相手を攻略できず、次第に運動量が落ちるにつれてプレーの精度を欠いていった。結局最後まで、ともに戦い続けたビジタースタンドを沸騰させることはできなかった。





0-3。屈辱的なスコアが刻まれた。次戦は4日後、長崎とのナイトゲームだ。5日の浦和戦、9日の上海上港戦と、ホームでの戦いが続いていく。ビジタースタンドはブーイングとチームコールで選手たちを見送った。その意味を受け止めて、這い上がるしかない。
【この試合のトピックス】
・安西が3月10日の第3節広島戦以来の先発出場を果たした。
・ペドロ ジュニオールが4月3日に行われたACLグループステージ第5節の上海申花戦以来の先発出場を果たした。J1での出場は3月31日の第5節札幌戦以来6試合ぶりだった。
・山口が途中出場。14日の第8節名古屋戦以来、J1では2試合目の出場を果たした。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・攻撃の時、ボールが深い位置に入ったら慌てないこと。
・もっと最後の精度にこだわっていこう。
・後半、リスクを負ってでも前からいき、まずは1点をとろう。

横浜F・マリノス:アンジェ ポステコグルー
・コンパクトな陣形をキープすること。
・しっかり繋いで突破すること。
・強いメンタリティーを持って後半に入ろう!

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
選手たちは90分、本当に戦ってくれたと思う。積極的に前へ行ってくれた。ただ、前半の失点が非常に痛かった。そこから自分たちが盛り返すことはできたが、最後の精度を欠いた。非常に多くのサポーターが来てくれた中、結果を出せずに残念に思う。

Q.ホームゲームでいい流れを作っても、アウェイでリズムが悪くなることが続いているが?

A.ホームとアウェイを問わず、我々の課題は試合への入り方や失点の仕方、タイミングという部分。アウェイでは受け身になってしまうのか、後ろに重心を置いてしまう傾向がある。いつも話はしているが、それを拭い切れていない、積極的に行き切れていないところが失点につながっていると思う。

Q.横浜FMは非常に攻撃的なチームで、対策がカギだったと思うが、2トップにどのような守備タスクを与えていたのか?それへの評価は?

A.相手のビルドアップは非常に特殊で、警戒していた。2トップには縦関係になりながら守備をしてサイドに追い込もうと指示をしていた。後ろがダブついてコンパクトになり切れなかった場面が何回かあった中でサイドを突かれて失点してしまい、残念に思う。2トップは守備のところで力を使ってくれていたので、攻撃に行くときのパワーが足りなかったと思う。最後の精度のところに影響してしまったかなと思う。

Q.勝ち点3をなかなか掴めない中で、修正点や課題を多々感じていると思うが、継続すべきことは?

A.積極的に前から守備をする形を採っていて、アグレッシブにサイドを使いながら前線に人数をかけるということをやってきている。それを続けることが大事だが、失点がかさんでいるので、しっかりと守備ブロックや自陣での守備組織をもう一度洗い直さないといけない。継続しなければいけないことと、守備の面でやり直さないといけないことがあると感じている。

Q.守備をやり直さないとという話があったが、どのような部分か?

A.アグレッシブに行く守備、自陣でコンパクトにする守備、いろいろとあると思うが、自陣での守備がうまくいっていないと思う。セットプレーも、セカンドボールも、インプレーもそう。チーム全体として連動してやっていくことを見直したい。


横浜F・マリノス:アンジェ ポステコグルー
選手たちとサポーターにとっては非常に嬉しい結果になったが、非常に難しい試合だった。ここ数試合と比べてなかなかコントロールができなかった。ただ、違ったことはチャンスで決めることができて、守備でもハードワークができたこと。ただ繰り返しにはなるが、難しい展開になってしまった。


選手コメント

[試合後]

【安西 幸輝】
優磨と左サイドを崩そうという話をしていたけど、足りない部分がたくさんあった。相手が全て上回っていたと思う。自分なりに100%を出したつもりだけど、キレやプレースピードをもっと上げないといけない。

【犬飼 智也】
立ち上がりが悪い試合が続いている中で、またやられてしまった。先制点の場面では、ボールへ行く選手がはっきりしていなかったことが問題だったと思う。ホームで勝てるように前を向かないといけない。

【内田 篤人】
先に取られたことが良くなかった。点を取れない時は守備をしっかりすることで、その中で決まることもある。2点を取られてからは後ろに下がらない気持ちを持って、健斗とナオにカバーするように話した。裏をやられる覚悟で攻めに行った。

【遠藤 康】
今は何を言っても言い訳にしかならない。一人ひとりが頑張ってやるしかない。前を向いて、監督、選手、スタッフ、サポーターを信じてやっていくしかない。


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