
日刊鹿島アントラーズニュース
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2018年10月12日金曜日
◆[MOM2637]市立船橋DF岸本駿朔(3年)_特別な相手との、特別な90分間。古巣対決で輝いたかつての“人柄・サイズ枠”(ゲキサカ)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第15節 鹿島ユース 1-2 市立船橋高 鹿島G]
首位を走る鹿島アントラーズユースを撃破した試合直後。相手の攻撃を跳ね返し続けた屈強なCBは、「いやあ、もうメッチャクチャ嬉しかったです、本当に。プレミアでは今までで一番嬉しかったです」と相好を崩す。市立船橋高でディフェンスリーダーを託された岸本駿朔(3年)の、前所属欄に記される“鹿島アントラーズつくばジュニアユース”の文字。特別な相手との、特別な90分間は、やはり思っていた以上に特別な時間だった。
鹿島ユースのホームに、市立船橋が乗り込んだ高円宮杯プレミアリーグEAST第15節。依然として残留争いの渦中にいるチームにとっては、アウェイゲームとはいえ、勝ち点3が是が非でも欲しいゲーム。かつてそのエンブレムを胸に戦っていた“古巣”との対戦でもあり、さらに前期はホームで敗れていることもプラスされ、岸本も「絶対に負けたくないという気持ちで」ピッチへ足を踏み入れる。
両チームの握手時に赤塚ミカエル(3年)の肩を叩く。ジュニアユース時代の同級生でもあり、「前期もそうだったので、今回もマッチアップだろうなと思っていた」相手のストライカー。「普通にそこは頑張ろうぜという感じ」で気合を入れ合ったが、開始4分でその元チームメイトにFKから先制ゴールを許してしまう。警戒していたセットプレーでの失点。早くもビハインドを背負う展開となる。
19分。岸本にイエローカードが提示される。ファウルで倒したのは、やはりジュニアユース時代のチームメイトに当たる佐々木翔悟(3年)。「あのシーンも熱くなり過ぎて、岡井に『冷静にやれ』って言われました」と苦笑する岸本の言葉を受け、「『気合が入り過ぎないように』というのは常に声を掛けていました」と岡井駿典(3年)。キャプテンの落ち着いたアドバイスもあり、少しずつ冷静さを取り戻すと、チームも35分に佐藤圭祐(3年)のゴールで同点に追い付いてみせる。
そして、自身のストロングを大いに発揮したのは44分。サインプレーを駆使した井上怜(3年)のCKはファーサイドへ。ここに走り込んでいた岸本が高い打点のヘディングで折り返すと、田谷澪斗(3年)のボレーはクロスバーを叩いてゴールへ弾み込む。「いつも紅白戦とか練習でもサインを変えながらやっていて、開幕戦もああいう形で点を取ったんですけど、アレはホントにメッチャ嬉しかったです」と笑顔の岸本。前半の内に市立船橋は逆転に成功した。
後半は耐える時間を強いられる。「声を掛け合えている時はみんな集中しているので、誰か一人ポツンと声を掛けないヤツがいたら、そいつに言っていたし、本当にみんなで声を掛け合っていました」と振り返る岸本、岡井、田谷の3バックを中心に、鹿島ユースの猛攻を凌ぎ続ける。とりわけ佐々木の左足は常に脅威をはらんでいたが、「ミーティングから7番の左足という話はあったし、アーリークロスも入ってくるのはわかっていたので、そこで自分がニアストーンになって跳ね返せれば、絶対にやられないというのはわかっていた」と、かつての同僚が振るう左足の高精度キックも、1つ1つ丁寧に跳ね返していく。
1点リードで迎えた後半45+3分。相手のシュートチャンスに体を投げだしたのは岸本。それからしばらくして、タイムアップのホイッスルが耳に届く。最後の最後で昇格が叶わなかった古巣撃破に、思わず雄叫びが天を衝く。朝岡隆蔵監督も「空中戦はほぼ勝ってたんじゃないかな。アシストもしているし、コーチングも良かったし、最後は『もっとラインコントロールしろよ』と思ったけど(笑)、それ以外は1対1もよく頑張ってたね」と一定の評価を口に。「コーナーキックのサインプレーで点にも絡んで勝てたというのは、相手のスタッフ陣や選手を少しは見返せたかなと思います」と話した岸本のリベンジは、ここに1つの決着を見た。
鹿島ユースは今シーズンのリーグ戦で2敗目となったが、前節までで唯一の白星を献上したのは流通経済大柏高。そのゲームでも鹿島アントラーズつくばジュニアユースでプレーしていたGKの猪瀬康介が大活躍を見せ、勝利に貢献していた。「流経の猪瀬とは本当に仲良くて、たまに連絡を取ったりしているんですけど、『アントラーズに負けたくないな』と言っていた中で、前期は自分たちが負けて、流経は勝ったのが本当に悔しくて、『今回は自分たちが勝ってやるぞ』という気持ちで臨んでいました」と明かした岸本。首位を独走する鹿島ユースが喫したたった2つの黒星に、猪瀬と岸本が大きく関わっていたのは偶然のいたずらだろうか。
もうすぐ3年間の集大成とも言うべき、選手権の時期が到来する。1年時はメンバー外だった岸本にとって、最初で最後となる大舞台は何が何でも立ちたいステージだ。「自分は去年の選手権も県の決勝で負けて、インターハイも初戦で負けていて、全国の舞台は今回の選手権が最後のチャンスなんです。そういう部分ではこの試合がキーポイントになると思っていて、それが自分の古巣だったので、今日は勝てて最高でしたけど、ここからが本当に大事かなと思います」。
今シーズンのプレミア開幕戦で、朝岡監督が話していた言葉が印象深い。「岸本は下手。不格好。ただ、マジメで頑張り屋。だから人柄なんです。ウチの“人柄・サイズ枠”という。彼がウチでこうやって去年の秋口からポジションを獲って、試合に出たというのは1つの成功例だし、僕も中学生を見る時の視点が変わるしね。彼の人柄と努力と、そういう部分でポジションを勝ち獲れたという所で、『頑張り屋さんは何とかなるな』と思わされました」。
かつての“人柄・サイズ枠”は、この8月にU-18日本代表に選出される選手へと変貌を遂げた。その伸び続ける成長曲線とたゆまぬ努力を携えている限り、岸本がこれから我々の想像を遥かに超えるディフェンダーへと階段を上っていったとしても、そこには少しの不思議もない。
(取材・文 土屋雅史)
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