鹿島の小泉文明社長(39)は24日、定時株主総会後のウェブ会見で、リーグ戦の無観客試合を想定した対策として、親会社メルカリが得意とするIT技術を駆使した複数のデジタル施策を導入していく方針を明らかにした。選手の好プレーに対する「投げ銭」をはじめ、選手が試合で使ったユニホームやスパイクの「クラウドファンディング」などを例に挙げて「無観客になっても、収入がゼロにならない仕組みを準備したい」と語った。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、Jリーグの全公式戦は2月下旬から中断。最短で6月に再開した場合でも、当面は無観客で開催する見通しとなっており、入場料収入、物販収入は見込めない。小泉社長は「(営業収入が)10億、20億円単位で落ち込む可能性がある」と指摘した。それでも、非常事態にあって、ただ手をこまねいているわけにはいかない。小泉社長は「スタジアムに来られなくても、同じような感動が得られるよう準備する必要がある」として、デジタル施策の重要性を強調。その1つが、選手のプレーに対しておひねりを投げ入れる「投げ銭」だ。
例えば、MF三竿が相手選手から巧みにボールを奪取した際、サイト上のボタンをクリックして、称賛のおひねりを「投げ銭」する。ルーキーの18歳MF荒木がゴールを決めれば、応援の気持ちを込めて「投げ銭」する。浸透すれば、新たなスポーツ文化、収入の柱になる可能性もある。このほか、クラウドファンディングや選手の動画や音声を届けるファンコミュニティーの活用、eコマースの強化にも着手していく考えだ。
小泉社長は「デジタル施策を矢継ぎ早にやらないと、ファンの心からJリーグがなくなってしまう恐れがある」と危機感を訴え、「感動するポイントとお金を払うポイントがうまく合うような形で設計したい。Jリーグ(全体)の参考になる施策を出していきたい」と強調した。 (松岡祐司)
◆J1鹿島 無観客試合 ITで盛り上げ 好プレーに“おひねり”を(中スポ)