9日、昌平高サッカー部Jリーグ入団内定選手合同記者会見が、埼玉県北葛飾郡杉戸町の昌平中学・高等学校で開催された。会見にはともに鹿島アントラーズ内定のMF須藤直輝主将(3年)とMF小川優介(3年)、アルビレックス新潟内定のFW小見洋太(3年)、福島ユナイテッドFC内定のMF柴圭汰(3年)のほか、学校関係者や加入内定チーム代表者が出席。4選手が将来の抱負などを語った。
須藤と小川を獲得した鹿島強化部の椎本邦一氏は、彼らが昨年や今年加入を決めた高校、大学出身選手たち同様に、海外移籍や引退した生え抜きの主力選手たちを引き継ぐ存在として期待。ともに小柄なプレーヤーだが、それぞれの持つ特長について高く評価する。
世代屈指のドリブラーである須藤については、「(全国的に)今、ドリブルできる選手が少ないと思います。ウチにいないタイプだと思う。そこが一番の魅力。あと賢いよね」。1年時から昌平の10番を背負い、日本高校選抜などに名を連ねてきた須藤についてはいち早くオファーを出し、その姿を追ってきた。須藤のテクニックとアイディアは異質。負けん気も非常に強く、勝負強さも備えている。“鹿島にいないタイプ”と評される須藤が、ドリブルで違いを生み出す選手になるか注目だ。
また、相手を見る目と技術力が持ち味の小川について、椎本氏は「教えられないものを持っている。イマジネーションとゲームを読む力。もちろん技術も持っている」とコメント。昨年12月のプリンスリーグ関東参入戦でチェックしてから、小川はどの試合も常に目に留まるような存在だったという。小柄で細身の小川については、当初は獲得オファーするまでに至っていなかったが、高い評価は変わらなかった。そして、9月に「(どの試合も)どうしても目についちゃう」「3年くらいプロでやったらどうなるかな」とオファーすることを決断。2人同時の獲得が決まった。
憧れの選手に元ブラジル代表FWロナウジーニョを挙げる須藤は「(鹿島は)プロ選手として成長するために一番良い環境だと思った。(若手の成長や選抜のチームメートがいることに加え)内田篤人さんが引退セレモニーの最後に『鹿島アントラーズは凄く成長しやすいところだ』と言っていたので、それが凄く心に響いて鹿島アントラーズに決めました。自分のドリブルからのチャンスメークやゴールで1年目から常勝軍団の鹿島アントラーズに貢献していきたい」と意気込み、MFイニエスタやMFチアゴ・アルカンタラのプレーを参考にしているという小川は「オファーが来た時はビックリしたんですけれども、自分にとって2度とないチャンスかもしれない。自信が無い時もあったんですけれどもコロナ明けで、チームとしても、個人としても自信がついてきた時のオファーだったので鹿島からオファーが来たということを自信に変えてやっていこうと思いました。将来的には日本代表になって、ボクは身体が小さいのでそういう選手の目標にしてもらえるような選手になりたい」と誓った。
また、新潟強化部の寺川能人氏は8月のRYUKEI CUPで小見を久々にチェック。その際に「鋭さと強引さがFWぽくて。凄く印象に残っていて、実際ボクはそこで決めたという感じがあります」という。鋭さや技術力はもちろん、寺川氏はそのゴールへ向かう姿勢、ひたむきなプレーに心を動かされた部分があったようだ。外国人含めた他のFW陣との争いを勝ち抜き、新潟でもサポーターたちの心を動かすようなプレーをするか。寺川氏は「簡単ではないけれど、そこを勝ち抜いていってくれれば。ウチのクラブで収まらないような選手になってくれるんじゃないかなと期待しています」と背中を押していた。
小見の目標は川崎FのFW家長昭博やFW小林悠、そしてFW興梠慎三。そして、「レベルの高い先輩から様々ものを吸収して日本で一番のFWになります。ボクの将来の夢は日本一のストライカーになることなんですけれども、日本一のストライカーは日本代表でFWのスタメンで出る選手だと思うので、それを目指して頑張っていきたい」と日本代表の先発を掴み、日本一のストライカーになることを誓った。
そして、福島の竹鼻快GMは柴の獲得理由について、「僕らはJ2ライセンスがないクラブで人材育成をミッションとしている。(福島から)活躍していってもらいたい」と期待。 また福島、そして福島と提携している湘南のチーフスカウトを務める牛島真諭氏は「練習参加せずに取ったのは初めて」と説明し、「最終的にチームが厳しい時にゴールに絡んだり、アシストするのは柴君という印象があります。身長低いがピッチでは大きく見えると思います。(彼の良さは)一番は気が利くところ。チームがして欲しいことをやってくれる選手」と説明した。まずは福島で出場機会を増やし、湘南など上のステージへ羽ばたいていくか。
柴は同じく小柄なMF齊藤未月(湘南)やフランス代表MFエンゴロ・カンテを目標とする選手に挙げ、「自分も将来サッカーを見てくれるファンやサポーターの方々に愛される選手じゃないですけれど、小さくてもたくましく戦っている姿を見せ、夢や目標を与えられる選手になっていきたい」と宣言。そして、「自分がプロサッカー選手として経験したことを将来、セカンドキャリアで上手く伝えたり、還元できたら良い」と語り、関係者・報道陣を唸らせた。
昌平の城川雅士校長はJクラブへ進む4選手の勉強に取り組む姿勢や友人の多さについて説明。そして、「周りから愛されている4名。自信を持って送り出せる4名」と後押しし、藤島監督は「Jリーグで良さを出しながら、人間的に愛されるキャラだと思うので、選手としても愛される選手になってもらいたい」と期待する。
4選手はそれぞれ鹿島、新潟、福島のサポーターへ向けて「自分はドリブルからのチャンスメークや豊富な運動量を特長としています。鹿島の勝利のために全力で戦うので熱い応援を宜しくお願いします」(須藤)、「チームの勝利に貢献できるように、少しでも早くピッチに立てるように頑張ります。応援宜しくお願いします」(小川)、「自分の特長は抜け出しや献身的な守備なので是非そういうところを注目して見て下さい。FWとしてしっかり結果という形でサポーターの皆さんにゴールを捧げたいと思うので、応援宜しくお願い致します」(小見)、「これからプロという厳しい世界になると思うんですけれども、福島の勝利に少しでも貢献できるように1年目から全力でプレーします。応援宜しくお願いします」(柴)とメッセージ。ともにプロ入りする仲間たちから刺激を受けながら、プロのステージで目標を達成する。
(取材・文 吉田太郎)
◆昌平のJ内定カルテット、MF須藤、MF小川、FW小見、MF柴が合同記者会見(ゲキサカ)