日刊鹿島アントラーズニュース

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2021年2月12日金曜日

◆5年越しの覇権奪回へ――。チームは一気に若返りも、“バチバチ”の練習で伝わる鹿島の「やってやる感」(サッカーダイジェスト)






締めるべき部分、緩みはここまであまり見られない


 2021年の鹿島アントラーズも、相変わらずバチバチしている。

 よろめいたら負け。タッチラインを割ろうかというボールへのスライディングを怠れば、「おい!」とチームメートから怒られる。ゲーム中に際どい判定があれば「マイボーっしょ!」とあちこちから声が上がる。毎年、新加入選手が驚くという鹿島らしい雰囲気での練習が、宮崎キャンプで連日続いている。

 DF陣では最年長となった在籍4年目の犬飼智也は「バチバチやり合えているし、みんな意欲的で、いい競争が生まれている。優勝を目指そうと言っているだけじゃなく、練習の取り組みからそういう姿勢が見える」と手応えを口にした。

 昨夏に内田篤人氏が現役を引退。この冬には曽ケ端準氏もGKアシスタントコーチに就任した。山本脩斗、伊藤翔も新天地を求め、30代以上の選手4人がチームを離れたことになる。新加入は28歳のブラジル人2人と、大卒新人3人、高卒新人3人。国内クラブからの補強はなく、年齢層は一気に若返った。

 陣容が変われば空気も変わる。キャンプ中の練習を見る限り、雰囲気も強度も、とても若々しい。練習前や練習後の「ノリ」は、一見やんちゃなチームなのかなという印象も受ける。

 しかし、練習中の雰囲気はこれまでと変わらない。スイッチのオン、オフのボタンを全員が持っている。仮にボタンを押し忘れても、周りの雰囲気が気づかせてくれる。伝統的にバチバチしているクラブではあるが、若い選手たちがバチバチやれば、迫力というか、勢いというか、「やってやる感」が凄い。

 主将の三竿健斗、日本人最年長の遠藤康、ディフェンスリーダーの犬飼智也らが、締めるべき部分をしっかり締めている……と言いたいところだが、締めるべき部分、緩みはここまであまり見られない。

 2年目で余裕の生まれた荒木遼太郎、松村優太らが調子に乗ることもないし、エヴェラウドとファン・アラーノは黙々と走り込みのメニューをこなしている。昨季定位置を失ったクォン・スンテは若手GK陣に積極的にアドバイスを送りながらも、レギュラー奪取へギラついている。小泉慶のスライディングの切れ味は鋭いし、関川郁万の縦パスはいつだって速く、永木亮太は自慢のケツで10代の若手を吹っ飛ばしている。


アクシデントが生まれては意味がないとは言え…





 ある日のゲーム形式の練習では、熊谷浩二コーチから「球際はいいけど、アフター(チャージ)は気をつけよう」と繰り返し指示が飛んだ。ボール保持選手へのプレッシャーがひとつのテーマだったその日の練習では、タックルやスライディング、引っ張り合いが各所で見られており、それが前出の「警告」につながった。

 アクシデントが生まれては意味がないとは言え、コーチが「ちょっとそのぐらいにしとこうか」と声をかけるぐらいが、優勝を目指すプロクラブの練習強度としてはちょうどいい。

 7日の大分とのトレーニングマッチ(45分×3、報道陣非公開)は1-1で引き分けたが、3バックのシステムを試した模様だ。鈴木満フットボールダイレクターも「内容は良くなかったけど、いろいろ試していたからね」と及第点。報道陣に公開された11日の甲府戦(35分×4)は3-1で勝利した。内容はパッとしなかったが、戦術的な練習をこなしているわけではない。結果的にスコアで相手を上回ったことによる自信、今ひとつのパフォーマンスからくる反骨心のふたつを得られるいい機会だったのではないだろうか。

 ブラジルの名門サントスから加入し、ゲームメーカーとしての期待がかかるディエゴ・ピトゥカ、サイドアタッカーのアルトゥール・カイキは緊急事態宣言が解除になってからの来日となる見通し。新型コロナウイルスの陽性判定により来日が遅れたレオ・シルバは、キャンプ後の17日に合流予定となっている。特に新外国人2人に関しては、公式戦をこなしながらチームへの適応が求められる形になるだろう。難しいミッションかもしれないが、単純にこのキャンプメンバーに今後3人の実力者が加わると思うと、楽しみで仕方がない。

 昨シーズンは戦術の浸透に時間がかかり、開幕4連敗と泥沼のスタートに。0を1にする作業に時間を要した形となったが、ザーゴ体制2年目の今季は、チームとしての戦術的コンセプト、決まり事は変わらない。ザーゴ監督は「去年からのベースがあるので、質を高めていく」と語り、失点数の改善に取り組むことを明言。試合展開に応じたシステム変更の選択肢を準備することを示唆している。

 選手がザーゴの考えを理解していることはもちろん、ザーゴが選手個々の特徴、組み合わせの最適解、連戦が利くタイプか否か……などを把握していることも大きい。選手層、雰囲気、戦術理解度。2016年度以来の優勝を狙えるだけの材料は、揃っている。

取材・文●岡島智哉(報知新聞社)




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