鹿島アントラーズは20日、2023年シーズンからの新加入選手として、昌平高(埼玉)DF津久井佳祐(3年)が内定したことを発表した。津久井は今夏のインターハイで3位に入った強豪校・昌平の主将で、U-17日本高校選抜にも選出されている実力派CB。インターハイで右足首脱臼の大怪我を負い、復帰を目指す中での内定に「本当に嬉しいです。怪我しているのに取ってくれるのがまずありがたいですし、取ってくれたのも凄いクラブなのでビックリしましたね」と喜んだ。
鹿島の印象について津久井は、「勝ちにこだわるというか、球際一つにしても、その一つに熱意を持って行くというか、他のクラブと熱量が違う」と説明。また、鹿島のサポーターへ向けて「ビルドアップの安定性とか1対1の対応とか、頭使ったところとか見て欲しいですけれども、一番は勝ちにこだわるところ。勝ちへの執念を見て欲しいです」。抜群のサッカーセンスと冷静な判断力、そして勝利への熱い思いを持つCBが“常勝軍団”で新たな勝利を目指すことになった。
津久井は昌平の系列組織であるFC LAVIDAから昌平へ進学。当時2学年上には、現在鹿島でプレーしているMF小川優介と、鹿島からツエーゲン金沢へレンタル移籍中のMF須藤直輝がいた。1年時は力不足で「上手いな、と思って見ていた人たち」と一緒にプレーしたのは、わずか2週間ほど。だが、彼らが卒業後にメキメキと力をつけて2年時から昌平でレギュラーを勝ち取り、今年は高体連トップクラスのCBとして評価される存在となった。
中学時代はボランチだったこともあり、ビルドアップ能力が高く、CBとしての守備もレベルアップ。「春に比べたら(守備面も)成長できていると思います。今は自分のことを楽にできるから、(以前よりも)もっと広く、周りの選手にも声を掛けていけるなと思っています」。インターハイでは準々決勝で大怪我を負い、津久井不在のチームは準決勝敗退。それでも、負傷までは「崩されてやられることは全くなかったですね」と言い切るパフォーマンスを見せ、チームの上位進出、またプリンスリーグ関東1部でも無敗首位の立て役者となっている。
津久井を指導する藤島崇之監督が評価するのがサッカーセンスの高さだ。「育てて勝つ」をモットーに個の育成、基準のレベルアップを求める昌平は近年、数々のJリーガーを輩出しているが、「今までのウチにはいないタイプですね。すごく楽しみな選手の一人だと思います。(津久井は本当に)サッカーセンスが高いと思います」。身長は180cmだが、特別な身体能力がある訳では無い。だが、「数試合見ると、コイツやられないなと。初見や見た目で分かりにくい」(藤島監督)というDFのボールの奪い方の上手さ、予測力、ヘディングの強さ、ボールを運ぶ力、フィード力という魅力、そしてポテンシャルの大きさを鹿島は評価したようだ。
インターハイでの負傷を心配する声もある中、鹿島の評価は揺るがなかった。8月半ばに藤島監督からオファーを伝えられた津久井は、「興奮しましたね。めっちゃテンション上がりましたね」。現在、鹿島の指揮を執るのは元日本代表CBでもある岩政大樹監督だ。津久井は「期待に応えられるようにしたいです。(自分も岩政監督同様、)頭使って守備する方だと思う。ただ、今、自分の頭を使っているレベルと岩政さんが頭を使っているレベルは違うので、教えてもらいたい」。自身の伸びしろに期待するCBは、鹿島で大きく進化する意気込みだ。
「今まではサッカー選手になるのが夢だったので、その夢をクリアしたからスタートラインに立てているわけで、これからアントラーズでレギュラーになるという夢を叶えるためにやっていきたいです」。元々大学進学を考えず、進路はプロ一本の考えだった。その中、唯一オファーしてくれた鹿島のためにも、もっともっと成長しなければならない。
10月半ばに復帰予定の津久井は、筋トレによる肉体強化中。藤島監督は「(鹿島での)日々のトレーニングで外国人や規格外の選手とやることは経験になると思う」と期待していたが、津久井は肉体と頭、技術も磨き上げて鹿島のレギュラー、さらに上のステージで活躍する選手を目指す。
(取材・文 吉田太郎)
◆鹿島が昌平高DF津久井佳祐主将の新加入内定を発表!抜群のサッカーセンス、可能性持つCBは何より「勝ちへの執念を見て欲しい」(ゲキサカ)