セットプレーは得点の匂いを感じさせた
[J1第13節]鹿島2-0名古屋/5月14日/国立競技場
Jリーグは5月14日、J1第13節の5試合を各地で開催。国立競技場では鹿島アントラーズ対名古屋グランパスが行なわれ、鹿島が2-0で勝利した。
鹿島は12分、CKの場面で鈴木優磨がネットを揺らすも、エリア内で鹿島側のファウルが認められて得点は取り消しに。だが29分、今度はスコアボードを動かす。同じくCKから鈴木がヘディングシュートを叩き込み、リードを奪う。
迎えた後半、鹿島は名古屋の反撃に粘り強く対抗しながら、84分に追加点。途中出場の知念慶が相手GKと1対1の絶好機を決めきれなかったが、直後にルーズボールを収めた知念が左足を振り抜き、豪快な一撃を突き刺した。
敗れた名古屋はキャスパー・ユンカー、永井謙佑、マテウス・カストロら強力なFW陣が沈黙。3節・サガン鳥栖戦(0-1)以来の黒星に。鹿島は怒涛の5連勝を飾った。
▼鹿島のチーム採点「6.5」
キックオフ前に新しいアンセムがお披露目されるなど、『Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ』と銘打たれた国立競技場での一戦は、5万6020人の観客が見守るなかでスタートした。
鹿島は名古屋対策を徹底していた。相手にボールを持たせる時間を増やし、速攻を防ぐプレスや、攻から守への切り替えの速さをチームで徹底。一方の攻撃では、最後の場面でミスが出るなど、やや決め手を欠くシーンも少なくなかった。
ただ、樋口がキッカーを務めるセットプレーは得点の匂いを感じさせた。12分の右CKで、鈴木にピンポイントで合わせる。さらに29分にも同じ右CKから、フリーになっていた鈴木へ合わせ、先制点を演出した。
中盤ではディエゴ・ピトゥカの貢献も目立った。守備時には相手を上回り、攻撃でも度々アクセントをつけるなど、マッチアップしていた名古屋のキーマンのひとり、マテウスを沈黙させた。
交代策も見事にハマった。左膝の負傷で離脱していた佐野海舟は投入直後に次々と相手の攻撃の芽を摘み、アルトゥール・カイキ、土居聖真らがチャンスを演出。84分には知念が勝利を手繰り寄せる追加点を奪った。
これでリーグ5連勝。いずれの試合も無失点と、チーム状況は上向きだ。特に、関川郁万やGK早川友基など若い守備陣が溌溂とプレーしているのは収穫の1つだろう。ビッグマッチでの勝利でさらに自信を深めそうだ。
取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
GK:早川友基|採点6.5/バックパスが多く忙しい試合になったが、丁寧なボール捌きでチームを落ち着かせた。
DF:広瀬陸斗(57分OUT)|採点6.5/ボールをつなぐ時間帯では、キックミスは目立ったが、タイミングの良い攻め上がりとパス出しで持ち味を発揮した。
DF:植田直通|採点6.5/個人のプレーだけでなく、GK早川への声掛けや、最終ラインの統制など、ディフェンスリーダーとしてチームを引き締めた。
DF:関川郁万|採点7/米本のミドルを止めた42分のシュートブロックをはじめ、身体を張ったプレーで相手の攻撃をはじき返し続けた。
DF:安西幸輝|採点6.5/ややおとなしく感じる時間帯も長かったが、鈴木のタメから背後へ抜け出す動きなど、単調になりがちな攻撃を彩った。
MF:樋口雄太|採点7/右足のキックは流石。ピトゥカとのコンビネーションが洗練されてきた。
MF:ディエゴ・ピトゥカ|採点7/マテウスを常にチェックするなど、守備で奮闘。浮き球や背後へのパスで敵の守備ブロックに揺さぶりをかけた。
FW:名古新太郎(64分OUT)|採点6.5/走力とハードワークでチームに貢献。突破力の高い森下の攻撃参加を抑えた。
FW:仲間隼斗(57分OUT)|採点6.5/前半アディショナルタイムのシュートは枠に飛ばしたかったが、プレーはアツく、頭は冷静に務めた。
FW:垣田裕暉(64分OUT)|採点6.5/自身のシュートチャンスは限られたが、献身的なフリーランで周囲を助けた。
FW:鈴木優磨(73分OUT)|採点7/CKからのヘディングシュートに見られたように、ポジショニングの良さが光った。前半アディショナルタイムの仲間への浮き球パスも秀逸だった。
DF:常本佳吾(57分IN)|採点6/投入直後はもたつく場面もあったが、きっちりと対峙する相手を完封。右サイドの守備力アップに貢献した。
MF:佐野海舟(57分IN)|採点7/負傷離脱から復帰、約1か月ぶりの出場となった。「コンディションは万全でない」と言うものの、投入直後からパスカットを連発。攻撃の起点にもなり、安定感は抜群だ。
MF:土居聖真(64分IN)|採点6/終盤にはビッグチャンスを迎えるが、シュートは打てず。10節のG大阪戦のような働きに期待したい。
FW:知念慶(64分IN)|採点7/チームの課題でもあった終盤の失速回避の切り札に。前線での強度を保ちながら、待望の追加点を奪うなど、勝利の立役者のひとりになった。
MF:アルトゥール・カイキ(73分IN)|採点6.5/停滞しかけた前線を活性化した。徐々にコンディションを上げており、次戦へのアピールにも成功した。
監督:岩政大樹|採点7/鋭いカウンターを武器とする相手のストロングポイントがハッキリしていたため、効果的な対策を施した。特に、チーム全体で共有されていたマテウス封じは狙いどおりの結果を導いた。交代カードも整理され、メンバーチェンジ後の迷いも払拭した。
◆【採点寸評|鹿島】マテウス封じが成功! 交代策もハマり5連勝を達成[J1第13節 鹿島2-0名古屋](サッカーダイジェスト)
「#樋口雄太 7.0 右足のキックは流石。ピトゥカとのコンビネーションが洗練されてきた」
— 日刊鹿島アントラーズニュース (@12pointers) May 14, 2023
「7.0」が7人、「6.5」が8人、「6.0」が2人とかなりの高評価。
◆【採点寸評|鹿島】マテウス封じが成功! 交代策もハマり5連勝を達成[J1第13節 鹿島2-0名古屋](サッカーダイジェスト) https://t.co/83dMrdCHv8 pic.twitter.com/A4cKFWWSEJ