日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年2月13日火曜日

◆【J1鹿島、24年公式戦を目前としたチーム作りの現在地(1)】(サッカー批評)



アレクサンダル・チャヴリッチ


ポポヴィッチ・鹿島の”脱・鈴木優磨”はいかに――新FWチャブリッチはエヴェラウド同等の活躍の期待も


 1年半指揮を執った岩政大樹監督が昨季限りで退任し、ランコ・ポポヴィッチ監督率いる新体制へと移行した鹿島アントラーズ。そのお披露目試合となったのが、10日のいばらぎサッカーフェスティバル2024・水戸ホーリーホック戦だ。

 鹿島は大卒新人の右SB濃野公人、プロ2年目・19歳のCB津久井佳祐ら若手を最終ラインに起用。宮崎キャンプ中に負傷したボランチ・柴崎岳の穴埋め役に知念慶を抜擢し、2トップに新助っ人FWアレクサンダル・チャヴリッチと土居聖真を配置するというフレッシュな陣容でスタートした。

 ここまでの1か月間、主力組はタテへの意識を高めつつ、連携強化を図ってきたというが、前半21分の先制点も複数の選手が絡む形から生まれる。相手のミスパスを拾ったチャヴリッチがドリブルで中央に持ち込んで展開。右サイドで受けた藤井智也が少しキープし、ペナルティエリア内に上がってきた樋口雄太に折り返し、背番号14は右足を一閃。見事にネットを突き刺した。

「智也が3~4人引きつけてくれた分、僕のとこフリーだったので、意外と冷静にシュートを打つことができた。前半は特にやりたいことっていうのは出たシーンが多かったですし、そこはすごくチームとしても積み上がってきてるものがあると思います」と樋口もチーム完成度が着実に上がってきたことに手ごたえを感じている様子だった。


■チャブリッチの前向きなコメント


 そんな鹿島にとっての最重要テーマは、いかにして鈴木優磨以外の得点源を作るか。2023年は総得点43でそのうち鈴木優磨が14ゴールと全体の約3分の1を記録しており、それ以外の得点源を確立することができなかったことも苦戦の要因だった。

「鈴木優磨以外の得点源は必要。彼以外にもFWはいる。そういう選手たちに期待していた部分もあったが、組織としてうまく点を取る形を作れなかった」と吉岡文重FDは昨季最終節後に発言。これが岩政前監督を解任した最大の理由になっている。

 しかも鈴木優磨本人が目下、顔面骨折で離脱中。本人は今月中にも復帰するくらいの勢いで急ピッチで回復に努めているが、彼がいなくてもいい体制を作らなければいけないのは紛れもない事実だ。

 今季の打開策として期待されるのが、チャヴリッチの得点力だろう。もともとウイングで速さとアグレッシブさを併せ持つ彼は水戸戦前半45分間プレー。背後への抜け出しやボールを収める仕事も見せ、前述の通り、先制点にも絡んだ。

「まずは練習で繰り返しやったことが形に出たのでよかった。今後、自分が点を取るために必要なのは、サッカーの違いに慣れなきゃいけないですし、自分のコンディションを上げ、チームメートとの連携も高めないといけない。そうすれば自然とチャンスは生まれてくると思います」と期待のセルビア人FWは前向きにコメントした。

 彼がフィットしてくれば、鈴木優磨との共存も可能だろうし、鈴木不在時のFWの新たな軸に据えることもできそうだ。本当に得点を重ねられるかどうかは開幕してみないと分からないが、うまくいけば2020年に18ゴールを挙げたエヴェラウド同等の活躍も期待できるかもしれない。期待値は高そうだ。


■樋口のゴールが“ヒント”に


 もう1つの方策は、FW陣に限らない多角的得点パターンの確立。水戸戦の樋口のゴールが1つのヒントになりそうだ。

「僕がJリーグ優勝、ACL優勝した時はどのポジションでも一定数、点が取れる選手が沢山いたので、相手もなかなか的を絞れなかった。それが強さにつながった。今回も雄太がボランチで点決めましたけど、前の4人(チャヴリッチ、土居、藤井、仲間隼斗)が取れるチャンスがあるし、SBも中にポジションを取っていける。そういうチームになっていけると思います」と土居は力を込めた。

 こうした思惑通りに物事が進むか否か…。まずは2週間後の開幕・名古屋グランパス戦が見ものだ。

(取材・文/元川悦子)


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