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[5.10 J1第1ステージ第11節 F東京0-1鹿島 味の素]
今シーズンの鹿島アントラーズは公式戦15試合を戦い、無失点試合がなかった。15戦で総失点数26というのは、鹿島にとっては非常事態だ。「センターバックとしては、すごく気になる数字です。仙台戦でもそうでしたが、勝ったことは嬉しかったですが、最後に失点(90分+2分)して、喜びは半減しましたし、その後も失点には、すごくシビアになっていた」と、DF昌子源は話す。
直近の公式戦だった5日のAFCチャンピオンズリーグのFCソウル戦。この試合で、鹿島はセットプレーから2失点を喫した。トニーニョ・セレーゾ監督は、セットプレーの際、マンツーマンディフェンスからゾーンディフェンスに守備の方法を変える決断を下す。
しかし、FC東京戦の後半、相手が高さのあるFW前田遼一を起用してくると、3分にヘディングを枠に飛ばされたのを皮切りに、制空権を握られてしまう。その中で、昌子は、マンツーマンに戻した方がいいと感じ取っていた。チームとしてやろうとしていることを変えるべきなのか、迷っていたときに、MF柴崎岳からも「マンツーマンで守った方がいいんじゃない?」と提案を受けたという。そして、まさにそのタイミングでベンチのトニーニョ・セレーゾ監督からも、「前田に一枚、マンツーマンで付けよう」と指示が飛んだ。
「誰を(前田の)マークに付けるのかは、ゾーンディフェンスの様子を見て、ピッチの中で決めろということでした。前田さんも強い選手だから、一番背の低い選手を付けても仕方がない。それでゾーンの一番端にいた(山本)脩斗くんに付いてもらうことにしました。そこからは、前田さんもボールに触れなくなりました」と、適切な人選ができたと振り返る。
ただし、反省点も残る。「その対応をベンチからの指示を受けてからではなく、そのときであれば、僕と岳から発信できたり、選手たちで決めることもできたのかなと思います。そうすれば、前田さんが3本触っていたのが、2本になっていたかもしれない。あのハンド(で認められなかった東)のゴールも、あそこに行く前に僕たちが弾けていたかもしれない。森重くんのポストを叩いたシュートも、僕たちが先に触っていたら、危ないシーンになっていなかったかもしれない。何もかも監督に従うのも、やり方の一つだと思います。でも、危ないと思ったときに、何か一つアクションを起こすことは、選手としてもチームとしても大事だと思います」。
迷いを抱えながらも、つかみ取った今シーズン初の無失点試合。「このゼロを機に、何かが変わったと思います。これに気を緩めず、次も広島という強い相手との試合で、4バックではなく3バックと変則的ですが、しっかり対策を練って臨みたい」と、昌子は気を引き締め直した。
(取材・文 河合拓)