日刊鹿島アントラーズニュース

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2022年10月9日日曜日

◆岩政監督の続投に違和感なし。“作る前に壊す”挑戦者の心。勝利を求め、過程を突き詰め、新しい鹿島の勝ち方を築く(サッカーダイジェスト)






続投の動きが表面化することは極めて珍しいこと


 鹿島は岩政大樹監督を来季も続投させる方針を固め、両者間で調整に入った。

 8月、レネ・ヴァイラー前監督の契約解除を受け、コーチから昇格する形で就任。以降、公式戦10試合を指揮し、2勝5分3敗(10月8日現在)。引き継いだ時点では、リーグ戦は来季のアジア・チャンピオンズリーグの出場権獲得となる3位以内、天皇杯のタイトルも視野に入っていたが、5位に下降し、天皇杯も準決勝でJ2甲府に不覚を取った。

 結果を残せていないのは明らか。それでも、鹿島のフロントは続投させることに迷いはない印象を受ける。

 まずリーグ戦が残っている段階で、強化に関わる人物が公にシーズンを振り返ることも、来季の編成について言及することはない。人事は水面下の動きとなるが、「クラブ史に残る大失態」(岩政監督)という甲府戦からわずか数日後、続投の動きが表面化することは極めて珍しいことだ。

 リーグや天皇杯の結果を重視した判断ではなく、岩政監督がこの2か月で示したサッカーの内容、練習の組み立てなど、過程に重きを置いた判断だったことを示している。そして、この判断にまったく違和感はない。

 まずクラブのビジョンに合致している。「チームのリフォームではなく、建て替えを目ざす」とは、前フットボールダイレクターの鈴木満氏の言葉。岩政監督は作る前に、壊すことができる。「常勝の看板を下していいと選手たちに言った」と口にし、チームを一から作っていく挑戦者の心を持たせた。

 看板を引き継ぐことを意識し、結果を残すための方策も看板を参考にした。一体感、練習の強度、緊張感、最後まで戦うこと。鹿島が大事にしていることは今も昔も同じだが、他クラブも追いついてきた。

 鹿島だけの武器は、今や多くのクラブが携えている時代。上回っていくためには「監督の策」や「選手の質」が求められる。監督はこうした発言でクラブの、選手の見るべきものを変えたように感じる。

 そして岩政監督は、これまで結果を求めるあまり、クラブとして放置してきたものがある、という趣旨の発言もしている。

 一つがビルドアップであり、立ち位置である。それらは個人判断にゆだねられ、チームとしての学びにはならなかった。ザーゴ元監督らが取り組んだこともあったが、結果がついてこないと看板を振り返り、変革は進まなかった。


就任から2か月で、考え方を変える=壊すことに着手




「勝たなければ鹿島ではない」という哲学は多くのタイトルをもたらした。ただ、変わる、変えることへの躊躇につながった側面があるのではないだろうか。

 岩政監督は就任から2か月で、考え方を変える=壊すことに着手し、「試合を支配するサッカー」を手掛けてきた。選手たちの指示、考え方に対する反応も敏感で、その様子は、勝つための具体的な策に飢えていたように感じる。

 現在のところ、結果を得るまでには至っていないが、足りないポジションを補強し、出てくる課題に直面し、クリアしていけばサッカーは完成を見るのではないか、という期待を感じさせる。

 目を背けたくなること。見たくないこと。話したくないこと。それらから逃げず、行動する岩政監督は批判やアレルギー反応を生むが、時代を変える時にはつきものだ。強化責任者の吉岡宗重フットボールダイレクターも、基本的には長期的にサポートする方針を示している。

 これまで通り勝利を求めるが、その過程をより突き詰め、新しい鹿島の勝ち方を築く。岩政監督の2年目に期待したい。

取材・文●内田知宏(報知新聞社)




◆岩政監督の続投に違和感なし。“作る前に壊す”挑戦者の心。勝利を求め、過程を突き詰め、新しい鹿島の勝ち方を築く(サッカーダイジェスト)





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