J1・鹿島アントラーズは今シーズン、セルビア出身のランコ・ポポヴィッチ氏を新たな監督として迎えました。Jリーグでは、これまでにFC東京など4チームの監督を務めています。どのようなかじ取りで、遠ざかっているリーグタイトルの獲得を目指すのか、その戦略と意気込みを聞きました。(NHK水戸放送局 記者 藤原陸人)
“連携しながら素早く前に攻める”
2月3日まで宮崎市で行われていたキャンプ。
ランコ・ポポヴィッチ新監督(56)は、グラウンドでひときわ大きな声を響かせ選手たちを指導していました。
タイトルの獲得を目指しながらも昨シーズン5位に終わったアントラーズ。
そこで攻撃面の改善を期待されたのがポポヴィッチ監督です。さらにアグレッシブなチームに育てようとしています。
どのようなサッカーを目指すのか。
監督が掲げたのは「連携して素早く前へ攻めるサッカー」です。
(ポポヴィッチ監督)
大事なのは全員が攻守に関わってプレーすること。
スピーディーにプレーしていくためにやはり早い判断、いいポジションを早く取っていく、
いいサポートをしていくことが必要不可欠。
連動してゴールに迫っていくということができれば、おのずと得点数も増えていくと思っています。
ゴールをとりにいく積極的な姿勢を根付かせる監督の新たな方針は、選手たちに浸透し始めています。
(DF32 濃野公人 選手)
ワンタッチ、ツータッチで、テンポ良くボールを回すことや素早い判断が求められる。
(FW41 徳田誉 選手)
ゴールへの速い攻撃ということで、前を向いたらすぐゴールを狙うというのはすごく面白い。
バックパスするぐらいなら、前に勝負していくというところがすごく大事だと思います。
挑戦心を育む“ブラボー”
キャンプ中に私が印象的だと感じたのは、ポポヴィッチ監督が大きな声で選手たちにかけていた“ブラボー”ということば。
練習試合中、知念選手がボールを奪いシュートしたものの、ゴールを決められなかった場面でも、ポポヴィッチ監督は何度も知念選手に“ブラボー”と声をかけていたからです。
選手が失敗をしても、一人ひとりに熱意を込めた“ブラボー”を送っています。
その思いを聞いてみました。
“ミスを恐れて挑戦しないこと、それがミスだ”
(ポポヴィッチ監督)
(“ブラボー”と)言われた選手たちは「これはいいプレーなんだ」と気づきます。
私にとって大切なのは、たとえそれが、結果的にミスだったとしても、そこにどういう意図があったのか、トライしているのかが見えれば、それに対しても“ブラボー”という言葉をかけるようにしています。
「ミスを恐れて挑戦しないこと、それがミスだ」と口をすっぱくして選手に言っている。
こちらが“ブラボー”を連発するようなプレーを選手たちに見せてほしい。
“ブラボー”には、攻撃への積極性を引き出したいという思いが込められていました。
“きょうに全力を尽くす” 目指すのはタイトル奪還
ポポヴィッチ監督がモットーにしているのは、“きょうに全力を尽くす”。最後に今シーズンにかける思いを聞くと、書いてくれた言葉は「TITULA(タイトル)」でした。
アントラーズのリーグ優勝は、7シーズンありません。常勝チームの復活が期待されています。
(ポポヴィッチ監督)
タイトル獲得ということを考えなければ、タイトル奪還はできない。
これを常に頭に置いて、日々過ごしていくことがタイトルを取ることにつながると考えています。
キャンプ取材を通して感じたポポヴィッチ監督の印象はまさに“情熱の人”でした。
取材後は、取材クルー全員に目をみて握手してくれ、人情味のある気さくな人柄を感じました。ポポヴィッチ監督の“ブラボー”がスタジアムに何度も響き渡る試合が見られるか注目です!
ポポ『大事なのは全員が攻守に関わってプレーすること。スピーディーにプレーしていくためにやはり早い判断、いいポジションを早く取っていく、いいサポートをしていくことが必要不可欠』
— 日刊鹿島アントラーズニュース (@12pointers) February 23, 2024
◆“タイトル獲得” 鹿島アントラーズ ポポヴィッチ監督の決意(NHK) https://t.co/c2RaneHC5b
※TITULA=タイトル pic.twitter.com/l3BesyM5le