◆明治安田J1リーグ▽第2節 鹿島1―1C大阪(2日・カシマスタジアム)
鹿島はC大阪と1―1で引き分けた。0―1で迎えた後半40分にDF植田直通のヘディング弾で追いついた。
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交代ボードに提示されたのは「5→77」。ピッチ上の鹿島の選手たちは、ベンチを見てキョトンとしていた。
0―1で迎えた後半22分、鹿島2回目の選手交代。何だかフワフワしていたセンターバックの関川郁万を下げ、サイドMFのパレジを投入する決断を下したベンチだが、控えにもピッチにも、センターバックでプレーできる選手は植田と関川の2人しかいない。
ベンチから「海舟、郁万のところ!」と声がかかる。佐野海舟は聞こえなかったのか信じられなかったのか、棒立ちしている。再びベンチから「郁万のところ!」と声が飛び、佐野は驚いた表情を見せながら、DFラインに入った。
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「センターバック佐野海舟」は素晴らしいパフォーマンスを発揮した。持ち前の奪取力、推進力を最終ラインでも示し、ボールさばきも見事だった。ピッチの左半分でボールが流れるようになったことは、同40分に左サイドでMF名古新太郎がFKを獲得し、そのセットプレーからDF植田直通による決勝点が生まれたことに、直結とは言わないまでも、間接的に関わった。
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キャンプでMF柴崎岳が負傷離脱を余儀なくされた時、ポポヴィッチ監督が白羽の矢を立てたのがFW知念慶だった。その心は「いい選手はどこでもできるから」(ポポヴィッチ)。さらに「『この選手はこう』とラベルを貼って判断してしまうのが一番危険。『彼はこういう選手だ』という固定観念を捨て、私は自分の目で見て判断する」と続けた。
「ボランチ知念」は、今やチームに欠かせない。強度が高く、寄せも早く、視野も広い。この日は、CKまでも蹴っていた。
指揮官が繰り出した二の矢は「センターバック佐野海舟」。正式なコンバートにはならないだろうが、チームの戦術の幅が広がったことは間違いない。
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サッカーに判定勝ちがあるとすれば、勝者はC大阪だっただろう。しかし、鹿島は勝ち点1を得た。(一応)首位。
鈴木優磨は試合内容改善の必要性を口にしつつも「これはデカいと思う」と一定の手応えを示し「悪い言い方かもしれないが、こういうゲームを勝ち点0で終わるのが(近年は)続いていた。1で終われるのは個人的にはいいと思う」と振り返った。
相手をスコアでも内容でも圧倒できる機会は、今後も限られるだろう。(内容的)負け試合を引き分けにし、(内容的)引き分け試合で勝利し、(内容的)勝ち試合で取りこぼしなく勝利することで、順位は上がっていく。(鹿島担当・岡島智哉)
◆【番記者の視点】鹿島「ボランチ知念慶」の次は「センターバック佐野海舟」指揮官の思惑と思い切り(報知)
「交代ボードに提示されたのは5→77。ピッチ上の鹿島の選手たちはベンチを見てキョトンとしていた。ベンチから『海舟、郁万のところ!』と声がかかる〜」
— 日刊鹿島アントラーズニュース (@12pointers) March 3, 2024
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