優勝争いに加わるだけの成果を残してきたこのサッカーを捨てることは論外でもある。だが「現状維持」「積み上げてきたものを出す」「やり続けるしかない」だけでは厳しくなってきた。何かしらの変化、チャレンジは必要だ。
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◆【番記者の視点】鹿島失速 リーグ戦8敗は全て敵地…アウェーで勝てない理由と、挽回のために必要なこと(報知)
◆明治安田J1リーグ▽第28節 東京V2―1鹿島(25日・味の素スタジアム)
鹿島は東京Vに1―2で敗れ、4位に後退した。首位の町田とは勝ち点6差。
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チームとして集中力を欠いていた。天皇杯甲府戦から中3日、連戦による身体、メンタル両面での消耗、暑さの影響を感じさせる試合内容となった。
体ではなく、頭が疲れているばかりに、判断を誤ってしまうシーンが散見された。
状況は違うが、2失点ともに一瞬の隙を突かれた形だった。攻撃にも迫力が出なかった。決定機を生かせなかったことを悔いるよりも、もっと決定機を作れたのに、アクセルを踏めずに攻めの姿勢を欠いてしまったことを悔いるべきだ。
もともと、選手層が厚いチームではない。そこに佐野海舟が抜け、知念慶、チャブリッチは負傷離脱中。今夏に新加入した3人(FW田川亨介、MF三竿健斗、MFターレス)も、まだまだフィットしているとは言い難い。台所事情は苦しい。
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ポポヴィッチ監督が志向するサッカーは「攻守一体」のサッカーであり、単純な走行距離やスプリント数といったデータで計れるものではない運動量と、それをコントロールする判断力が求められる。言い換えれば「心身一体」でなければ成立せず、肝心なところでガス欠で頭が回らなくなり、あと一歩が出なくなってしまう。
選手によると、やはり大声援を受けるホームでの試合では、この「あと一歩」が出るようになるそうだ。今季リーグ戦は14勝6分け8敗だが、この8敗は全てアウェー戦。中2日や中3日の試合で勝てないこと、終盤の失点が多いことを含め、「心身一体」の状況が出せない状況で、ことごとく勝ち点を落としている。
どんなサッカースタイルにも長所と短所が存在するが、今季の鹿島は集中力を高く保ち、馬力が発揮できる状況でないと、パフォーマンスが低下してしまう特徴がある。
では、最終的に順位をあと3つ上げるためにはどうすればいいのか。
もっといろいろな選手を使うだとか、先手必勝に特化するだとか、磐田や浦和がやってきたように後半勝負の布陣を組むだとか、方法こそいろいろなものがあるが、何が有効かはやってみないとわからない。
柴崎岳が言った「特効薬はない」というコメントは言い得て妙であり、優勝争いに加わるだけの成果を残してきたこのサッカーを捨てることは論外でもある。だが「現状維持」「積み上げてきたものを出す」「やり続けるしかない」だけでは厳しくなってきた。何かしらの変化、チャレンジは必要だ。
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残り10試合で、首位町田との勝ち点差は6。得失点差が11離れているので、実質7差と考えるべきだろう。2位広島とは4差、3位神戸とは1差。町田、広島とはホームでの直接対決を残しているので、終戦ムードに入るのはまだ早いが、もう一敗もできない状況だと言える。ここは一度、今までとは違う方法で、ギアを入れ直す必要がある。(岡島 智哉)