http://www.sanspo.com/soccer/news/20141103/jle14110304390002-n1.html
第31節第1日(2日、デンカビッグスワンスタジアムほか)3位鹿島は新潟に2-1で逆転勝ち。日本代表DF西大伍(27)が古巣相手に決勝点を挙げて勝ち点を54に伸ばし、優勝戦線に踏みとどまった。2位G大阪は終了間際の失点で仙台と1-1で引き分け、暫定首位浮上を逃した。勝ち点は56で首位浦和と2差。浦和は3日に横浜Mと対戦する。鳥栖は神戸に競り勝ち、53で4位に上がった。川崎は清水に屈し、優勝争いから後退。
チームを優勝戦線に踏みとどまらせる会心の一撃だった。試合終了間際、DF西は決勝点を奪うと鹿島サポーターの元へ一直線。喜びを分かち合った。
「狙い通りのシュートが打てた。うれしい」
1-1の後半41分だ。右サイドでこぼれ球を拾うとドリブルで前進。「クロスか迷ったけど、いい形でボールを持てたので」と右足を振り抜いた。シュートは相手DFの股間を抜け、左サイドネットを揺らした。
移籍加入する前年の2010年に新潟で1年間プレー。古巣のファンに「成長を見せられた」と胸を張った。
8月の広島戦の得点はJ1月間ベストゴールに選ばれ、10月には約3年ぶりに日本代表に復帰。しかし、親善試合2試合は出番がなかった。ブラジル戦をベンチから見届けて10月15日の早朝にシンガポールから帰国すると、その日の練習はフルメニューを志願。悔しさをバネに向上を目指す。
首位・浦和は3日に横浜M戦を行う。鹿島は5試合ぶりの白星で、暫定ながら浦和と勝ち点4差に迫った。2007年は終盤に9連勝して大逆転優勝したが、その時も首位を走っていたのは浦和。当時の再現を果たす舞台が整った。
西は「本当に優勝したいという気持ちをどれだけ強く持てるか」と残り3試合を見据えた。雨の中、遠く新潟に駆けつけたサポーターは試合後、黒人霊歌『聖者の行進』の曲に乗せた応援歌「奇跡を起こせ」を大合唱した。チームも奇跡の逆転Vを信じている。 (伊藤昇)
★鹿島・2007年の奇跡のリーグ制覇
開幕5戦未勝利で、一時は首位との勝ち点差が「11」に開くなど優勝は絶望視されていた。しかし、徐々に調子を上げると第26節の新潟戦から連勝を続け、首位の浦和を猛追。勝ち点1差の2位で迎えた最終節の清水戦(カシマ)もMF小笠原のゴールなどで3-0と勝利し、9連勝を達成した。同時刻の試合で浦和が敗れ、奇跡の逆転優勝が決定。シーズン中に1度も首位に立たなかったチームの優勝は、これが初めてだった。
西 大伍(にし・だいご)
1987(昭和62)年8月28日生まれ、27歳。札幌市出身。札幌ユースから2006年にトップチームに昇格し、07年9月の愛媛戦でJ初出場。同10月の愛媛戦でJ初得点。新潟を経て、11年に鹿島に移籍。11、12年のナビスコ杯連覇などに貢献した。11年6月のペルー戦でA代表初出場。先月にはアギーレ・ジャパンに初選出された。J1今季20試合3得点、同通算165試合9得点。J2通算46試合8得点。代表通算1試合0得点。1メートル76、73キロ。