[3.31 JALチャレンジ杯 日本5-1ウズベキスタン 味スタ]
最後まで迷った。触れるか、触れないべきか……。後半35分、MF柴崎岳が放ったロングシュートは無人のゴールに向かっていた。ゴール前に詰めるFW岡崎慎司(マインツ)と、必死に戻るMFルトフラ・トゥラエフ。最後は岡崎がトゥラエフの前に体を入れてブロックし、ボールを見送った。2人は交錯しながらゴールの中に転倒したが、ボールはゴールイン。柴崎の得点となった。
最後はあえてボールに触らないようにしたのか。試合後、報道陣にそう聞かれた岡崎は「本当に迷った」と率直な思いを打ち明けた。「ドイツなら確実に打っている」。触れば自分のゴールになる。だが、柴崎に点を決めさせたいという気持ちが脳裏をよぎった。
「(ボールを追っている間は)歓声がすごかったし、俺が触ったらあれかなと」。そう冗談交じりに振り返ると、「自分もそうだけど、ゴールを決めるか、決めないかがバロメーターになる。(柴崎にとって)次のモチベーションになればと思った」という“親心”を口にした。
すでに得点を決めていた“余裕”もあったのかもしれない。後半9分、DF太田宏介の左クロスからファーサイドでフリーになり、ダイビングヘッドで叩き込んだ。「みんなが中に入っていたので、後ろから回って。(太田)宏介のボールがいいボールだった」。清水時代のチームメイトでもある太田の代表初アシストで国際Aマッチ43得点目。「エスパルスのときから一緒にやっていたし、久々に(太田)宏介のクロスから決められてよかった」と笑顔を見せていた。
(取材・文 西山紘平)