日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年2月21日火曜日

◆鹿島、新黄金期への第一歩。配分金の増額に合わせた強化プラン。勝ち組のサイクルへ(フットボールチャンネル)


シーズンの幕開けを告げる18日のフジゼロックス・スーパーカップ2017で、昨シーズンの二冠王者・鹿島アントラーズが浦和レッズを3‐2で下した。国内三大タイトル独占だけでなく、ACLを制してFIFAクラブワールドカップへの再挑戦を目標に掲げる常勝軍団。レッズ戦で存在感を放ったFWペドロ・ジュニオール、MFレオ・シルバらの新戦力は、これから幕を開ける新伝説の序章にすぎない。(取材・文・藤江直人)

フジゼロックス・スーパーカップ、浦和レッズ戦に臨んだ鹿島アントラーズのスターティングイレブン

 時間にして14秒。電光石火のカウンターを仕掛ける間に6人の選手がボールに絡み、4本のパスがつながった末に生まれたゴールに、常勝軍団に秘められた新たな可能性が凝縮されていた。

 昨シーズンの二冠王者・鹿島アントラーズと、リーグ戦の年間勝ち点1位・浦和レッズが日産スタジアムで対峙したフジゼロックス・スーパーカップ2017。シーズンの幕開けを告げる恒例の一戦で圧巻のシーンが訪れたのは、アントラーズの1点リードで迎えた前半終了間際だった。

 左サイドからレッズのMF菊池大介が入れたクロスを、背番号を「23」から「5」に変えたDF植田直通がジャンプ一番、弾き返す。このとき、時計の針は42分26秒をさしていた。

 センターサークル内に落ちてきたボールを収めたのは、ヴィッセル神戸から加入したFWペドロ・ジュニオール。DF森脇良太のプレッシャーを背後に受けながら、ボールを後方へ確実に落とす。

 浮き球のパスにあうんの呼吸で反応したのは、アルビレックス新潟から加入したMFレオ・シルバ。ジャンピングボレーを放つ体勢から、大きなスペースが広がっていた左サイドへパスを通す。

 走り込んでいたのはMF土居聖真。危険を察知したMF青木拓矢が必死のスライディングを試みるも、ボールは伸ばされた右足の先をかすめて背番号「8」のもとへ。一気呵成のカウンターが発動される。

 土居がドリブルでペナルティーエリア内まで侵入していく間に、FW金崎夢生が弧を描くように外側を追い抜かしていく。そして、土居から受けたパスに右足を合わせる。

 ゴール右隅を狙ったシュートに、日本代表GK西川周作はまったく反応できない。ボールは右ポストに弾かれたが、フォローしてきたMF遠藤康が利き足とは逆の右足を振り抜いた。

 必死に防ごうとした西川の両腕を弾いたボールが、ゴールネットを揺らしたのが42分40秒。ペナルティーエリア内のフィールドプレーヤーは、守る側のレッズが4人だったのに対して、攻める側のアントラーズが実に5人を数えていた。

「嫌な相手が味方になってくれるのはすごく心強い」

 土居、金崎、4分前に先制点となる直接フリーキックも決めていた遠藤だけではない。カウンターの起点となったペドロ・ジュニオールとレオ・シルバも、労を惜しむことなくスプリントをかけていた。

 J1と天皇杯を制し、FIFAクラブワールドカップ決勝でも強豪レアル・マドリーと死闘を演じた昨シーズンの陣容に加わった新戦力。レッズ戦では韓国代表GKクォン・スンテ(全北現代)、DF三竿雄斗(湘南ベルマーレ)も先発を果たした。

「今日の戦いがいい試合やったかと言えば、僕はそうではないと思う。去年は去年でいい意味でみんな忘れていますし、だからこそ今年の鹿島の色というものを出さないといけない。そういうなかで、今年のウチには新戦力がもっともっといるので」

 後半29分、30分の連続失点で追いつかれながら、同38分に途中出場のFW鈴木優磨が千金の決勝ゴールをゲット。幸先よくタイトルと賞金3000万円を獲得した試合後の取材エリアで、ディフェンスリーダーの昌子源は新戦力との融合がまだ道半ばであることを強調しながら、頼もしげな視線を送った。

「特に僕はペドロ(・ジュニオール)とマッチアップする機会が多かったけど、めちゃ嫌な相手がこうやって味方になってくれるのはすごく心強いし、やっぱりオーラがありますよね」

新加入のレオ・シルバが発揮し続けた強烈な存在感

アルビレックス新潟から鹿島アントラーズに移籍加入したMFレオ・シルバ

 大宮アルディージャを皮切りに、アルビレックス、ガンバ大阪、FC東京、そしてヴィッセルでJ1通算40ゴールをあげている30歳のストライカーが前線で脅威を与え続ければ、アルビレックスでプレーした4年間で強烈な記憶を焼きつけた31歳のレオ・シルバが中盤で存在感を発揮し続ける。

 リーグ屈指のボールハンターを拝命しているレオ・シルバだが、土居へのパスに象徴されるように、攻撃面でもプラスアルファをもたらしている。遠藤のフリーキックもレオ・シルバからパスを受けたDF西大伍がドリブル突破を仕掛け、相手のファウルを誘ったのをきっかけに生まれている。

「レオ(・シルバ)はボールの取り方などの守備にフォーカスされがちですけど、攻撃もすごい。ブラジル人だけど珍しくチームに気配りもできるし、プレーヤーとしてだけでなく人間的にも尊敬できる。どのような組み合わせになっても鹿島らしく勝利に徹しながら、それでいて面白いボランチというものを見せていけたらと思う」

 レッズ戦はベンチスタートとなった日本代表MF永木亮太は笑顔を浮かべながら、強力すぎるライバルの加入を歓迎した。シーズン初の公式戦で守備的MFを務めたのは、レオ・シルバとキャプテンを務める37歳のレジェンド小笠原満男。後半24分から前者に代わって、永木が投入された。

 自身がピッチに立った後に2失点したことには反省の弁を重ねた永木だったが、2つの先発枠を争う状況には「やっぱり競争は面白いですね」と声を弾ませる。

「競争があると絶対に成長できる、選手層は相当厚くなっていると思っています。ペドロ(・ジュニオール)もそうですし、今日は出ませんでしたけどレアンドロもいる。メンバーに入っていなかったアツ(中村充孝)や(赤崎)秀平、ユキ(伊東幸敏)もいる。今年は鹿島のチーム内での争いが本当に激しい。強い2チームができるくらいに、去年よりも本当に上積みされたと思います」

賞金と分配金の増額。勝ち組のサイクルに向けて

 永木が言及した「競争」こそが、2017シーズンのアントラーズが掲げたテーマだ。強化の最高責任者に就いて22年目を迎える鈴木満常務取締役強化部長は、近年にない積極的な補強を行った今オフの狙いをこう明かしたことがある。

「チーム内の競争を激しくするような補強をして、上手くすれば勝てるというチームから、力でタイトルを勝ち取れるチームを目指していこうということ」

 二冠を達成したといっても、昨シーズンはセカンドステージで11位に低迷。連覇を狙ったYBCルヴァンカップではグループリーグで敗退している。短期決戦のチャンピオンシップへ向けて特にメンタル面を鼓舞させて、40日間で10試合を戦った終盤戦の過密スケジュールで8勝2敗という結果を残した。

 いわば不安定さをも同居させるチーム状態から、無双のオーラを身にまとう黄金時代へ。チーム力をさらにアップさせるために白羽の矢を立てられたのがペドロ・ジュニオール、レオ・シルバ、クォン・スンテ、三竿、レッズ戦には出場しなかった元ブラジル代表MFレアンドロ、リオデジャネイロ五輪の代表候補だったFW金森健志(アビスパ福岡)といった新戦力だった。

 鈴木常務取締役が見すえるのはJ1の連覇。今シーズンの頂点に立てば、昨シーズンとは桁が異なる収入を得られる。ほぼ倍増の3億5000万円となった均等配分金に加えて、3倍の3億円となった優勝賞金、そして3年間で総額15億5000万円が支給される理念強化配分金も新設された。

 トータルで22億円もの増収となる先に、鈴木常務取締役はこんな青写真を描いていた。

「次のシーズン(2017年)でも勝てばいろいろな配分金や賞金も入ってきて、投資というか、いいサイクルが生まれる。ウチとジュビロ磐田が争っていた時代みたいに、頭が抜きん出たチームにしたいという思いがあるので。勝って勝ち組に入るのとそうじゃないのとでは、どんどん差がついていく。その意味でも、少し無理をしてでもやらなきゃいけない」

「クラブW杯のリベンジもあるし、ACLは絶対に」

フジゼロックス・スーパーカップを制した鹿島アントラーズ

 レッズ戦を前にしたミーティングで、石井正忠監督は中2日でグループリーグ初戦を迎えるACL、1週間後に開幕するJ1へつなげる狙いを込めて必勝を厳命。長いシーズンで目の前にあるすべてのタイトルを獲りにいくうえで、所属するすべての選手の力が必要になると力を込めた。

 フジゼロックス・スーパーカップを皮切りに、リーグ戦、YBCルヴァンカップ、天皇杯の国内三大タイトル。そして、いまだにラウンド16の壁を打ち破れていないACL。貪欲な思いを膨らませているアントラーズの選手たちが、最も強く意識しているのがACLとなる。昌子が言う。

「クラブワールドカップのリベンジもあるし、それに向けてACLは絶対に、という気持ちもある。その一歩目となるタイトルを取れたことはよかったし、これを弾みにしたい。これを取ると取らないのとではけっこう違うと思うけど、取ったからにはこれで終わりということで。すぐにACLが始まるので、浸らないように切り替えて頑張らないと」

 今シーズンのクラブワールドカップはUAE(アラブ首長国連邦)での開催となる。開催国枠代表はUAEに移るため、決勝で延長戦の末に敗れた悔しさを晴らすためにはACLを制し、アジア代表の座を勝ち取るしかない。元日の天皇杯を制した直後に、昌子はこんな言葉を残してもいる。

「来シーズンは打倒アントラーズで来るチームが多くなる。その中でもちろんJ1連覇を目指すし、一度でもタイトル獲得を味わうと『もうやめられん』というか、もう一回取りたくなる。去年も当初の目標は三冠であり、そこにクラブワールドカップ制覇も加わった。その中で二冠に終わったことは鹿島としては不甲斐ないし、反省するところでもある」

 J1連覇を至上命題として掲げるフロント。タイトルのなかでも特にACLを強く意識する選手たち。目標は異なるようで、その実は車の両輪を成し、常勝軍団を力強く前進させていく。ホームのカシマサッカースタジアムに蔚山(韓国)を迎える21日のACLグループリーグ初戦から、本格的な戦いが幕を開ける。

(取材・文:藤江直人)

【了】

https://www.footballchannel.jp/2017/02/20/post198745/

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