1対1と空中戦にめっぽう強いセンターバックだった。主力として活躍した鹿島アントラーズでは9つのタイトルを獲得。日本代表が初めてワールドカップ本大会に出場した1998年のフランス大会ではレギュラーとしてピッチに立ち、2002年の日韓大会でもメンバーに選出された。サッカーファンにとっては、忘れられない選手のひとりである。
食に対しては、「プロらしくストイックに」を意識してきた。そのために、栄養学も勉強したという。
「太りやすい体質なので、脂肪分を取らないようにしていました。月並みですけど、味付けは薄味にして、ローカロリーで高タンパクのものを選ぶように気を付けましたね。食材が偏らないようにするために、あまり好きではないセロリやパセリも、意識的に食べるようにしました」
現役時代のサイズは180センチで78.5キロ。
「78.5キロと79キロの間を維持するのが本当に大変で。体重は落ちすぎてもパフォーマンスが悪くなるのでダメなんです。あと、とにかくお酒を控えるようにしました。プロになって1年目はたくさん飲んだけど、これでは代表になれないと自覚、徹底的に節制しましたね」
サプリメントも使ったが、栄養は食事で取るようにしていたので、あくまで補助。たまに食べるのがプリンで、「プリンがよく似合うって言われるんですよ」とニヤリ。「ミナミの帝王」を見ながら食べるのが至福の時だったとか。
試合の前日は肉だ。アドレナリンを出すためで、「体重を維持するために魚系を食べるようにしていたんですけど、試合中は戦わなければいけない。やっぱり肉を食べると違うんですよね」。ホームで試合のときは、寮母さんの作るステーキがごちそうだったという。
「パステリア ゴッツォ」(鹿嶋市)にもよく通った。「いかとルッコラのパスタ」がお気に入りで、家族と一緒に通ったそうだ。
「サッカー選手なら24時間サッカーのことを考えろ! って思うね。食べることはもちろん、飲むこと、遊ぶこと、寝ることも、サッカー中心にしないと。それができるかできないかで全然違う人生になる。近ごろの試合を見て思うのは、男性ホルモンが出ている選手が少ないということ。全力で力を出し切っている姿が見られない。いかにそれを見せられるかがプロだよ」
現役引退後は、指導者や解説者のかたわら、スポーツ用品の卸や販売を手掛ける「サンクト・ジャパン」の代表取締役を務める。
「“サンクトバンド”というトレーニング用ゴムチューブ・ゴムバンドを販売しています。これが結構評判がよくて、プロ野球の巨人、DeNA、ロッテ、ソフトバンクに納品済み。“ファーシャ”のすべりが良くなる天然ゴム製の“フロスバンド”というグッズも売っています。ファーシャというのは、筋膜を覆っている結合組織のこと。これが硬くなると体も柔軟性を失って“老化”ということになります」
食に気を配り運動もすれば、老化知らずだ。
(浦上優)
元日本代表・秋田豊さんはパセリやセロリを進んで食べた