<アジアチャンピオンズリーグ:鹿島2-0ペルセポリス>◇決勝第1戦◇3日◇カシマ
クラブ初のアジア制覇に挑む鹿島アントラーズがホーム第1戦で先勝した。後半13分にMFレオ・シルバが先制し、同25分にはMFセルジーニョがJリーグ選手としては史上2人目のACL5戦連発。ジーコ・テクニカルディレクター(TD)の影響を受ける2人の活躍で、ペルセポリス(イラン)に2-0で快勝した。優勝確率100%のデータをひっさげて、10日(日本時間11日)にイランで優勝を決める。
歓喜の輪に加わる人数が増えていった。2人、3人…いや、もっと来る。主役のレオ・シルバが腕を振っていた。「来い、来い」。力強く仲間を呼び、あっという間にふくれ上がった。「確かに自分が得点できてうれしいけど、その過程では全員がボールに関わっている。みんなで喜びを分かち合おうと」。その行動。今の鹿島を象徴していた。
不慣れな中東勢との試合、決勝の大舞台、許したくないアウェーゴール。前半は気持ちが引いていた。開始早々のピンチは何とか、DFチョン・スンヒョンの顔面ブロックでしのいだ。
変えたのが後半13分のシルバだった。MF土居とのワンツーから「強さよりコースを」と狙い澄ました先制弾。そして「ああやって『来い、来い』と言ってくれてチームに一体感を生んでくれた」とDF昌子。チームが再び1つになった。
すると“ACLの申し子”も続いた。後半25分、MF三竿健の浮き球を左足アウトサイドで合わせた。こちらも技あり弾。「健斗に叫んだら言葉が通じたみたいでパスしてくれた」。JリーガーのACL5試合連続弾は09年ガンバ大阪FWレアンドロに並ぶ2人目の快挙。第2戦を有利とする複数得点に、笑みがこぼれた。
8月のジーコTDの来日とともに調子を上げたチーム。原動力は、その威光にひれ伏すこの2人だった。
ほぼ同時に来日したセルジーニョは当初、中東からオファーを受けていた。だが「いい選手だ」と「鹿島のジーコ」に興味を持たれたと知り、即決した。昌子は言う。「ぶっちゃけ、ずばぬけたモノはないし、足が速いわけでもない。でも、ボールが収まるし、いいところにいる」。これで公式戦18試合で9得点3アシスト。まじめな性格がすぐ仲間に愛され、なじんだ。
シルバも「働かないブラジル人に厳しい」というTDの目を恐れて? 調子を上げた。公式戦の4得点は8月以降。土居は「前半戦は正直言うと『穴』でしたけど、今では1人多く12人対11人で戦っているよう。ブラジル人にとって、ジーコはすごいんだと思いました」と笑う。シルバも「ずっと居てもらいたい。お守りのように」と笑った。
ACLの過去11度のホーム&アウェーの決勝は、ホームで先勝した5チームが全て優勝。ジーコの教えは「最後、頂点に立っていないと意味がない」。全員が肝に銘じ、いざ8万人の敵地へ向かう。【今村健人】
◆鹿島シルバ&セルジーニョ弾ジーコの教え胸にV王手(ニッカン)