日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年11月4日日曜日

◆AFCチャンピオンズリーグ2018 決勝 第1戦(オフィシャル)





2018年11月03日(土) 15:00キックオフ 県立カシマサッカースタジアム

【入場者数】35,022人 【天候】晴、弱風、 気温18.4度、 湿度52.0% 【ピッチ】全面良芝、乾燥

【主審】マー・ニン 【副審】ツァオ・イー 【副審】シー・シアン 【追加副審】フー・ミン 【追加副審】リュウ・クォックマン 【第4の審判員】フオ・ウェイミン

マッチレビュー

ACL決勝第1戦 vsペルセポリスFC

前半90分、2-0。レオとセルジが決めた!アジアの頂へ、鹿島がホームで先勝!

「こえる」ための戦い、最終章。鹿島がアジアの頂へと力強く前進した。AFCチャンピオンズリーグ決勝、第1戦。カシマスタジアムにイランのペルセポリスFCを迎え撃つと、スコアレスで迎えた58分にレオ シルバが左足シュートを決めて先制に成功する。70分にはセルジーニョが値千金の追加点。守備陣も最後まで体を張り続け、アウェイゴールを許すことなくホイッスルを聞いた。“前半90分”終了、2-0。鹿島が聖地でアドバンテージを掴んだ。

10月24日の準決勝第2戦、鹿島は敵地で底力を見せ付けた。水原三星戦、スコアは3-3。前半にセットプレーから先制する理想的な展開となったが、後半の立ち上がりに悪夢の時間が待っていた。わずか8分間で3失点を喫し、1-3とビハインドを負う。2試合合計スコアでも4-5と逆転を許してしまった。だが、選手たちは真価を示してみせた。円陣を組んで意志を改めて統一し、そして始まった猛反撃。西が鮮やかなボレーを決め、セルジーニョが超絶技巧の右足シュートを突き刺す。2試合合計6-5と再逆転を遂げ、韓国まで駆け付けたアントラーズレッドのビジタースタンドとともにファイナルへの切符を掴み取った。

鹿嶋へ帰還した選手たちは2日間の充電期間を経て、土曜日にトレーニングを再開した。1週間後の決戦を見据えながら、しかし目前に迫るC大阪戦に照準を合わせながら、チーム一丸で準備を進めていく。そして月曜日に行われた紅白戦、指揮官は大幅なメンバー変更を示唆するラインナップを並べた。「水原で同点に追い付いて、結果を見せた。選手たちに逞しさが出てきたと思う。若い選手も続いていってほしい」。若武者の反骨心と闘争心に火をつけ、「総力戦」の真の意味を体現すべく、その躍動に期待を託す。そう述べた大岩監督は同時に、百戦錬磨の闘将や鉄壁の守護神に勝利への羅針盤を委ねた。

果たして、断行された先発変更は9名だった。C大阪との対峙、先発メンバーリストには4年目にしてJ1初先発初出場を遂げた久保田、山口、田中、町田、小田といった面々が並ぶ。「ここで勝てば勢いがつく。誰が出ても、勝たなければいけないのがアントラーズ」。若武者たちは口を揃え、不退転の決意とともにピッチへ解き放たれた。そして見せたのは、気迫に満ちた90分――。小田が放ったヘディングシュート、プロフットボーラーとして初めて刻んだスコアを一丸となって守り抜き、会心の完封勝利を収めたのだった。

「次はACLだぞ!絶対に勝つぞ!」。C大阪戦後のロッカールーム、大きな声が響き渡った。虎視眈々と出番を窺い、悔しさをぶつけて結果を出したフレッシュな面々の奮闘がチームに大いなる刺激をもたらす。犬飼は「決勝に向けて本当に理想的な流れ。今日、試合に出ていない選手に火がついたと思う」と頷き、次なる戦いを見据えていた。

準備期間は2日間。チームは集中力を研ぎ澄ましていった。青空のクラブハウスで前日練習を行い、公式会見には大岩監督と昌子が出席。センターバックとしてDNAを継承する2人が、指揮官とチームリーダーとしてアジアのタイトルに挑む。「必ず頂点に立ちたい。その気持ちを、アントラーズファミリー全員が持っている」。決意を刻み、そしてついに決戦の時を迎えた。



総力戦で立ち向かう“前半90分”へ、指揮官は再び9名の先発変更を断行。スンテと昌子は引き続きメンバーリストに名を連ね、最終ラインには西とチョン スンヒョン、山本が復帰した。ボランチは三竿健斗とレオ シルバのコンビ、そして2列目には土居。さらに、U-19日本代表での活動からチームへ復帰した安部もピッチに立つ。前線は今大会4戦連発のセルジーニョ、そして鈴木。ベンチにはGKの曽ケ端、犬飼、安西、永木、小笠原、遠藤、金森が座った。





ファイナル特有の高揚感と緊張感が、青空の聖地を包み込んだ。朝早くからアントラーズレッドに埋め尽くされたスタジアムは、決勝の装飾と音響によって誇り輝いていく。ペルセポリスFCの面々がピッチへ姿を現すと、大音量のブーイングが鳴り響いた。聖地、カシマへようこそ。そして選手たちが戦いの場へ足を踏み入れると、その名を呼ぶ声がピッチにこだました。幾多もの旗と横断幕が闘争心に火をつける。そして、15時ちょうど、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。



タイトルマッチにふさわしく、開始直後から痺れるような時間が続く。ルーズボールの奪い合いとなり、中盤で秩序を保てなかった鹿島は少しずつ後退してしまった。そして4分、左サイド深くから上げられたクロスをクリアしきれずにゴール前へ流れると、至近距離からシュートを打たれてしまう。しかし、スンヒョンが体を投げ出して気迫の顔面ブロック。夏から加わった頼もしきファイターが、渾身の守備で鹿島を救ってみせた。続く6分には距離のあるFKがゴール方向へ飛んだが、スンテが右手1本でセーブ。母国での準決勝で誇りを守り抜いた2人が、今日も聖地で矜持を示してみせた。





鹿島はパスミスも多く、なかなかボールを落ち着かせることができない。11分にはカウンターを受けて背後を取られたが、安部が警告覚悟のファウルを敢行。イエローカードを受けたものの、決定的なピンチを招く前にプレーを止めた。全ては、勝利のために。ホームでの第1戦、クリーンシートを保つことが極めて重要な任務だ。選手たちはもがき苦しみながら、それでも少しずつ秩序を取り戻しながら、時計の針を進めていった。





スコアレスのまま前半の半分を終えようかというところで、思わぬアクシデント。イラン国旗を持った男がピッチヘ乱入した。誇り高き決戦、許されざる行為に水を差されてしまったが、選手たちの集中が乱れることはない。プレー再開から2分後、この日最初の決定機は25分だった。レオが左サイドから蹴ったFKをファーサイドの西が頭で落とすと、鈴木が振り向きざまにボレーシュート。強烈な一撃はしかし、枠の左へ逸れていってしまった。







鹿島は32分、土居のスルーパスにセルジーニョが抜け出してペナルティーエリア内からシュート。さらに41分にもセルジーニョが右サイドからクロスを上げ、安部がヘディングで狙う。枠へ飛ばすことはできなかったが、イラン王者を脅かしてみせた。0-0。緊迫感が張り詰める45分を経て、スコアレスでハーフタイムへ突入した。

15分のインターバルですら、スタンドには緊張感が漂っていた。これがファイナル、これこそがタイトルマッチ。戦いの場へと帰還した選手たちを、アントラーズレッドは大音量の情熱とともに迎え入れた。最高のサポートを背に、イラン王者のゴールを陥れる――。勝負の45分が始まった。





鹿島は果敢に攻めた。まずは48分、鮮やかな連係で右サイド深くまで進出すると、西のパスをセルジーニョが収めて後方へ戻す。レオが狙い済ましたシュートは枠を捉えられなかったが、得点の予感を確かに漂わせた攻撃だった。

待望の瞬間は、先の場面から10分後に生まれた。主役は、背番号4。レオが西のパスを受け、土居とのパス交換でペナルティーエリア右手前へ進出すると、左足を振り抜く。グラウンダーのシュートは、イラン代表の守護神が伸ばした手の先を転がり、そしてネットを揺らした。1-0。58分、レオ シルバ。「過去のACLでは外国籍選手の活躍で優勝できたという歴史があるようだが、自分もそうなりたい」。そう語っていたダイナモが、殊勲のスコアを刻んでみせた。





ついにリードを奪った。鹿島は直後の60分にも、セルジーニョのスルーパスから鈴木が背後を取る。惜しくもオフサイドとなったが、突破口は確実に見出せていた。イラン王者は次第に平静を失い、ラフなタックルも増えていく。鹿島の選手たちはしっかりとメンタルコントロールしながら、次なるチャンスを狙っていた。



そして、70分。敵陣右サイド深くで西が倒されてFKを獲得。セルジーニョが蹴り込むと、ゴール前での競り合いから混戦となり、健斗がセカンドボールを拾う。ペナルティーエリア手前から、落ち着き払ったラストパス。エリア右奥へ走り込んだのはセルジーニョだった。左足で合わせ、緩やかな軌道のシュートは着実に枠を捉えた。ACL、5試合連続得点。背番号18が離れ業をやってのけた。2-0。鹿島がリードを広げた。







残り20分、鹿島は意志を統一して時計の針を進めた。途中出場の永木がハードタックルを連発してペルセポリスFCの反撃を封じれば、安西は高速ドリブルで守備網を切り裂いていく。後半アディショナルタイムには小競り合いから相手選手が2度目の警告で退場。小競り合いとなる場面もあったが、カシマスタジアムは勝利だけを見据えて闘い抜いてみせた。















前半90分終了、2-0。アウェイゴールを許さずに複数得点差で勝利を収める。アジアの頂へ前進し、アントラーズレッドは歓喜に包まれた。そして叫ばれたのは、次なる戦いへの誓いだ。3日後の柏戦、そして1週間後はテヘランでの“後半90分”。目前の戦いに集中し、総力戦で突き進む。














【この試合のトピックス】
・ACL通算32勝目を記録し、G大阪を抜いて日本のクラブで歴代首位に立った。
・イランのクラブと初めて対戦し、初勝利を収めた。
・セルジーニョがACLで5試合連続の5得点目を記録した。
・今季の公式戦で最多となる35,022名の観客数を記録した。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


ペルセポリスFC:ブランコ イヴァンコヴィッチ


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
前半は相手の勢いを受けてしまった。相手の勢いを加速させてしまうような立ち上がりにしてしまったので、ハーフタイムに修正した。後半はしっかりと全体を前に押し上げることで、サイドが使えるようになり、相手を広げることで、中央からのコンビネーションで得点を挙げることができた。狙いとしていたパターンが得点につながったと評価している。セットプレーの流れもそう。後半に限っていえば、狙い通りのプレーができた。しかし、まだ前半が終わっただけ。しっかりと第2戦のアウェイに向けて準備したい。選手たちには、次のJリーグに向けて気持ちを切り替えようと話した。

Q. 厳しい日程のなかで4試合を戦うが、この日程をいい結果で乗り越えればクラブとしての前進が期待できるのではないか?

A. 厳しい日程は今に限ったことではなく、今シーズン通じてタイトなスケジュールのなかで戦っている。それを言い訳とせず、選手全員、スタッフ全員で乗り越えてきた。当然、この4試合も非常にハードだが、誰一人として言い訳はしない。パフォーマンスで示そうという空気がこのチームにはある。そのなかで結果を出すことが我々の使命。JリーグのC大阪戦では、出場機会の少ない選手が結果を出すことで、より一層チームに一体感をもたらし、今日のパフォーマンスにもつながった。次のJリーグ柏戦にもつなげていきたい。選手がプレーで表して結果が出ていることは、非常にうれしく思う。チームとして、クラブとして、一回りも二回りも大きくなる要因となれば、これほどうれしいことはない。

Q. セルジーニョ選手の評価は?

A. 加入当初から言ってきたことだが、スピードがあったりとか、体が強いとか、ヘディングが強いとか、何か突出した部分はない選手。しかし、周りを活かし、周りを使いながら自分を活かすプレースタイルがある。試合を重ねるごとに日本人選手の信頼を得て、彼自身も日本人選手の特長を知り、うまくかみ合うことでパフォーマンスが上っている。チームに好影響を与えてくれていて、非常に評価している。

Q. 第2戦はアウェイとなり雰囲気も違うと思うが、タイトルを獲るために必要なものは?

A. これまでACLをずっと戦ってきたなかで、簡単な試合は1試合もなかった。当然、決勝だし、テヘランのスタジアムはこれまでとは違った雰囲気だろうと予想している。ゲームに入って、試合の立ち上がりから相手の勢いを受けずに、アグレッシブに戦うこと。あとは、セットプレーを含めて効率よく戦うことで、相手の戦意をそぐような戦いをしながら、得点を奪いたい。現時点では、しっかりした守備から、効率のいい攻撃につなげていきたいと考えている。

Q. ハーフタイムの修正点は?

A. 前半を見て、少し全体が後ろに重くなっていたと感じていた。ディフェンスラインにサイドバックが吸収されて、ボランチも吸収されて、サイドハーフも吸収されて、全体が重いという分析をした。勇気を持ってディフェンスラインを上げようと伝えた。そうすることで、サイドバックが高い位置を取れる。サイドハーフがワイドに開ける。そこが第1の修正点だった。さらに、ピッチの中央でコンパクトになることで、相手の速さであったり、中央での激しさというものに対して、数的優位に立つことを考えた。そういうことも含めて、全体を押し上げるように指示した。

Q. リードした状態で第2戦を戦うが、選手たちの精神面でどんな準備をしていくか?

A. 現時点では、しっかりとリカバリーをすること。それが、次の柏戦に向けて、精神面でのリカバリーにもなる。モチベーションにもなる。数日経って、今日の試合を振り返り、改善点をしっかりと洗い出し、そこを修正することが、しっかりとした精神面のケアにつながっていくと思う。


ペルセポリスFC:ブランコ イヴァンコヴィッチ
まず、アントラーズにおめでとうと言いたい。いいゲームだったと思うが、レフェリーには少し落胆している。このゲームはアジアにおいて、もっとも大きな試合の一つだと考えているが、レフェリーが少し試合を壊してしまったと思う。試合の結果もやや残念に感じるが、第2戦がある。テヘランでこの試合にマッチアップして、全力で戦いたいと思う。


選手コメント

[試合後]

【レオ シルバ】
やはり決勝の舞台では誰しも緊張があるもので、立ち上がりに影響があった。西アジアのクラブとは初対戦ということで、慣れる必要があった。ただ、前半の終盤からはチャンスを作れるようになったと思う。得点の場面では、狙い通りのコースにうまく蹴ることができた。

【セルジーニョ】
前半の途中から相手に慣れて、自分たちのサッカーができるようになった。選手、スタッフ、フロント、サポーターが信頼してくれていることが、ピッチ上で得点という結果につながっている。点を取れるのは嬉しいけど、誰が点を取るかは重要ではない。目標はタイトルを獲ること。次の試合でもみんなで点を取って、タイトルを引き寄せたい。

【チョン スンヒョン】
冷静に試合を進めなければいけないと思っていた。自分たちの目標は優勝なので、それに向かって突き進むだけ。シュートブロックの時には、クロスをクリアしようとして背後に流れてしまったので、体を投げ出してでも止めようと思った。

【クォン スンテ】
個人的には満足できない内容になってしまった。もっとチームのためにできることがあったのではないかと考えている。まずは1点が必要と強調した。1点を取れば楽になることはわかっていた。

【永木 亮太】
まだ1戦目だし、しっかりと失点ゼロで抑えることを考えていた。前半はフィジカルの部分でやられていたけど、後半は自分たちのペースで戦えたと思う。

【鈴木 優磨】
相手のサッカーは今までに経験がないものだった。とにかく長いボールを当ててくる印象だった。サイドをうまく使えれば、チャンスになると思っていた。

【安部 裕葵】
崩しに行くというより、展開しに行くというイメージで動けばいいと思っていた。点が入ってからはメンタルのゲームになったけど、自分たちは乱れずにプレーできたと思う。

【昌子 源】
この結果はサポーターが作ってくれた雰囲気のおかげ。背中を押してくれた結果が、無失点という結果になった。


◆AFCチャンピオンズリーグ2018 決勝 第1戦(オフィシャル)

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