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2019年03月09日(土) 16:03キックオフ 県立カシマサッカースタジアム
【入場者数】16,659人 【天候】晴、弱風、 気温14.1度、 湿度39.0% 【ピッチ】全面良芝、乾燥
【主審】中村 太 【副審】唐紙 学志 【副審】権田 智久 【第4の審判員】堀越 雅弘
待望のリーグ戦初勝利!今季初の無失点試合!
第3節にして、アントラーズが待望のリーグ戦初勝利を挙げた。湘南ベルマーレをカシマスタジアムに迎え撃つと、58分に安西が先制点を奪取。虎の子の1点を最後まで守り抜き、公式戦6試合目で今季初の無失点勝利を飾った。
リーグ開幕戦となったホーム大分トリニータ戦は、カウンターから2失点を喫して痛恨の敗北。第2節川崎フロンターレ戦も、主導権を握られる苦しい試合展開となり、辛くも1-1で引き分けた。ここまでリーグ戦2試合では苦戦を強いられている。
3月5日に行われたACLグループステージ第1節ジョホール戦も厳しい戦いとなった。平戸、セルジーニョのゴールで2点リードを奪ったが、後半80分に公式戦4試合連続となる失点。2-1で勝利を収めたが、納得できる内容とは言えない。攻撃時のリスクマネジメントに課題が残る試合となった。
そして、迎えた3月9日。ジョホール戦から中3日、アントラーズはJ1第3節湘南ベルマーレ戦に臨んだ。指揮官が指名した先発メンバー11人は、GKにクォン スンテ、最終ラインは右から内田、犬飼、町田、安西。ボランチはレオ シルバと永木がコンビを組んだ。右サイドにレアンドロ、左サイドに安部、フォワードには伊藤と土居が入った。またベンチには、曽ケ端、関川、セルジーニョ、三竿、遠藤、名古、山口が座る。
勝利への渇望を声に乗せ、ウォーミングアップへ向かう選手たちに大きなチームコールが降り注がれた。聖地で戦う90分。目指すは勝利のみ。熱気と高揚感に溢れたスタジアムで、戦いの火蓋が切って落とされた。
アントラーズの最初のチャンスは16分に訪れた。伊藤が正確なポストプレーでボールを落とすと、すかさず後ろから走りこんだレアンドロがミドルシュート。ゴールへの気迫みなぎるシュートだったが、惜しくも枠を大きく超えた。
この試合初のシュートを放ったアントラーズは、勢いそのままに攻勢を強める。左サイドの安部を起点に、土居、安西、レオ シルバが連動。湘南の守備陣にじりじりと圧力をかけていく。
27分には、レアンドロがミドルシュート。これは惜しくも枠左へ外れる。28分には、相手のパスミスを拾ったレオ シルバが、伊藤の足元へ鋭いパスを入れる。ボールを受けた伊藤は、中央から左へ流れながら、グラウンダーのシュートを放った。しかし、これは惜しくもGKに阻まれた。アントラーズは得点の匂いを感じさせる、果敢な攻撃を繰り出していく。
守備陣も指揮官の期待に応えるリスクマネジメントをみせた。湘南にボールを奪われても、素早いカウンター攻撃を許さず。コンパクトな陣形でブロックの内側への進入を全く許さなかった。
すると45分、前半終了間際に試合が大きく動く。積極果敢なドリブル突破を仕掛ける安西を湘南の岡本が倒す。岡本には2枚目のイエローカードを提示され、退場処分が言い渡された。
このまま前半は0-0で終了。ゴールこそ奪えなかったが、残り45分を数的優位で戦うことになった。
後半に入っても、アントラーズが主導権を握った。永木、レオ シルバの両ボランチが的確なポジショニングでセカンドボールの回収を続け、常に相手陣内でプレーを進める。
すると56分、アントラーズは右サイドで起点をつくる。内田がレアンドロとのパス交換で中央へ進入し、最終ラインの裏へスルーパス。抜け出した伊藤がシュートを放ち、ゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定でゴールは認められなかった。
押し気味に試合を進めるアントラーズだが、10人の湘南相手になかなかゴールを奪えない。カシマスタジアムに駆け付けたアントラーズファミリーが、絶え間ない大声援で選手を後押しする。勝利へ。真っ赤に染まったスタンドが選手に力を送った。
58分、ついに歓喜のときが訪れた。敵陣右サイドからレオ シルバがクロスを上げると、ファーサイドで待つ安西のもとへ届く。安西は寄せてきたDFを冷静に交わし、ファーサイドへシュート。美しい軌道を描いたボールはサイドネットを揺らした。1-0。待望のスコアが刻まれ、カシマスタジアムが沸騰した。
リードを奪ったアントラーズは、62分に安部との交代でセルジーニョを投入。先制の勢いそのままに攻撃の手を緩めず、積極的にシュートを狙う。70分には土居のパスから伊藤翔、71分にはセルジーニョのクロスにレアンドロ、74分にはレオ シルバのスルーパスから土居聖真がシュートを放った。得点には至らなかったが、立て続けにチャンスを迎え、積極果敢なプレーを続ける。
試合終盤。両チームのベンチが動いた。75分、アントラーズはレアンドロにかえて山口を投入。湘南はDFのフレイレにかえてFW指宿を投入した。勝負を決する最後の15分を迎える。
76分、アントラーズは捨て身の攻撃に出る湘南に押し込まれた。ペナルティエリア付近でパスを回されると、ペナルティスポット付近から鈴木に決定的なシュートを許す。しかし、これは内田が身を挺してシュートをブロック。頼れるキャプテンがチームの危機を救った。
立て続けにチャンスをつくられるも、アントラーズは集中力を切らさない。選手同士が声を掛け合い、一丸となって湘南の攻撃を防ぐ。
86分、相手選手との競り合いで額を切った内田との交代で三竿がピッチへと送り出される。今季リーグ戦初勝利へ。時計の針を着実に進めていく。アントラーズファミリーの期待を背負った選手たちが、最後まで気持ちをみせたプレーをみせた。
そして、待ちに待ったホイッスルが鳴り響いた。1-0。アントラーズレッドのスタンドが揺れた。10人の湘南相手にリードを広げられなかった点は課題として残るが、シーズン開幕から続いた連続失点をストップした。
喜びを分かち合ったアントラーズファミリー。しかし、余韻に浸る時間はない。次なる戦いはすぐにやってくる。チームは明日、休む間もなく中国へと向かい、3日後には山東魯能戦だ。準備期間はわずか1日のみ。限られた時間で最善の準備を進める。ACL第2節、アウェイで勝利だけを見据えて戦う。
【この試合のトピックス】
・今季初のリーグ戦勝利
・今季初の無失点試合
・レアンドロが今季初先発
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・相手が10人になったことを頭に入れ、どんなシステムでくるかしっかり確認して対応しよう。
・シンプルにサイドチェンジを使い、相手を走らせよう。
・斜めの動きを効果的に使い、空いたスペースへ積極的に走っていこう。
湘南ベルマーレ:チョウ キジェ
・サポートを早く。
・シュートで終われ。
・みんなで連動すること。
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
相手が10人になり、後半の最初から相手のシステムをよく見ようと話した。そこで自分たちの立ち位置を見て、ポイント、ポイントでアクションを起こそうと話した。選手は非常にいいアクションを起こしてくれた。難しい試合だったが、ホームのサポーターの皆さんに勝ち点3を届けることができたことを、非常に評価している。すぐに次の試合があるのでリカバリーしたい。
Q.次のACLに向けて、この勝利がもたらすポジティブな影響は?
A.リーグ戦で初めて勝ち点3を取ることができた。当然、この流れをつなげることは重要だが、ACLのアウェイゲームのハードさは、昨年経験している。この勢いを持っていくというより、新たな戦いに向けてしっかり準備するという気持ちが強い。
Q.うまくいかない時間が長かったが、原因はどこにあると感じているか?
A.うまくいかない時間は、当然ある。相手があってのことなので、今日は相手10人のすばらしい守備があって苦労した。狙うべきところ、目指すべきところは、選手たちはしっかりと目指していた。これを積み重ねて、続けていくだけだと感じている。
Q.ゴールも含めて、安西選手の評価は?
A.開幕から非常にすばらしいパフォーマンスを続けてくれている。今日の得点はそのご褒美。彼に得点が生まれたことを非常にうれしく思う。攻守において、彼の推進力、アグレッシブさというものがチームに勢いを与えている。ケガ人が多く、フル出場を続けてもらっているが、日ごろから彼自身の向上心を感じている。そういったところは、日本代表へとつながっていく。替えのきかない選手なので、大事にしながらも、彼の成長を止めないように、チームの一員としてプレーすることを求めていきたい。
Q.スケジュールが厳しいなかでもターンオーバーをしていない理由は?
A.特にターンオーバーは意識していない。目の前の試合はどの試合も重要だと思っている。当然、疲労もあるので、選手のコンディションも考慮しながら、やっていきたい。その都度、ベストと思うメンバーで戦っていきたい。
湘南ベルマーレ:チョウ キジェ
カシマスタジアムでの、この一戦を開幕前から楽しみにしていた。前半からセカンドボールへの反応だったり、飛び出していくプレーだったり、相手より前に立って優位に立とうというプレーができていただけに、レッドカードは痛かった。しかし、サッカーではあり得ること。前への推進力は少し落ちたが、非常にいい試合ができていた。この時期にこういったエネルギーを出していけたら、必ず次につながる。まだまだ前進できるし、のびしろはたくさんある。選手たちはファイティングスピリットを持って最後まで戦ってくれたので、負けはしたがすがすがしい気持ちだ。このチームの監督であることを誇りに思う。
選手コメント
[試合後]
【安西 幸輝】
前半で相手が退場して攻撃やポゼッションで有利になることができた。ゴールの場面は、相手が1人少ないということもあって、敵陣奥深くに走り、レオからいいボールが来た。後は相手がスライディングするところをしっかり見て決めることができた。
【永木 亮太】
リーグ戦でまずは勝ちたかったので、勝てて本当にうれしい。しかし、相手は1人少なくなって、もっとパスをつないでやっていきたかった。そこは、改善していかなければいけないところ。
【土居 聖真】
自分のところで、もう1点決めるチャンスもあったし、他の選手のところでもチャンスはあった。そこで、追加点を取ることが出来なかったというところは課題になる。
【伊藤 翔】
何よりも僕たちには勝利が必要だったので、勝ててよかった。相手が一人少なくなり、試合展開が難しくなった中で、点を決めることができたのはよかった。あとは、ゴールを決めた幸輝のスキルが高かった。
【内田 篤人】
今日の試合は、試合内容よりも、勝ち点3が絶対に必要だった。先ずはこれでチームとしてもいい方向に進んでいくことができる。
【安部 裕葵】
ハイプレスのなかで相手に退場者が出て優位に運べた。チームが勝つことが、第一。今シーズンが始まって自分のところにマークがくるのはわかっている。そういうのをチームとしても個人としても利用して、うまく試合を運ぶことができれば、より自分自身もレベルアップできると思う。
【犬飼 智也】
相手が一人少なくなったので、勝たなければいけない試合だった。その中で、無失点で終われたのはよかった。点を取りにいきたくなる気持ちが出るのは当たり前なので、後ろのリスクマネージメントとバランスを意識してプレーしていた。ボランチとサイドバックとともに常に準備ができている。これを、継続していきたい。
◆2019明治安田生命J1リーグ 第3節(オフィシャル)