福島のことなんて、誰もしらねぇじゃねえかよ! [ カンニング竹山 ]
[7.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第9節 浦和ユース 1-1 尚志高 浦和駒場]
「アントラーズは競争レベルが高いので、それを勝ち抜くことがA代表に近づいてくるのかと思ったので選びました」。浦和やFC東京など複数のJ1クラブが争奪戦を繰り広げた尚志高FW染野唯月(3年)は、来季から名門・鹿島アントラーズへ加入する決断を下した。
その発表から初めての公式戦となったプレミアリーグEAST・浦和ユース戦。来季から鹿島で戦う選手として自覚あるプレーを求められた染野は、サイドに流れてからの仕掛けやラストパスで決定機を演出し、前半36分には味方が繋いできたボールを予測してPKを獲得。そして、「強いシュートで蹴ったからこそ決めることができたんじゃないかと思います」というシュートを左隅に決め、U-20日本代表GK鈴木彩艶(2年)からゴールを奪った。
昨年度選手権得点王のシュートの上手さ、チャンスメーク力はさすがだった。ただし、負傷を抱えている影響もあったか、自らシュートまで持ち込まずにパスを選択するようなシーンが増加。また思うようなプレーが出来ない中でチームに良い影響を与えられず、運動量も低下した後半アディショナルタイムに交代を命じられてしまう。
日の丸を背負ってオリンピック予選を戦った経歴を持つ仲村浩二監督は「一番やらないといけない選手が上手くいかないとメンタルを崩している。周りに気を遣えるように。(仲間が上手くプレーできなくても)『いいよ、いいよ』と言えるようになってもらわないと」と指摘。加えて、U-18日本代表にも選出されているストライカーに対し、日本を背負うことの重みを理解することも求めていた。
染野は「もっと走りきらなくちゃいけないですし、自分が走りきれなくて、他のFWの方が走れたということであの交代があったと思う。チームのためにもっと何をしなければいけないか考えて取り組めればいい」と唇を噛んだ。
自分がやらなければならないこと。それはチームの先頭に立って走り、必ずゴールを決めることだ。「自分が何かをしなければいけないという立場になって、自分の中で背負っている部分が大きいと思うけれど……。やっぱり、(仲村)監督が使ってくれたり、仲間がパスを出してくれたり、自分を期待してくれている部分がある。それに応えなくちゃいけない。自分は常に1試合1点という目標があるので、ブラさずにやっていきたい」と力を込めた。
今後は鹿島のサポーターをはじめ、より多くの人たちがその結果に注目するだろう。「自分が点を決めて、常勝軍団を引き継いでいければいいと思うので、点というところを見てもらればいい」。鹿島OBのFW大迫勇也同様に“半端ない“と評される逸材FWだが、プロや日本代表として活躍していくためには、メンタル面で逞しくなることが必要。これからプロ入りするまでの半年、そしてプロ入り後もチームのために走り、背中で仲間たちを引っ張って、ゴールを奪い続ける。
(取材・文 吉田太郎)
◆鹿島内定の尚志FW染野はPKで1ゴールも交代指示。やるべきことを見つめ直し、ピッチで表現する(ゲキサカ)