アジア杯グループリーグ初戦のベトナム戦に後半32分から出場した日本代表MF佐野海舟(鹿島)が試合から一夜明けたトレーニング後に報道陣の取材に対応した。短い時間ながら効果的にボールに絡んだベトナム戦を振り返り、「もう次に切り替えているので、チームとしても個人としても昨日出た反省を生かしてやっていきたい」と前を向いた。
ベトナム戦では前半に日本が苦戦する様子をベンチから見て「守備の部分ではあまり噛み合っていなかった。ベトナムのボールの動かし方が上手く、自分たちが対策しているところを上回られた」と感じていた。そのうえで「自分が出てからは、セカンドボールを拾って、より前に行くことだったり、ライン間でボールを受けられればいいなと思っていた」という。
後半32分からピッチに立つと、そのイメージをしっかりプレーで表現した。後半40分には佐野がセカンドボールに寄せたところから日本のマイボールになり、MF遠藤航、MF堂安律、MF久保建英を経由してFW上田綺世のゴールにつながった。後半アディショナルタイムにはドリブルで前線へ侵入、左サイドの久保につなげてチャンスの起点になった。
「自分が入ったときは前めのボランチだったので、役割もハッキリしていました。課題はたくさんあるけど、できている部分もあったかなと思う」と手応えをつかんでいる。ベトナム戦に先発した遠藤とMF守田英正のダブルボランチを見て感じたこともある。それは「今出ている選手たちは試合中にしっかりコミュニケーションを取ってどんどん修正していた。そういう力が自分には必要かなと思う」ということだ。
現状では先発で出るにしても途中出場するにしても遠藤か守田のどちらかと組むことが多いと見られ、「(遠藤)航くんとやるにしても守田くんとやるにしても、自分は自由に動いてもいいのかなと思っている。バランスを見つつ、どんどん動きながら変化を与えればいいのかなと思う」とイメージを膨らませている。所属の鹿島では中盤で相手のチャンスをつぶし、ボールを奪い取るプレーが光るが、「これからは(自由に動くという)そういうのもやっていかないと選択肢も広がっていかない」と考えている。
昨年11月に追加招集でA代表に初招集されたばかりだが、この2か月あまりの間にアジア杯のメンバー入りを果たし、ピッチにも立った。その中で、今は新たな「自分の像」(佐野)をつくっているところだ。
「守備だけできてもダメ。より攻撃的にやりつつ、でもやっぱりボールを奪うという良さを出せる選手にはなりたい。チャレンジしながら『自分の像』をつくれればいい」
1月5日にカタール入りして10日が経過した。海外組もまじえたトレーニングや宿舎での生活は「めちゃくちゃ楽しさがある」という。「10日と聞いて、もうそんなに経ったのかと思うくらい早い。そのくらい刺激はもらえている。もとから貪欲なところはあると思いますけど、学ぶものがたくさんある。どんどん吸収して自分の武器や力にできればいい」。1か月後、どんな佐野海舟になっているか。その姿も楽しみだ。
(取材・文 矢内由美子)
◆カタールで刺激的な日々を送る佐野海舟「もう10日も経ったのかというくらい早い」(ゲキサカ)