日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年3月26日火曜日

◆「自分は落ちてない」サッカーU-23日本代表、復活の荒木遼太郎に注目せよ! 生き残りへのカギは?【コラム】(フットボールチャンネル)



荒木遼太郎


「鹿島で試合に出れなかった2年間も自分自身は…」


 鹿島アントラーズ在籍2年目だった2021年に10ゴールをマークし、2022年1月の日本代表候補合宿にも招集されたことのある彼だけに、もともとアタッカーとしての能力は傑出したものがあった。当時はパリ五輪代表のエース級と目されており、大岩監督の期待も大きかったはずだ。

 しかし、2022年以降は出場機会が激減。代表からも遠ざかり、今季を迎えるに当たって4年間、プレーした鹿島を離れる決断をした。

「鹿島で試合に出れなかった2年間も自分自身は落ちてないと思ってたし、出ればやれるというのは分かっていました。やっぱり僕はトップ下を置く監督の下でサッカーがしたいですし、そのポジションで一番輝ける。自分を必要としてくれる監督のところでサッカーをしたいと思って、移籍を決断しました」と本人は2024年シーズン開幕前にピーター・クラモフスキー監督からの熱烈オファーに応えたことを明かしていた。

 そこからリーグ4試合で4得点。鋭い得点感覚が戻ってきた。目下、J1得点ランキング2位という際立った仕事ぶりが大岩監督の目に留まり、2年ぶりの代表復帰となった。そのいい流れを今回のウクライナ戦に持ち込むことが彼に課せられるタスク。今、求められるのは、ズバリ、ゴールという明確な結果だ。

「数字の結果を残せれば一番いいんですけど、アシストのところだったり、ゲームメークのところは自分の武器。そこも出せればいい」と本人も目をぎらつかせている。

 とはいえ、クラブでの主戦場であるトップ下と、代表のIHは微妙に役割が違ってくる。FC東京では2枚のボランチがいるから、荒木は思い切ってトップの位置まで上がれるし、ゴールに突き進む回数も自ずと増えてくる。だが、大岩ジャパンの中盤は非常に流動的。相手の出方を見つつ、臨機応変にポジションを変えたり、攻守両面でのハードワークをする必要がある。

「自分は味方に合わせるのが得意ですし、その中で自分でゴールを奪っていくプレースタイル。IHも問題なくやれるかなと思います」と本人は自信を見せていた。

 今回、1つの追い風になりそうなのは、チームメートの松木とIHの組むことだ。


荒木遼太郎がチームに生き残るためには?


「普段からプレーしている分、お互い要求できるところも分かっている。ただ、2人だけで完結するんじゃなくて、全員で勝てるようにしていきたい」と松木はコメントしていた。彼らがいい連係・連動を見せることで、藤田や佐藤、細谷など周囲の面々とスムーズな攻守をお膳立てし、敵を凌駕していくような形になれば理想的。ある意味、2人のコンビがウクライナ戦の生命線になると言っても過言ではないだろう。

 一方で、荒木は戦況次第でサイドでプレーする時間帯も出てくるかもしれない。本大会を視野に入れると、登録メンバーはわずか18人。指揮官はオーバーエージ3枠を使う方針で、U-23世代の選手にとっては15枠しかない。となれば、1人の選手が複数ポジションをこなすのは当たり前。東京五輪に参戦した旗手怜央(セルティック)が両サイド、ボランチ、左SBとマルチな能力を見せたように、荒木も多彩な役割を消化できる器の広さを示さなければならないはずだ。

 鹿島時代に4-4-2のサイドで出番を得られなかった経験を糧に、どうしたら自分がさまざまなポジションで輝けるかを考え、短時間で具現化することが、代表生き残りへのカギとなる。まずはIHで勝負を賭け、そのうえで柔軟性と適応力を示していけば、大岩監督も荒木の必要性を認めてくれるのではないか。

 欧州組の鈴木唯人の最終予選欠場が確実視される今、点が取れて、推進力のあるトップ下とIHのできるアタッカーはチームにとって重要。荒木にとって千載一遇のチャンスなのは間違いない。

「マリ戦を見ていて、ゴール前の守備が少し軽いと言うか、しっかり1対1で勝てればなかった失点もあった。まずは1人ひとりが1対1で負けないことが大事だし、その後のカバーも集中力を上げなきゃいけないなと感じています。

 攻撃もあまりいい攻めができていなかったんで、自分が間のスペースに入って、もっとゴールに迫れるようにしていきたい」と攻守両面の具体的なイメージを思い描く荒木。その通りにゲームが進み、最終予選前の一戦を勝利で終われるのがベストなシナリオだ。

 戦火の中、パリ五輪切符を手にしたウクライナのタフなメンタリティは想像を絶するものがあるだろうが、それを上回ってこそ、明るい未来が見えてくる。2年ぶりに代表でプレーする荒木にはチームの新たな起爆剤になってほしいものである。

(取材・文:元川悦子)




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