「チームのために何ができるかをもっと考えていきたい」
スイスリーグのセルベッテでプレーするDF常本佳吾は、海外移籍初年度で右SBのレギュラーを獲得。リーグ戦3位と23年ぶりとなるスイスカップ優勝に貢献し、レギュラーシーズンでは選手投票で行われるベストイレブンにも選出された。
順風満帆なシーズンと思われるが、それでも満足せず、貪欲に反省点と課題と向き合おうとしている。
取材で訪れたのは、37節のヤングボーイズとの一戦。この試合に勝つか引き分け以上で、最終節の2位ルガーノとの直接対決まで2位浮上の可能性を残すことができたのだが、0-1で落とし、リーグ3位が確定となった。
試合後のミックスゾーンで「まだまだ」という言葉を何度も口にした常本は、こうシーズンを振り返ってくれた。
「この試合だけじゃなくて、シーズン中に勝点を落としてるところがある。もう結果が、最後の順位が全て。まだまだチームとして、パワーをつけられてない。やっぱり1人1人がどれだけ自分に矢印を向けられるかだと思う。まずは僕自身、もっと自分と見つめ合って、チームのために何ができるかをもっと考えていきたいですね」
成長とは何か? よりチームのために何ができるかだろう。4月のバーゼル戦を取材した時には、「アシストをマークしたり、ゴールにつながる動きで勝利に貢献したい」と話していた。
スイスカップ準決勝では決勝点となるゴールをアシスト。リーグでは30試合出場で3アシストをマークしている。
「やっぱりそういうところで勝たせられる選手になるのが、自分が常に持っている目標です。カップ戦準決勝は良かったですけど、今日の試合も途中から出て流れを変えたり、せめて引き分け以上のところを求められてた中で、監督の期待に応えれなかったのは自分の責任。まだまだですね」
ヤングボーイズ戦では体調不良の影響もあり、ベンチスタートだった25歳のSBは、後半開始から途中出場。前線に好パスを配給したり、スルーパスを通したり、相手プレスがかかるなかで鋭い縦パスで起点を作ったりと変化をつけるプレーはいくつもあった。ただ、結果としてそれがゴールや勝利に繋がらずでは満足するわけにはいかないのだ。
「自分のクロスで勝てるようになれば」
バーゼル戦後に具体的なシーンをあげながら、もっと自分たちがやれることについて言及していた。
「カウンターを受けるシーンがあって、まだまだチームとして厚みのある攻撃ができてない。もっとセカンドボールを拾えたら、厚みのある2次、3次攻撃ができる。ただボールを大事にしながらも、最後は個人で打開するというのがうちのサッカーぽい。最後はちょっと個人頼りのとこもある。だから自分のクロスで勝てるようになれば。勝ててないのは自分のアシストがついてないっていうのもかなり影響してるなって思っています」
欧州で戦ううえでの大事な最初の経験を積み、ベースのところは会得した。来季はさらなるバージョンアップが求められるし、そのための戦いに挑むのだろう。日本代表にとっても頼もしい選手が生まれるかもしれない。
取材・文●中野吉之伴
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