日刊鹿島アントラーズニュース

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2014年9月20日土曜日

◆鹿島vs.横浜FM、記念すべきリーグ戦50回目の老舗対決(sportiva)


http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/jfootball/2014/09/20/vsfm50/index.php

 1993年に産声を上げて以来、今年で22回目のシーズンを迎えているJリーグ(J1リーグ)だが、創設時からリーグに参加するクラブは通称「オリジナル10」と呼ばれる。


小笠原満男(左)と中村俊輔(右)。ともにチームの歴史を作ってきたレジェンド


 東から、鹿島アントラーズ、ジェフユナイテッド市原、浦和レッドダイヤモンズ、ヴェルディ川崎、横浜マリノス、横浜フリューゲルス、清水エスパルス、名古屋グランパスエイト、ガンバ大阪、サンフレッチェ広島がそれにあたる(呼称は当時のもの)。

 そして、1998年シーズンを最後に消滅した横浜フリューゲルスは別として、この「オリジナル10」の中で、まだ一度も2部に降格したことのないクラブがある。それが、鹿島アントラーズ、横浜マリノス(現・横浜F・マリノス)、清水エスパルス、名古屋グランパスエイト(現在は名古屋グランパスに改称)の4クラブだ。

 実は今シーズンの後半戦――、この4クラブによる対戦が、記念すべき「リーグ通算50回目」を迎えていることをご存知だろうか?

 すでにグランパス対アントラーズ(第19節)、エスパルス対アントラーズ(第21節)、F・マリノス対グランパス(第23節)はその対戦を終えているが、今週末の9月20日(第24節)には、アントラーズ対F・マリノスのカードがカシマサッカースタジアムで予定されている。

 アントラーズと言えば、Jリーグ史の中で最も成功しているクラブのひとつで、これまでにリーグ優勝7回(ステージ優勝5回)、ナビスコカップ優勝5回、天皇杯優勝4回など、他を圧倒するタイトル獲得数を誇ることで知られる、まさに常勝軍団の名に相応しい名門である。

 一方のF・マリノスも、リーグ優勝3回(ステージ優勝5回)、ナビスコカップ優勝1回、天皇杯優勝7回(前身の日産自動車時代を含む)。アントラーズには及ばないものの、優勝回数で上位を争ううえに、22年間に渡って日本のトップリーグに所属し続けているという点において、こちらも国内屈指の名門であることに異論はないだろう。

 このカードで思い出されるのは、Jリーグ初年度の1993年ファーストステージ第15節。マリノスが初めて鹿島のホームで戦ったそのゲームでは、実に珍しい事件があった。

 当時、国内のスタジアムの中で芝が深い(長い)ことで知られていたカシマサッカースタジアムに乗り込んだマリノスだったが、実際にプレイしてみると予想以上に芝の深さに苦しみ、なかなかリズムがつかめない状態が続いた。そこで試合中に、当時の主軸だったベテランの木村和司や水沼貴史らがピッチの外に出てスパイクを履きかえていると、主審が彼らをピッチに戻す合図を出す前に、アントラーズの黒崎比差支(現・久志)が先制ゴールを奪ってしまったのである。

 試合中、複数の選手がスパイクを履きかえるためにピッチの外に出てしまうなど、なかなか現代サッカーでは見受けられないシーンである。まさに、時代を感じさせる歴史的珍事件のひとつと言っていいだろう。ちなみに、その先制点で勢いづいたアントラーズは、その後アルシンドの2ゴールもあり、3-1で勝利。最終的には、Jリーグ初年度のファーストステージ初優勝を飾っている。

 とはいえ、当時のJリーグはヴェルディとマリノスの2強時代。宿敵ヴェルディに2年連続で覇権を握られたマリノスは、3シーズン目の1995年のファーストステージで初優勝。その年のチャンピオンシップでセカンドステージを制したヴェルディを破り、初めて年間王者に輝いている。

 1995年当時のマリノスは、チームの礎(いしずえ)を築いた名将ホルヘ・ソラーリと、1993年得点王のディアスが5月にチームを去ったものの、ビスコンティ、サパタ、メディナベージョのアルゼンチントリオを軸に他を圧倒。第11節から定位置を確保した若き正GK川口能活ほか、日本代表の井原正巳をはじめ、小村徳男、三浦文丈、山田隆裕ら日本人のタレントが活躍し、優勝シャーレ(皿)を掲げることに成功した。

 アントラーズが初めて年間王者に輝いたのは、その翌年のことだ。マリノスと入れ替わるように覇権を握ると、1996年、1998年、2000年、2001年に年間優勝。クラブの第1期黄金時代が到来することとなった。

 この時代の中心として活躍したのは、秋田豊、本田泰人、相馬直樹、長谷川祥之といった日本人選手に加え、ジョルジーニョ、レオナルド、ビスマルク、マジーニョという豪華なブラジル人助っ人の面々。その後、名良橋晃、柳沢敦、中田浩二、小笠原満男といったクラブのレジェンドも加わり、長きに渡ってジュビロ磐田との覇権争いを繰り広げている。

 そんなアントラーズとジュビロの2強時代にピリオドを打ったのは、やはり横浜F・マリノスだった。岡田武史監督率いる当時のF・マリノスは松田直樹、中澤佑二、奥大介、久保竜彦といった日本人のタレントと、マルキーニョス、ドゥトラ、ユ・サンチョル、あるいはアン・ジョンファンといった助っ人を軸に、2003年、2004年と連覇を達成。ひとつの時代を築き上げた。

 その後、Jリーグは浦和レッズとガンバ大阪の2強時代に突入するが、しばらくするとアントラーズが復権。2007年の逆転優勝を皮切りに史上初の3連覇を達成し、オズワルド・オリヴェイラ監督の下、2度目の黄金時代を迎えている。第1期黄金時代を知るキャプテン小笠原を中心に、内田篤人、岩政大樹、野沢拓也、興梠慎三、田代有三、そしてF・マリノスの優勝にも貢献したマルキーニョスらが、当時の主な面々だった。

 このように、両クラブの興隆をざっと振り返っただけでも、通算50回目となる今回の対戦の意味合いは増してくる。

 現在、アントラーズに次世代を担う日本代表MF柴崎岳や伝統の継承者ベテラン小笠原がいれば、F・マリノスにはワールドカップメンバーの齋藤学、そしてクラブのレジェンド中村俊輔がいる。「今」を戦う彼らのプレイに注目するのもいいが、オールドファンなら過去の歴史を思い起こしながら応援するのもいいだろう。

 もしスタジアムに足を運ぶのであれば、押し入れの奥に眠っている思い出のレプリカユニフォームを着て、ノスタルジーにどっぷり浸って観戦したいものである。

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