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天皇杯 準決勝
鹿島、6年ぶりの天皇杯決勝進出!土居と鈴木のゴールで横浜FMを撃破!
鹿島が6年ぶりに元日決勝へとたどり着いた。天皇杯準決勝、ヤンマースタジアム長居で横浜F・マリノスと対戦すると、41分に土居がヘディングシュートを決めて先制。73分には途中出場の鈴木が貴重な追加点を挙げ、2-0と完封勝利を収めた。天皇杯決勝進出は、2010シーズン以来、6年ぶりとなった。
鹿島は24日、聖地・カシマスタジアムでの今季ラストマッチとなった準々決勝で、広島を1-0で破った。赤崎が難易度の高いボレーを沈め、曽ケ端が渾身のPKストップでチームを救った。試合後に行われたセレモニーでは、石井監督が「しっかりとこのタイトルを獲る」と、19個目の星を掴む決意を表明した。万雷の拍手に送り出され、鹿島は残り2試合へと歩みを進める。
チームは26日にトレーニングを再開し、3日間の準備期間で集中力を高めていった。指揮官は「チームの雰囲気は良い」と語り、選手たちへの信頼を改めて示した。山本が「ここまで来たので、勝ってシーズンを終えたい」と言えば、永木は「優勝することしか考えていない」と口を揃え、タイトルへの渇望を語っていた。
指揮官は広島戦から先発メンバーを1名変更。柴崎が復帰し、右サイドハーフを務める。前線は赤崎と土居、左サイドハーフには中村が入り、ボランチは永木と小笠原のペア。最終ラインは右から伊東、植田と昌子、山本が並び、最後尾には曽ケ端が立ちはだかる。ベンチにはGKの櫛引と西、ファン ソッコ、ファブリシオ、三竿、遠藤、鈴木が控える。
青空に恵まれた大阪。アントラーズレッドの背番号12は朝早くから待機列を成した。ファイナルへ歩みを進めるべく、ボルテージを高めていった。ウォーミングアップに現れた選手たちに、大きなチームコールが降り注いだ。
13時5分、キックオフ。立ち上がりから、両サイドハーフが高い位置に張り出して突破を繰り返す横浜FMに押し込まれる展開となった。伊東や山本の背後のスペースを突かれ、深い位置で起点を作られてクロスやシュートまで持ち込まれる場面が多くなっていった。それでも、昌子が安定感抜群のカバーリングを見せれば、植田が力強いボディコンタクトでボールを奪う。そして最後尾の曽ケ端が、冷静な判断とセービングでチームを支えた。
鹿島は11分にマルティノスにボレーを打たれ、20分にはペナルティーエリア内で浮き球のパスに反応した富樫にダイレクトで狙われた。しかし、曽ケ端が落ち着いてボールを収め、得点を許さない。スコアレスのまま、時計の針が進んでいった。
25分過ぎから少しずつ横浜FMを押し込み始めた鹿島。左サイドの山本と中村が細かいパスワークから突破を図り、クロスを上げてチャンスを作り出していく。35分には柴崎がペナルティーエリア右奥で浮き球のパスを受け、角度のないところから右足を一閃。枠を捉えたシュートは相手GKに阻まれたが、得点の予感を漂わせた。
そして41分、待望の先制ゴールが生まれた。中盤でのボール奪取からカウンターを仕掛け、右サイドの深い位置で柴崎がパスを受ける。背番号10はゴール前を見据え、ファーサイドへピンポイントのクロス。走り込んでいた土居が力強くヘディングシュートを放つと、弾き出そうと手を伸ばした相手GKの思いは届かず、ボールはゴールへ吸い込まれた。結果的にわずかシュート3本に終わった前半、ワンチャンスをしっかりと生かしてみせた鹿島が均衡を破った。
勢いに乗る鹿島は前半終了間際、柴崎が最終ラインの背後に抜け出し、強烈なボレー。追加点の決定機だったが、シュートは惜しくもクロスバーに阻まれた。前半は1-0で終了。1点リードでハーフタイムを迎えることとなった。
後半は、互いがより積極的にゴールを目指す展開となった。鹿島は50分、スルーパスに抜け出した中村がヒールで落とし、オーバーラップしていた伊東がクロスを上げてチャンスを演出。60分には柴崎のロングシュートが赤崎へのラストパスのような形になってペナルティーエリア内でボールを収めることに成功したが、シュートまで持ち込むことはできなかった。
1点を追う横浜FMは63分、司令塔・中村俊輔をピッチへ送り出す。高精度の左足キックを備える10番の登場で、相手サポーターはボルテージを高めた。
それでも鹿島は、昌子が「慌てていなかったし、やられる雰囲気もなかった」と振り返った通り、選手全員が集中力を保って応戦した。波状攻撃を受けてゴール前に釘付けになる場面も増えたが、身体を張って相手の攻撃を跳ね返し続けた。
71分、横浜FMのセットプレーからゴールネットを揺らされてしまったが、オフサイドの判定で事なきを得る。すると直後、歓喜の瞬間が待っていた。敵陣でボールを奪ってカウンターを発動。永木が右サイドの背後へスルーパスを通すと、走り込んでいた柴崎がワンタッチでゴール前へ折り返す。待っていたのは、6分前に投入された鈴木だった。背番号10からの絶妙なアシストを受け、右足で押し込んだ。2-0。鹿島が貴重な追加点を奪った。
2点リードを得た鹿島は、より圧力を高めてゴール前へ殺到した横浜FMの攻撃をしっかりと跳ね返していく。石井監督は遠藤やファブリシオを投入し、選手の配置変更を施しながらリードを守り切った。ハーフタイム、指揮官から「戦い切れ」と鼓舞された選手たちは気迫に満ちた戦いで、その指示を遂行してみせた。
試合終了のホイッスルが鳴り響いた。2-0。総力戦で勝利を収め、6年ぶりに元日決勝への切符を掴み取った。2017年1月1日、決戦の舞台は市立吹田サッカースタジアム。中2日で迎えるファイナルへ、そして19個目のタイトル獲得へ。アントラーズファミリー全員で準備を進めていく。
【この試合のトピックス】
・2010年以来、6年ぶりの天皇杯決勝進出を果たした。
・横浜FM相手の公式戦は、2014年以降7試合負けなしとなった。
・土居が今大会初ゴール、鈴木が今大会2ゴール目を挙げた。
・2試合ぶりに先発復帰した柴崎が2アシストを記録した。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・後半の立ち上がりをしっかり!集中力を高く保って、最後まで戦い切れ。
・守備はコンパクトに。相手を必ず自分たちの前に置くこと。
・攻守において、お互いの距離感を大切にしながら、細かいポジショニング調整していくこと。
横浜F・マリノス:エリク モンバエルツ
・守備はリスク管理をしっかりすること。
・攻撃はテンポを上げていこう。
[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
立ち上がりから押し込まれる形になったが、そこをしっかりとしのいで1点を取る形を作れた。後半もそれを継続しながら、追加点を取ることができた。試合内容としては非常に良かったと思う。戦う前から、横浜FMさんとの試合では両サイドのドリブラーへの守備がポイントになると思っていた。そこを制限することができれば、失点するような場面が少なくなると思っていた。そういう守備が前半の途中からできて良かったと思う。守備の選手だけではなく、前線からの守備もよく効いていた。追加点を取った後は相手にボールを回されたが、相手のチャンスはなかったと思う。守備が機能していたと思う。
Q.相手の両サイドの選手に突破される時間帯があったが、改めて指示を出したのか?
A.1トップの富樫選手の下にいる前田選手や天野選手とのポジションチェンジがあったので、中央を締めてワイドの選手を使うことが相手の狙いだと思っていた。サイドだけの対応ではなく、そこをセンターバックとボランチがどう見るか、という部分が安定してきた。前半の途中からボランチに対して話をしたし、ハーフタイムでポジショニングをしっかりとやろうという話をしていた。
Q.柴崎選手が結果を残したが、評価は?
A.少し体調を崩していた中で今回はフル出場だったが、サイドハーフで非常に良い働きをしてくれた。アシスト2つで得点にも絡んでくれた。ボランチに下がっても安定したポジショニングをしてくれた。良いパフォーマンスだったと思う。
Q.山本選手の状態は?
A.はっきりとはわかっていないが、思っていたよりは軽いケガだと思う。これからドクターと相談して状態を見ていきたい。
Q.前半に押し込まれる時間帯、もっと前から行きたかったのか、行けなかったのか?
A.横浜FM戦の攻撃の形に対応する中でうまくハマらなかったので押し込まれてしまったが、ある程度は抑えることができたと思う。前半の途中からは気にならなくなった。自分たちが敵陣でボールを動かす形をもう少し作りたかったので、ハーフタイムに指示を出した。
横浜F・マリノス:エリク モンバエルツ
アントラーズは素晴らしいパフォーマンスをしていた。彼らを称えたいと思う。前半は我々のほうが多くのチャンスを作っていたので、リードされるに値する内容ではなかったと思う。我々のゲームプランを前半はしっかりと出せていたし、チャンスを作っていた。しかし小さなミスがあり、それを相手に利用されて得点に結びつけられてしまった。後半の立ち上がりは前半のようなリズムを出せなかった。中村や兵藤、中島を投入して勢いを取り戻してチャンスを作れたが、残念ながらミスをカウンターにつなげられて失点してしまった。運がなかったとも言える。最後に、我々の選手たちを称えたいと思う。若手がチームに勢いを与え、ベテランが若手を引っ張って力を出してくれた。このパフォーマンスは来季につながると信じている。サポーターも1年間、素晴らしい応援をしてくれた。感謝したい。
選手コメント
[試合後]
【土居 聖真】
うまくマークを外せてフリーになったところで、岳から良いボールが来た。秀平くんに折り返そうとも思っていたけど、相手DFが動いたのが見えたのでシュートに切り替えた。90分間の中でずっと攻撃ができるわけではない。流れが悪い時、その状況にうまく対応できていると思う。
【植田 直通】
守備陣は、みんな落ち着いてやれている。クラブワールドカップの経験が大きいと思う。どんな場面でも焦ることがなくなった。でも、次で勝たないと何の意味もない。
【鈴木 優磨】
難しいボールだったけど、しっかり合わせることができた。満男さんに「スネだろう」と言われたので、足で決めたとサポーターにアピールした。
【伊東 幸敏】
アントラーズというチームは勝つことが義務で、勝つことが評価につながると思う。だから結果として2-0で終わったことは良かった。ただ、個人として修正しないといけない部分もある。
【昌子 源】
前半は危ない場面が何回かあったけど、全員で身体を張って守ることができた。慌てる感じはなかった。後半を迎える前には「とにかく1点リードは忘れて攻めに行こう、下がるな」という話をしていた。
【柴崎 岳】
結果としては良かったけど、まだ何も勝ち得ていない。次の試合が大事。コンディションには多少の不安はあったけど、試合に入ってみたら問題はなかった。どのポジションでプレーしても、自分のスタイルを出したいと思っている。相手にもチャンスがあった中で、自分たちがしっかりと決めきることができて良かった。
【永木 亮太】
前半は入りが良くなかった。相手のボランチから前の選手の流動的な動きについていくことができていなくて、修正に時間がかかってしまった。その中で失点しなくて良かった。修正できた頃に先制ゴールが決まった。2点目の場面ではファーストタッチで前を向けたし、その時に岳が見えていた。岳のクロスが素晴らしかったと思う。後半は守備がうまくハマったと思う。