◆2018年ロシアW杯アジア最終予選B組 日本―オーストラリア(31日、埼玉スタジアム2002)
サッカー日本代表は29日、アジア最終予選オーストラリア戦(31日・埼玉)に備え、埼玉スタジアムで冒頭15分以外を非公開とした練習を行った。勝てばロシアW杯出場切符を獲得できる大一番。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は、MF柴崎岳(25)=ヘタフェ=を左インサイドハーフでの先発起用を見据えてテスト。15年10月13日の親善試合イラン戦(テヘラン)以来、約1年10か月ぶりの先発となる柴崎が勝負強さを発揮する。
ハリル監督が1年8か月ぶりに招集したMF柴崎に、チームの司令塔を託す可能性が高まった。日本協会関係者によると、この日非公開で行われた実戦練習で主力組の左インサイドハーフでテストしたという。これまではMF香川が君臨していたポジションだが、今季移籍したスペイン1部ヘタフェでも好プレーを続ける柴崎を指名し、W杯切符をかけた運命の一戦に臨む。
勝負強さと冷静な判断力に定評がある。昨年12月、鹿島の一員として出場したクラブW杯決勝で、欧州王者・Rマドリード(スペイン)を相手に2得点を記録。世界を驚かせた。12年ナビスコ杯(現ルヴァン杯)決勝の清水戦でも2得点を挙げ、優勝の立役者になった。「サッカーを始めた時から練習を一度もサボったことがない」と言い切る努力家。その積み重ねで、大舞台で力を発揮できる技術と心を磨いてきた。
長らく代表を離れていたが、この日の練習後には「これも運命というか。ベストを尽くしたい。(代表に)選ばれたいと思っても(自分が監督ではないので)コントロールできない。選ばれたからには果たすべき責任が代表にはある」と自覚十分。さらに「試合の持つ意味は理解している。慣れているというか、鹿島時代から大一番の意味を持つ試合は何度も経験した。自分が出たら結果を残してチームを導いていきたい」と言い切った。
今年1月、鹿島からスペイン2部のテネリフェに移籍した。初めての海外生活になじめない部分があったが、「いろんなポジションをやったことでプレーの幅が広がった。与えられた役割を全うできるだけのキャパシティーがある」と成長を遂げた。ハリル監督に指摘されてきたプレー、判断スピード、フィジカルの強さもスペイン1部で通用する力を備えた。27日のセビリア戦では先発し、地元紙では両クラブで最高タイの採点を得た。
この日練習で試した主力メンバーには、FW本田、香川と長く代表を支えてきた実力者の名前がない。「プラチナ世代」と言われる92年生まれの柴崎は「長い目で見ると、こういう(自分たちの)年代の人が試合に出ないと未来がない。自覚は持っている」と世代を乗り越え、チームを引っ張っていく考え。「状況に応じたサッカーをチーム全体で意思統一することが大事。それをアシストしていきたい」。勝てばロシアW杯。常に準備を怠らない柴崎は大舞台にも動じず、チームを勝利に導く。(内田 知宏)
柴崎岳が司令塔!約1年10か月ぶり先発に「これも運命というか」