サッカー日本代表は15日、ベースキャンプ地となるカザンで冒頭15分以外を非公開とし、約2時間の練習を行った。1次リーグ初戦コロンビア戦で1トップで先発が有力なFW大迫勇也(28)=ブレーメン=が2度目のW杯で自身初ゴールでチームに勢いをもたらす決意を明かした。MF香川真司(29)=ドルトムント=、MF乾貴士(30)=ベティス=との連係に手応えを示し、ブラジルW杯では果たせなかったエースの仕事を実行する。
聞かれるまでもなかった。FW大迫は即答した。「勝つことしか考えていない。個人としては点を取ることだけ。もちろんFWが点を取ればチームが勢いに乗るし、全体としても勝てる雰囲気が出てくる。FW(の点)は大事」。右ふくらはぎ痛などを抱えるFW岡崎は1次リーグ初戦のコロンビア戦に間に合うか微妙。残された唯一の1トップは、4年間で培ってきたエースの意味を言葉にした。
追い風を感じる。パラグアイ戦(12日・インスブルック)ではトップ下でMF香川、左MFで乾が先発し、2人で3ゴール。コロンビア戦では大迫を1トップとし、3人がそろって先発する可能性がある。これまで大迫が1トップ、香川がトップ下でそろって先発した試合は2試合。13年9月6日のグアテマラ戦(3○0)、17年10月6日のニュージーランド戦(2○1)と2勝と不敗だ。
3人がこの配置で先発した試合はないが、実戦練習で試す機会はあったという。乾を加えた“新生トライアングル”について大迫は「やりやすい」と手応えを口にしている。中央にとどまる傾向があるトップ下MF本田よりも、動き、ドリブルを武器にする香川、乾が近くにいれば流動的な攻撃が仕掛けやすい。ゴール前に入る回数も増えていく。大迫の短い言葉にはこんな変化がある。
初めてのブラジルW杯では初戦のコートジボワール戦、2戦目のギリシャ戦と先発しながら無得点。1次リーグ突破をかけた3試合目のコロンビア戦では先発落ちした。「前回はすごく悔しい思いを個人的にしたので。悔しさしか残らないというか、ふがいなさしかなかった。今回はしっかりと4年間ドイツの1部でプレーしてきて手応えというのは少なからずある。それをぶつけたい」
その悔しさから各国、各クラブのエースにならって、言動を変えた。ボールを失わないパスを選択していた消極的姿勢は、相手DFを背負っていたとしても「俺にどんどん預けてほしい。つなげるから」に変わった。勝つために提言する。ハリルホジッチ前監督時代には「このサッカーじゃ勝てない」、西野ジャパンになっても「(消耗する)あのやり方ならどの選手も30分で死ぬ」と投げかけた。
すべては「夢」と語るW杯で勝つため。「これまでの歴史を変えたい。最低でも1次リーグを突破して今まで以上の成績を残したい。覚悟を持って臨む」。世界と渡り合える1トップを擁する今回は、歴史を記すチャンス。突破の鍵を「初戦のコロンビア戦」と言い切った大迫が自身W杯初ゴールで「エース」の仕事を果たす。(内田 知宏)
大迫、香川と不敗コンビでコロンビア倒す「勝つことしか考えていない」