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第3回はMF柴崎岳(26)の恩師が登場。
サッカーを始めた野辺地(のへじ)スポーツ少年団元監督の橋本正克さん(58)、青森山田高で3年間指導した黒田剛監督(48)。
日本の司令塔として期待される教え子の原点を知る2人が、期待の言葉を送った。(取材・構成=岡島 智哉)
◆野辺地スポーツ少年団・橋本正克元監督
岳がサッカーを始めたのは小学2年生の時です。3年生の時に初めて出会い、一体この子はどこまで行くのだろうかと思いましたね。鳥の目、鷹(たか)の目とでも言うんでしょうか。ピッチを上から見ているんです。「そこ見えるの?」っていう場所にスーッとパスが出てくる。小学生とは到底思えませんでした。
野辺地は豪雪地帯。12~3月はグラウンドが使えません。ずっと体育館でフットサルです。基本のトラップ、パスを集中して教えました。嫌になるくらいやらせました。岳の正確な技術は、才能と血のにじむような努力のたまもの。雪国のハンデを生かした体育館での練習にもあると思います。
スペイン移籍で体も強くなり、スピードにも慣れてきていると感じます。世界基準になれたんだなと。岳が青森初のW杯選手。感動を与えられるプレーをしてくれると期待しています。
◆青森山田高・黒田剛監督
小学校6年生の時に岳を付属の青森山田中にスカウトしましたが、最初は断られてしまいました。ご家族が将来は公務員として地元に残り、サッカーは趣味程度でと考えていたようです。
その1、2週間後、お母さんから電話がありました。やっぱりお世話になっていいですかと。岳が俺はプロになる、みんなに反対されても絶対になると泣きながら説得したそうです。お母さんからプロサッカー選手にしてもらえますかと言われました。絶対プロにしますと約束しました。
全国から注目を浴びる存在になりましたが、Bチームの試合で水をくむし、紅白戦で副審もやっていた。そういう男なんです。天才のように見えるけど、戦えない、運動量が少ないと言われるのが一番嫌いでした。
まだまだ岳はこんなもんじゃない。世界にその名をアピールして世界トップクラスの選手に成長してほしい。コロンビア戦はロシアで観戦します。現地で楽しませてもらいますよ。
恩師が見た「柴崎少年」日本の司令塔に期待の言葉