日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年2月22日金曜日

◆鹿島の伊藤翔は何かやってくれそう。「ゴールがビタミン剤、養分になる」(number)



伊藤翔 Sho.Ito


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 鹿島アントラーズでの公式戦デビュー、伊藤翔が試合開始直後のファーストタッチで、フリックパスを成功させた。アジア王者の「称号」となる黄金のワッペンが胸に映える鹿島のユニフォームの「15番」は、コンビネーションにすんなり溶け込んだ。

 決して大胆なプレーではなかったものの、何かをやってくれそうだ――カシマサッカースタジアムのスタンドに、そんな空気が漂ったように感じた。

 その予感はすぐさま現実のものとなる。

 ACLプレーオフのニューカッスル・ジェッツ(オーストラリア)戦の18分、CKのセカンドボールを拾ったレオ・シルバが強烈なグラウンダーのミドルを放つ。これをセルジーニョがヒールでそらしてコースを変えると、ボールはポストを叩いてこぼれた。

 そこに弾丸のごとく豪快かつ強烈なスピードで飛び込んだのが伊藤だった。鹿島の2019シーズン最初のゴール。気持ちのこもった一撃だった。

ゴールは何よりも活力になる。

「ひとつ前で同じようなシーンがあり、もしかしたら、こぼれてくるかなと感じていました。もちろんFWであれば、毎回あそこは詰めないといけないところ。(気迫がこもっていたように感じたが?)そう言っていただけるのは嬉しいです。でも、もうちょっと格好良く決めたかったですけれどね」

 伊藤は笑った。

 その後もGKとの1対1となる決定機を作り出し、前線からのチェックも最後まで怠らず、チームの4-1大勝劇に貢献した。

「(移籍後初ゴールに)良かったです。良かったけれど、2点、3点とどんどん取っていきたかった。コンディションが上がっていけばもっと良いプレーができるとは思います。だから満足はしていないけれど、ホッとはしました」

 やはり、ストライカーにとってゴールこそが活力になる。

戦いながら鹿島カラーに染まる。

 一方、やはりまだまだパスの呼吸が合わない場面は何度も見受けられた。久々の実戦とあって運動量も後半途中からガクっと落ちた。

「試合数をこなすことでトップフォームに近づいていけます。それは僕のみならず全員に言えること。ただ、そのなかでも結果を残す、『勝つ』ところに着地する。これがアントラーズの強さだと思いました」

 ピッチ上で戦いながら、鹿島のカラーに次第に染まっていく。この73分間でその融合はかなり進んだ。

 横浜F・マリノス時代の昨季は、ルヴァンカップ得点王(8ゴール)など自身キャリア最多となる公式戦17得点を決めた。ゴールへの筋道を立てる。あるいはゴールからの逆算をする。30歳を迎えたストライカーは考察を巡らせながら、結果を残していった。

マリノスで逃し続けたタイトル。

 一方、2014年から在籍5年目になるチームに対し、責任を持つ発言を繰り返した。勝ち星から見放されていた時期、「結局、踏ん張り切れない。それが弱いところ」と、自分自身とチームに対して、はっきりと口にしたこともあった。

 2017年度の天皇杯、昨季のルヴァンカップと2度、決勝で敗れて目の前で優勝を逃した。これまでのキャリアで主要タイトルの獲得はなし。「とにかくタイトルがほしい」と、勝利への渇望は増した。

 そして今オフ、タイトルを獲得できる可能性がより高く、そしてストライカーとしての本能をいかんなく発揮できる環境を求めた。それらを備えた鹿島からのオファーを、伊藤は快諾したのだった。

「FWなので、とにかく決めること。とにかく勝つこと。そこに特化していきたい。とはいえ鹿島は自分が加入する前から強いチームだったので、その流れを自分の中で吸収しつつ、プラスアルファでさらにゴールやアシストにつながる攻撃の形を構築していければと思います。まだ1試合目なので、みんなが僕に鹿島のイメージを持ってくれるように、さらに結果を残すしかないです」

 伊藤はそのように鹿島でのこれからに思いを馳せた。

内田「やってくれなきゃ困る」

 そんな伊藤のプレーぶりはどう映ったか? 生まれ年が同じ1988年である内田篤人に話を聞いた。

 チームキャプテンにも就任した内田は頷いて、彼のファーストゴールを喜んだ。

「今日は早め(72分)に交代しましたけれど、(高いパフォーマンスを)90分やれるポテンシャルを持っている。だからクラブも獲得したのだと思う。僕はアイツが中京大中京高校の時から一緒にやっています。10代でグルノーブルに行っているし、ポテンシャルは十分ある。

 鹿島の“空気”に上手く溶け込めれば、結果を残せる選手。上背のある日本人ストライカーを探したとき、そんなにたくさんいない。(鈴木)優磨もこのあと復帰してくるから、面白い存在というよりも、やってくれなきゃ困る」

 このように大きな期待を寄せていた。

セルジーニョも「嬉しいよ」。

 また、2年目を迎えるブラジル人FWセルジーニョも、伊藤との2トップに手応えを得ている。

「連係を高めるために練習から話し合いを繰り返してきた。あらゆるタイミングについて、それにこういうボールが好きだ、こういう動き出しをするとか、ほしいクロスやパスの種類、細かいところまで、この1カ月、ずっと話し合ってきた。

 だから翔が決めた時は本当に嬉しかったよ。さらに自分も決めることができたからね。上手くいった場面も、上手くいかなかった場面もあったけど、お互いに活躍できたことは何より良かった」

 そして伊藤自身もセルジーニョの2ゴールに刺激を受けたという。

「FWは1点決めるか決めないかで、全然違います。ゴールを決めることがビタミン剤と言いますか、養分になっていく。セルジーニョにとってストレスがたまる試合だったと思うけど、乗ってほしかったからPKを譲りました。それを決めたら乗りに乗って2点目も決めちゃって(笑)。俺も、もっと頑張らないといけないなと思いました」

怖い後輩たちがどのように……。

 鹿島の始動日となった1月15日、伊藤は「クラブハウスの目の前にグラウンドがあり、すべてサッカーにだけ集中できる。打ち込める環境です」と語っていた。同時に「移籍してきたとはいえ30歳。怖い後輩たちがどのようにキバを剥いてくるのか。それも楽しみにしています」とも言っていた。

 内田が言うように若い頃から期待されてきたが、長期にわたるケガに苦しみ、それでも這い上がり、30歳にしてキャリアハイを記録した。そして今、選手として求めるあらゆる条件が揃う、アジア王者の鹿島に新天地を求めた。

 徹底した勝利の希求、そのための練習環境、チーム内競争と一体感。鈴木優磨、セルジーニョ、土居聖真、山口一真……鹿島のFW陣はストロングポイントがそれぞれ異なる。どのような組み合わせが、どのような相乗効果を生み出すのか。だからこそ、大岩剛監督も伊藤のゴールに安堵したに違いない。

デビュー戦ゴールを吉兆に。

 伊藤にとっても縁起の良いゴールとなった。

「気持ち的には良かったです。これで乗っていけるのではないかと。もともと初モノと言いますか、勝負強さは出せてきたので、鹿島でもそれを出せて良かったです」

 清水エスパルス時代の2012年、ホーム初出場の9節・鹿島アントラーズ戦(〇3-0)で1得点1アシストを記録。さらに、横浜F・マリノスに移籍した2014年のデビュー大宮アルディージャ戦(〇2-0)でもゴールを決めている。

 デビュー戦ゴール――。年を重ねるごとに成績が良くなっていった横浜時代に続く吉兆と言える。伊藤は鹿島で幸先よい一歩を踏み出した。




◆鹿島の伊藤翔は何かやってくれそう。「ゴールがビタミン剤、養分になる」(number)





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