アンカーの田中は攻撃面の成長が今後のポイント
中盤では、アンカーの位置で試された田中聡が1番手で、コルトレイクに加入後はポジションを掴んでおり、国際舞台での経験値も豊富。だが、絶対的な存在ではない。松岡大起(清水)もスイス戦ではフィジカル面で苦戦を強いられた一方、持ち前の思い切りの良いボール奪取でチームを支えていた。ともに守備に特長を持つだけに、課題である攻撃面の成長が今後のポイントになってくるはずだ。
インサイドハーフは藤田譲瑠チマ(横浜)と鈴木唯人(清水)が絶対的な柱。このチームの中では最もA代表に近い存在で、前者は守備、後者は攻撃で個の力を発揮できる。ただ、彼らに続く選手の突き上げが乏しい。
同ポジションの候補で、右ウイングでも計算できる本田風智(鳥栖)は、今遠征ではボールを収められずに苦戦した部分もある。こうした状況を踏まえ、待たれるのは今回負傷でメンバー外となった山本理仁(G大阪)の復帰だ。
ボールを動かすスキルが高く、戦い方の幅を広げるうえでも必要不可欠。また、荒木遼太郎(鹿島)も完全復活すれば、攻撃にアクセントを加えるプレーヤーとして面白い存在になるはずだ。
左のサイドアタッカーは斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)に加え、佐藤恵允(明治大)がアジア杯の後半戦以降から評価を上げている。その一方で右サイドは人材難で、イタリア戦では鈴木唯が先発し、前半途中から本田、後半開始からは藤尾翔太(徳島)が起用された。藤尾はゴールを挙げたとはいえ、本職はセンターフォワード。その点を考えても、新たな選手の台頭が待たれる。
伸び悩んでいる小田裕太郎(神戸)、松村優太(鹿島)、西川潤(鳥栖)らが結果を残せば解決できるだけに、彼らのブレイクが今後のポジション争いを大きく左右するかもしれない。
ワントップは、7月のE-1選手権でA代表デビューを飾った細谷真大(柏)が柱で、今遠征もスイス戦でゴールを挙げた。ただ、藤尾もサイドでの起用が続いており、バックアッパーが不在。今遠征では木村勇大(関西学院大/京都入団内定)が初招集されたが、インパクトは残せなかった。
アジア杯で招集された188センチの大型ストライカー中島大嘉(札幌)もクラブで苦しんでおり、櫻川ソロモン(千葉)や染野唯月(東京V)などを再度試すのも一案かもしれない。
年内に残された代表活動はあと1回。そこまでに誰が台頭してくるのか。チームをさらに強固なものにするためにも、選手たちの奮起を楽しみに待ちたい。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
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