日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年12月4日月曜日

◆万感ゴール阻んだオフサイドに鹿島MFピトゥカ「終わった後にはちょっとユウマと話を(笑)」(ゲキサカ)



ディエゴ・ピトゥカ


[12.3 J1第34節 鹿島 2-1 横浜FC カシマ]

 カシマスタジアムからこの日一番の歓声を呼び起こしたスーパーゴールは、VARの介入によって幻に終わった。それでも試合後、当事者の鹿島アントラーズMFディエゴ・ピトゥカは「一番大事なのはチームの勝利。今日勝てたことが全てだし、しっかり最後に勝利できたことが非常に嬉しい」と笑顔で振り返った。

 2-1で迎えた後半5分だった。MF松村優太からのクロスに合わせたFW鈴木優磨のヘディングシュートが右ポストに弾かれ、ピトゥカがこぼれ球を回収。ペナルティエリア外から自慢の左足を勢いよく振り抜くと、力強いシュートがゴール左隅に突き刺さった。

 ピトゥカはその場でユニフォームを脱ぎ、サポーターに向かって歓喜をアピール。今年7月、古巣のサントスから来年1月からの契約を先取りした復帰発表が突然なされ、この一戦がラストマッチとなる可能性が伝えられていた中、スタジアムからはこの日一番の大歓声が背番号21に向けられた。

 ところがそこで物言いが入った。西村雄一主審がオンフィールドレビューを行った映像によると、VARが咎めたのオフサイドポジションにいた鈴木の存在。鈴木がミドルシュートの軌道上でボールにアプローチしていたことで、GKのプレーに影響を与えていたと判断され、ゴールが取り消された。

 ピトゥカにとっては万感の思いで決まったゴールが取り消され、さらにユニフォームを脱いだことによるイエローカードのみ残った結果に。その後はサポーターから何度も個人チャントが歌われる中、積極的にゴールに迫る姿勢を見せたものの、ゴールを再現することはできないままタイムアップを迎えた。

 それでも試合後の表情は晴れやかだった。「サポーターの皆さんが自分のゴールを期待しているのは感じていたし、ゴールが決まったかなと思ったけど、ユウマが前に居て、VARで取り消されてしまった。終わった後にはちょっとユウマと話をして『お前なんであそこにいるんだよ?』『ああ、ごめんごめん』ってそういう冗談もあって……」。終始、笑みを浮かべながらゴール取り消しの場面を振り返っていた。

 その一方で2021年に加入して3年目、今季も無冠に終わったという結果には責任を感じていた。

 ピトゥカは試合後、サポーターに向かってメッセージを送った。「自分が鹿島に来る前からサポーターの皆様がSNSでメッセージを送ってくれて、自分への期待が昂っていると思っていた。タイトルを取ることができずに申し訳ないという気持ちを伝えた。自分がここに来たのはタイトルをもたらすため。絶対にこのチームで優勝するため、責任を背負ってきた。日頃のトレーニング、練習試合、どんな時もこのチームに貢献し、タイトルを取ってこのチームを去ることを決めていたので、それが達成できなくて申し訳ないという気持ちを最後に伝えた」。ミックスゾーンではそのようにやり取りを明かした。

 来季の去就への質問には「今はシーズンが終わったので心身ともに休みたい。これから北海道に旅行に行くんだ。家族と共に1年間走り続けてきたのでメンタル面を休養に充てたい」と述べるにとどめた。しかし、言葉の端々からは惜別の思いがにじみ出ていた。

 高いクオリティーと安定したパフォーマンスで若手選手にも数多くの影響を与えていたピトゥカ。相方として日本代表に上りつめたMF佐野海舟には「素晴らしい選手だし、僕自身も彼から多くのことを学んだ。本当に将来有望な選手で、近いうちに日本代表を背負って数多くの大会で活躍してくれると思う」と太鼓判を送り、さらに「彼だけでなく、若くタレントを持った選手がたくさんいる。彼らがこれから鹿島を背負ってどんどん引っ張ってくれると思う。サポーターが彼らを信じれば、日本に、そして鹿島にタイトルをもたらしてくれると思う」と未来へのエールを送った。

(取材・文 竹内達也)








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