[12.3 J1第34節 鹿島 2-1 横浜FC カシマ]
鹿島アントラーズはJ1逆転残留をかけて臨んだ横浜FCに2-1で勝利し、ホーム最終節を白星で飾ったが、7シーズン連続の国内無冠に終わった。この一戦で今季14ゴール目を決めたFW鈴木優磨だが、試合後のミックスゾーンでは笑顔を見せず、「チームとして前進できたこともあったし、前進できなかったこともあった。難しいシーズンだった」と厳しい表情で振り返った。
今季は昨季途中に就任した岩政大樹監督がシーズン開始から指揮。“新しい鹿島をつくる”というテーマを掲げながら戦ってきたが、序盤戦に4連敗を喫し、スタートダッシュに失敗した。直後には5連勝で急浮上を果たしたが、それ以降の連勝は2が最長。シーズンを通して安定的な結果を残すには至らず、5位でのフィニッシュとなった。
鈴木は岩政監督に絶大な信頼を置かれ、出場停止だった第26節・湘南戦を除いて全33試合に先発出場。14ゴールはチームトップ、リーグでも5位タイの実績だが、満足のいく結果とはならなかったようだ。
「納得は全然できないし、ここが、自分のポジションが大迫さんだったらまた全然変わっていた。自分と比較したときに。それは誰がどう見ても認めないといけないところ。自分の能力不足はすごく感じていて、チーム(の能力不足)よりも一番感じている」。ヴィッセル神戸を優勝に導いた元鹿島のエースFW大迫勇也の名前を自ら挙げ、自身に課題を突きつけた。
そんな鈴木はチームにも目を向けつつ、「難しいシーズン」になった要因の一端を次のように振り返った。
「できているところもあったけど、それが結果に反映されないと、アントラーズ弱くなったって(いう評価をされる)。選手はよくインターネットを見るので、前進できているところに目を向けないでネガティブになりすぎたところもある。得点少ないって言われるけど、見れば下のほうではない。そういったところとの付き合い方もそうだけど……」
そう選手それぞれの心理状態に葛藤をのぞかせつつも「でも間違いなく大一番に勝てないという弱さはあった」という点を指摘。「1年とかそこらじゃ積み上がらない」と述べ、近年の王者を分け合ってきた横浜F・マリノス、川崎フロンターレの強さに話を向けた。
「マリノスと川崎とやってみて感じたのは、彼らが積み上げてきているものの長さ。マリノスと川崎とやった時にもうちの時間帯は必ずあって、でも彼らはその時間帯を何回も乗り切ってきているんですよ。経験上。彼らにはそれを乗り切って勝つ力があったし、僕らはそこに対しての経験がないし、チームとして積み上がっているものがない」
「アントラーズは新しい鹿島を作るというのを取り組んでいる部分で、僕も含めて今年は力のなさを痛感した。チームとしても個人としてもクラブとしても全員が危機感を持って、大きな共通認識のもとで取り組まないと、鹿島として何も残っていかない可能性があるので危機感を感じたシーズンだった」
もっとも今季のリーグを制したのは神戸。鈴木が名前を挙げたリーグ得点王の大迫のほか、FW武藤嘉紀、MF山口蛍、DF酒井高徳といったスター選手たちによって躍進を成し遂げたクラブだ。それでも鈴木は新たに名乗りを挙げた王者から、異なる切り口で学ぶべきところを見つめていた。
「彼らを見て、そういった素晴らしい選手を見て、若手がやっぱりああなりたいと育っている部分もある。佐々木(大樹)選手とかもそうだけど、間違いなく成長していますよね」。鹿島においては、鈴木こそがそうした模範となるべき存在だ。大きな責任を背負う主将は来季に向けて「どういう形だっていいから、うちも早く新しい鹿島をしっかり積み上げていければいいなと思います」と再起を誓った。
(取材・文 竹内達也)
◆最終節で今季14ゴール目も鹿島FW鈴木優磨「ここが大迫さんだったら全然変わっていた」(ゲキサカ)
『自分のポジションが大迫さんだったらまた全然変わっていた。自分と比較した時に。それは誰がどう見ても認めないといけないところ。自分の能力不足はすごく感じている』
— 日刊鹿島アントラーズニュース (@12pointers) December 4, 2023
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