日刊鹿島アントラーズニュース
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2016年2月29日月曜日
◆秋田、岩政の系譜は昌子源にアリ! 鹿島がG大阪に完封勝利の舞台裏。(Number Web)
http://number.bunshun.jp/articles/-/825170
2016年Jリーグファーストステージ開幕戦。新設された吹田スタジアムでのG大阪とのアウェーゲームに、鹿島アントラーズのCB昌子源は、並々ならぬ闘志をもって臨んでいた。
「燃えない訳がない。G大阪はやっぱり特別やし、宇佐美、大森は絶対に負けたくない存在」
兵庫県出身の彼は中学時代、G大阪のジュニアユースでプレーしていた。その頃のチームメイトには宇佐美貴史、大森晃太郎がいた。順調にユース、トップと昇格していった2人に対し、昌子は中3の途中でG大阪ジュニアユースを辞めてしまう。一度はサッカーから離れたが、兵庫県内で指導者をしている父親のつながりで鳥取県の米子北高校に進み、城市徳之監督によってFWからCBにコンバートされると、一気に才能が開花。高2でインターハイ準優勝の原動力になり、鹿島のスカウトの目に留まってプロ入りを果たした。
少し遠回りをしたが、かつてのチームメイトと同じステージに立つことができた。彼らとの戦いは、いわば自分のこれまでの成長を証明する重要な場なのだ。
「『なめられているな』とも思って、かなり燃えた」
この試合には、彼をさらに奮い立たせることがあった。
「相手のスタメン表を見た時、パトリックと宇佐美がベンチスタートということに驚きました。ゼロックス、ACLと向こうは連戦続きなので、仕方がないと思った一方で、『なめられているな』とも思って、かなり燃えた」
G大阪は1トップに長沢駿を起用し前線で起点を作って、大森、アデミウソン、藤本淳吾らの1.5列目がバイタルエリアに果敢に侵入するという戦い方を採った。これに対し鹿島は、昌子を中心に常に距離感を確認しながら、90分間ラインをコントロールし続けた。
「マークの受け渡しミスや、ラインコントロールのミスをしたらやられてしまう。周りと常に目を合わせることを意識して、距離感と声掛けで、相手に自由を与えないようにしました」
その一方で、コントロールに忙殺されることもなく、34分に味方のパスミスが左サイドで奪われそうになると、ポジションを捨てて猛然とプレスをかけ、カウンターの芽を摘み取る。39分にもクサビに反応した長沢にダッシュで上回り、相手のファールを誘発。57分には相手のクリアのこぼれ球を前に出て拾い、ミドルシュートを放つなど、メリハリのあるプレーを攻守で披露した。
「僕の成長がチームの鍵を握っていると思っています」
72分に交代出場のFW鈴木優磨のゴールで鹿島がリードを奪うと、その集中力はより研ぎ澄まされ、宇佐美を投入して攻撃のギアを上げようとするG大阪に飲まれることなく、最後まで弾き返し続けた。
かつてのチームメイトを相手に1-0の完封勝利。この試合で彼が示した存在感は、決意の強烈な表れだった。
「僕の成長がチームの鍵を握っていると常に思っています。僕がDFラインをまとめていかないと、『常勝・鹿島』は復活しない。それくらいの気持ちでやっています」
名門・鹿島の守備の要としての強烈な自覚。これまで鹿島の最終ラインといえば、秋田豊、岩政大樹(現・ファジアーノ岡山)といった日本代表の選手が担ってきた重責。その重責を担うことの意義を彼はよく理解している。
「秋田さんから『お前がどんどん声を出して引っ張って行かなきゃいけない』と言われ、僕の中の『90分間ずっと声を出し続けられるのは自分しかいない』という自負がより強くなった。鹿島の守備を背負うということは、生半可な気持ちではいけないし、ましてや『自分だけが良い』訳ではない。時には自らを犠牲にしながら、どんな形でも周りを牽引していく。そういう役回りの方が自分には合っている」
「地味」ながらこつこつと地位を積み上げた。
彼と秋田、岩政には共通点がある。それは中学時代や高校時代からスター選手だったわけではなく、どちらかと言うと「地味」な選手だったということ。献身的な泥臭いプレーで、一つずつ地位を積み上げてきた。
2011年に鹿島に入団したときも、同期には柴崎岳、土居聖真というスターがおり、昌子は「岳が凄すぎたし、自分は隠れてしまっているなと思った。『お前誰だ?』という存在だった」。
だが、彼はコツコツと土台を積み上げていき、その上に自覚と責任感を築いていった。やがて「隠れていた存在」は、気がつくとDFの頼もしいリーダーに成長していた。
再びG大阪戦の話に戻る。
「サポーターの声援でコーチングの声がかき消される中でも、味方から『分かったからもういいよ』と言われても、どんなことがあっても声を出して、情報共有や流れの把握を促す。今日はそれができたし、開幕戦でG大阪に完封勝利できたことは本当に大きい」
試合後に見せた会心の笑顔。自らの成長を結果で示した彼は、今が伸び盛りだ。
日本の不動のCBになる期待。
筆者は、彼が近い将来に日本の不動のCBになるだろうと期待を抱いている。フィジカルが強く、空中戦やキックに強烈さがあり、これほど熱い気持ちを持ちかつクレバーに戦える存在はそういない。
米子北時代に初めて彼を見たときから、その可能性を感じていた。CBにコンバートされたばかりで、荒削りな選手だったが、身体能力の高さはもちろん、CBとして成長しようとする姿勢が強烈だった。会話をすると、自分の考えをきちんと言葉にでき、何より人の話をしっかりと聞いて吸収しようとする。彼のプレーと人間性はプロになってからもぶれることなく、まっすぐに一本の芯となって伸びている。
その芯が、やがて日本を支える柱となる。秋田、岩政という偉大なる先輩が示した道をしっかりと踏みしめて歩く昌子は、決意の一年の始まりをこう締めた。
「鹿島はタイトルを獲らないといけないチーム。今年は獲らなきゃいけない年だと思っている。そのために自分は全力を尽くすし、その先に日本代表やW杯があると思っている」
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