日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年6月2日金曜日

◆なぜ今、大岩剛新監督なのか?鹿島アントラーズ監督交代劇の真相(GOAL)


鹿島の大岩剛新監督(C)Getty Images

5月31日、鹿島アントラーズは石井正忠監督を解任し、後任に大岩剛コーチが就任すると発表した。なぜ、このタイミングで監督を交代する必要があったのか。鹿島を継続的に取材している田中滋が、その理由に迫る。

鹿島アントラーズがAFCチャンピオンズリーグ2017での敗退を受け、今季の成績を総合的に考慮した上で石井正忠監督との契約を解除することを決定した。後任には大岩剛コーチが就任することとなった。

どちらが監督として優秀なのかが交代劇の理由となったわけではなく、状況に即した監督が起用されたと考えるべきだ。チームの強化部門の責任者である鈴木満常務取締役強化部長は、大岩新監督を起用する理由を次のように述べた。

「石井監督が良いとか悪いとかではなく、チームというものは生き物で常に変化する。そのタイミングにあった監督を起用しなければいけない。変化に対応することが大事だった」

2015年7月に石井監督は、トニーニョ・セレーゾを引き継いで監督として就任した。“教え魔”だったセレーゾは、練習だけでなく試合の中でも事細かく選手に指示を出したことで、選手自身の可能性を制限してしまう部分があった。そのタイミングで、選手の自主性を重んじる石井監督がはまるのは必然のこと。その年にはリーグ優勝こそ逃したが、見事なV字回復を見せ、ヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)で優勝を手にした。

翌年にはリーグタイトルと天皇杯の2冠を達成し、FIFAクラブワールドカップ ジャパン2016で準優勝を成し遂げたが、自主性を重んじるだけではチーム像がぼんやりしていく。クラブは強いリーダーシップを監督に求めたが、そういうキャラクターではなかった。

今季は力のある選手を補強したものの、明確なチーム像を示せず、戦力の融合は果たせていない。そこで「チームの現状がよく見えているし、ストレートな物言いができる」(鈴木常務)という理由で大岩剛コーチがそのまま監督に昇格することとなった。

大岩新監督のストレートな物言いが垣間見られた場面が一度だけある。昨季8月27日、2ndステージ第10節の横浜F・マリノス戦で、体調不良となった石井監督の代わりに監督代行として1試合だけ指揮を執ったことがある。

試合は引き分けに終わったものの、8月20日の湘南ベルマーレ戦で金崎夢生と石井監督が衝突する場面がカメラで捉えられ、その行為をとがめたヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督は、「日本代表にふさわしくない」という理由で金崎を代表から外していた。その直後の試合で石井監督が体調不良になったということもあり、好奇の目線を向けるメディアから「金崎に対するアプローチは難しかったと思います」と質問が飛ぶと、大岩コーチは力を込めて次のようなコメントを返したのである。

「僕が彼に対するアプローチが難しかったということですか?いえ、そういうことは全くなく、彼自身の行動に関しては僕が評価するところではないですし、クラブの中で解決することなので、それはもう解決していることだと認識しています。彼に対する選手としての評価は、僕自身はすごく信頼していますし、彼のプレースタイル、勝負に対する執着心、そういうものはこのチームに欠かせないと感じています」

ナイーブな問題に対して言いよどむことなく、毅然とした態度で答える。こうした姿勢を誰に対しても見せられるのが大岩新監督のパーソナリティーだ。

その試合で見せた采配もおもしろいものだった。横浜FMの齋藤学に、鹿島の右サイドから攻め立てられる中、一対一で劣勢に立っていた西大伍を代えるのではなく、傷んでいたFWの赤﨑秀平を下げて伊東幸敏を入れる采配を見せた。右サイドバックには伊東が入り、西と鈴木優磨が1つずつ前に出ることで、齋藤をケアしつつ攻めに出る。

この日の齋藤を止めるのは難しく、80分に勝ち越し弾を決められてしまうものの、85分に右サイドを西と伊東で崩しファブリシオの同点ゴールを演出した。試合後、西は「これが采配」と自身の力を引き出してくれた大岩コーチの采配に賛辞を送っていた。

急遽、監督を引き継いだ大岩新監督は「このクラブの目標は高い。それを個々に感じてもらって、ピッチ内外で責任を果たしてもらいたい」と選手に呼びかけた。クラブは「勝つために代えた」と言い、新監督も「まずは目の前に試合に勝つことしか考えていない。その積み重ねが大事になる」と、すぐに来るリーグ戦に照準を合わせる。

新監督の初采配は6月4日の明治安田生命J1リーグ第14節・サンフレッチェ広島戦となる。

文=田中滋

なぜ今大岩剛新監督なのか鹿島アントラーズ監督交代劇の真相

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