日刊鹿島アントラーズニュース
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2018年4月14日土曜日
◆2018明治安田生命J1リーグ 第8節(オフィシャル)
明治安田J1 第8節
金崎の2発で連敗脱出!鹿島が名古屋を撃破、公式戦5試合ぶりの勝利!
4試合ぶりに帰還した聖地で、鹿島が力強く再出発を宣言してみせた。J1第8節、名古屋グランパスをカシマスタジアムに迎え撃つと、鈴木のアシストから金崎が押し込んで先制に成功。終了間際には山口のパスを受けた金崎が2点目を決めた。2-0。連敗を止め、3月18日以来の勝利を収めた。
3月31日の公式戦再開から、公式戦4試合勝ちなし。不甲斐なきスコアレスドローに終わった札幌戦、そして敵地での上海申花戦では課題を露呈しながらも1ポイントを掴み取ることができたが、ここ2試合はただただ失意に包まれた。ラストプレーで決勝弾を奪われた湘南戦、そして逆転を許したFC東京戦。アウェイゲームで連敗を喫し、さらに負傷者が続出。安部と山本が戦列を離れることとなってしまった。
暗闇に迷い込み、苦しい日々が続く。だが、下を向く時間はない。次なる戦いは中2日、2週間ぶりに帰還するホームゲームだ。選手たちはFC東京戦の翌日、話し合いの場を設けた。苦境を打開するために、そして勝利の日々を取り戻すために――。全12試合に出場し、前線で戦い続ける鈴木は「みんなが頑張っているけど、噛み合っていないと感じていたので話をした」と明かし、永木も「全員が勝とうと思ってやっている。方向は間違っていない」と頷いていた。改めて意思を統一し、チームのベクトルを強く太くする。ピッチに立つ者だけでなく、全員で戦わなければ勝利を掴むことなどできないのだから。
準備期間は2日間。リカバリーメニューを経て迎えた試合前日には、長時間に及ぶミーティングを実施した。集中力を高め、選手たちはグラウンドへ向かう。負傷者続出の苦境にあって、内田や遠藤の練習合流という朗報もあった。3試合に渡ってピッチから遠ざかっていた昌子のコンディションも回復。「外から試合を観て、わかったこともある」と言うチームリーダーは「チームとして軽いプレーが出たとして、それに対して言うことが悪いとは思わない。勝ちたいから言い合う。技術だけでは勝てない」と、互いに要求し合って高みを目指すと誓っていた。
「この状況はみんなで乗り越えるしかない」と決意を語った指揮官は、限られた準備期間で臨むホームゲームへ「細かい部分でやるべきことをやる」と、基本に立ち返る意識を強調。FC東京戦から5名の先発変更を施し、聖地での90分に臨む。内田がJ1第1節以来の先発出場を果たし、2年目にしてJ1初先発初出場となった小田が左サイドバックを務める。センターバックの一角には昌子が復帰。ボランチの一角には小笠原、2列目には中村が起用された。その他、ゴールマウスに立ちはだかるのはクォン スンテ、昌子とペアを組むのは植田、ボランチには三竿健斗。攻撃陣は中村とともに土居、鈴木、金崎が並んでゴールを狙う。またベンチには、GKの曽ケ端、犬飼、伊東、今季初のメンバー入りとなった三竿雄斗、永木、金森、山口が座る。
湘南戦とFC東京戦、ビジタースタンドを埋め尽くしたアントラーズレッドの情熱はホームチームを凌駕していた。そして今日は、聖地で戦う90分だ。カシマスタジアムに駆け付けた背番号12、その存在ほど心強いものはない。今日こそ、今度こそ、ともに勝利を――。GK陣がウォーミングアップへ向かうと、サポーターズシートにはジーコのビッグフラッグが掲げられた。キックオフが迫るにつれて、聖地はボルテージを高めていく。復帰を果たした内田を呼ぶ声、そしてJ1初先発の小田へ勇気を注入する「逸稀」コールもまた、聖地の空に響いていた。
14時2分、キックオフ。自陣から細かいパスを連ねた攻撃を狙ってくる名古屋に対し、鹿島の2トップは献身的なプレスで応戦していく。最初のチャンスは5分だった。ペナルティーエリア右手前でボールを持った中村が右前方のスペースへスルーパス。絶妙なタイミングで走り込んだ内田がゴールライン際からワンタッチで戻すと、待っていた中村が右足ダイレクトで狙う。ゴール前で反応した土居はオフサイドとなってしまったが、鮮やかな連係からチャンスを演出した。
そして、待望の先制弾は10分に生まれた。昌子の縦パスを土居が中盤左サイドで受けると、瞬時の判断でスルー。背後へ走り込んでいた鈴木がスペースで前を向き、ペナルティーエリア左側から縦へ突破する。マークを外し、グラウンダーのクロス。走り込んでいたのは金崎だった。相手DFと競り合いながらスライディングで押し込み、ゴールネットを揺らした。1-0。金崎の今季4得点目で、鹿島がリードを奪った。
幸先の良いスタートを切った鹿島は12分、自陣右サイドで起点を作られると、ペナルティーエリア左側にラストパスを通される。トラップからシュートを打たれたが、寸前でブロックに入ったのが小田だった。体に当ててコースを変え、ピンチの芽を摘んだ。J1初出場の若き左サイドバックは立ち上がりこそ不安定なプレーも散見されたものの、時間の経過とともに本領を発揮。攻守においてアグレッシブな姿勢を見せ、対人戦で粘り強い応対を繰り返した。同サイドでプレーした小笠原や土居も献身的にカバーへ戻り、J1初先発の若武者を支えていた。
名古屋にボールを持たれる時間が長くなったものの、鹿島は狙い済ましたプレスとカウンターで応戦。16分には自陣左サイドでのボール奪取から土居が前を向き、敵陣左サイドのスペースへ糸を引くような縦パスを通す。待っていた鈴木がトラップから前を向き、ペナルティーエリア左側に入って左足を一閃。惜しくも枠を越えてしまったが、流動的かつスピーディーな攻撃で決定機を作り出してみせた。
20分経過後も、鹿島は名古屋にボールポゼッションを許した。だが、危険なエリアへ入ってくる縦パスには小笠原と健斗が的確に対応。鋭いプレスでパス交換のリズムを寸断し、時にペナルティーエリア内への進出を許しても、昌子と植田が激しく冷静なボディコンタクトを繰り返した。ボール奪取からのカウンターでシュートまで至る回数は少なかったものの、鹿島は集中力を切らすことなく、着実に時計の針を進めていった。前半は1-0。リードを保ったまま、ハーフタイムを迎えた。
追加点を目指す後半も、名古屋にパスを回される時間が続いていく。それでも鹿島は動じることなく、虎視眈々と追加点を狙っていった。50分には敵陣左サイドから鈴木が最終ラインの背後へ浮き球を供給。金崎がいち早く反応すると、飛び出してきた相手GKの前でボールに触ってゴールを狙う。シュートは惜しくも枠を越えたが、一瞬の隙を突いたカウンターでゴールを脅かした。
60分経過後は次第にスペースが増え、ペナルティーエリア内での場面が多く生まれるようになった。68分には金崎が右サイド深くからピンポイントのクロスを上げ、鈴木がヘディングシュート。フリーだったが、わずかに枠の外へ逸れてしまう。71分には細かいパス交換でエリア内に進出し、中村が左足で狙ったものの、相手DFにブロックされてしまった。
大岩監督は75分、ルーキーの山口を前線に送り出す。さらに77分には内田に代えて伊東を投入し、右サイドに活力を注入した。J1デビュー戦となった山口は全速力でのハイプレスを繰り返し、名古屋に脅威を与えていた。
そして、88分。聖地に待望の瞬間が訪れた。金崎が相手の最終ラインにプレスをかけると、こぼれ球に山口が反応。右足アウトサイドでスルーパスを通すと、金崎は広大なスペースを得て前を向く。相手GKの位置を見極め、右足を一閃。エースの一撃がゴールネットを揺らす。アントラーズレッドのスタンドが揺れる。2-0。J1では今季初の複数得点で、鹿島が勝利を決定付けた。
聖地に歓喜が響き渡るのは、3月3日以来だ。待ちわびた瞬間を分かち合い、そして次なる戦いへの燃料として突き進む。初代スタジアムDJダニー石尾氏の5回忌を翌日に控えたホームゲームで、鹿島が再出発を遂げた。
5月20日まで続く怒涛の連戦、次戦は再び中2日でのホームゲームだ。17日、ACLグループステージ最終節の水原三星戦。ラウンド16へ首位で向かうために、そして連勝街道を突き進むために。準備は今この時から始まっている。
【この試合のトピックス】
・J1での名古屋戦は2014年の第19節以来6試合負けなしで、2015年の2nd 第17節から4連勝。ホームでは2015年、2016年に続いて3連勝となった。
・J1の試合における複数得点は昨年10月29日に行われた第30節札幌戦以来11試合ぶりだった。
・金崎が2得点を記録。2試合連続得点で、今季のJ1での得点数を5に伸ばした。
・加入2年目の小田がJ1初先発初出場を果たし、フル出場で勝利に貢献した。
・ルーキーの山口が途中出場。J1デビューを果たした。
・内田がJ1第1節以来の先発復帰。J1の試合でカシマスタジアムのピッチに立つのは、2010年4月18日の第7節広島戦以来約8年ぶりだった。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・相手にボールを持たれているとき、一人一人の守備のマークをはっきりさせること。
・ボールを奪ったあと、もっと精度の高い攻撃を仕掛けていこう。
・ビルドアップのとき、もっとボールを引き出し、自信をもってつないでいこう。
名古屋グランパス:風間 八宏
・悪くない。もっと良くしよう。
・シュートをしっかり狙おう。
・後半もやり続けよう。
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
いろいろなことがあるなかで、今日の試合の重要性を選手に伝えて試合に臨んだ。気持ちの面も含めて、選手たちがピッチで示したプレーがすべてを物語っている。サポーターの皆さんもあれだけの応援をしてくれ、勝利を届けることができてよかった。
Q. リーグ戦で初の複数得点となったが、攻撃面の評価は?
A. チャンスを多く作れたことを第一に評価したい。金崎が得点をする機会が多いが、その他の選手の動き出しや、3人目の動き、敵を引き付ける動きもできていた。それが得点につながっているところも見逃せない。これを続けること。次のACL、リーグ戦につなげていきたい。
Q. 若い小田、山口選手にどのような期待をして送り出したか? また、その評価は?
A. 小田はACLで一度先発の機会があり、そのときのプレーも評価していた。自信を持って送り出した。思い切って、ミスを恐れずプレーしてほしいと思っていた。今日のプレーも非常によかった。途中出場した一真(山口選手)もいいプレーをしていた。けが人が多いなかでも、チーム力が上がっていく手応えを感じている。
Q. 次のACL、リーグの川崎戦に向けた意気込みは?
A. 今は次のACL水原戦のことしか頭にない。選手の回復、選手のチョイスをしっかり見極めて準備したい。リーグ戦のことはまだ考えていない。しっかり準備して臨みたい。
名古屋グランパス:風間 八宏
選手コメント
[試合後]
【金崎 夢生】
自分が点を取ったことより、チームが勝てたことが大きい。2点とも周りの選手に活かされて自分の良さが出た。感謝したい。気持ちが入ったプレーが多かったと思う。
【小田 逸稀】
相手の攻撃の形についての共通理解を徹底して、入れ替わられて背後を取られないように意識していた。自分が試合に出て勝つことができれば、評価につながると思っていた。勝つことができて本当に良かった。
【山口 一真】
苦しい時こそ、試合に絡んでいなかった選手が良いプレーをすれば底上げになると思っていた。出られない選手の分も頑張ろうと思っていた。次もチャンスが来たら、がむしゃらにプレーする。
【内田 篤人】
結果が出て良かった。前線の選手がよく頑張って走っていたと思う。ここで一つ結果が出た。次は中2日でACLがあって、すぐに川崎F戦が来る。気を緩めずにやっていきたい。
【昌子 源】
個人的には、気持ちを出そうと思っていた。ミスはあったが、プレーで示せたと思う。前の選手にとってはきつかったと思うが、前からのチェイシングをやめないでほしいとお願いした。(その結果)チャンスも作られずにできた。前の選手含め全員が追えたからだと思う。
【土居 聖真】
もう一回、みんなが気を引き締めてやっていこうという意味で、よくできた試合だったと思う。この試合をきっかけに連勝していきたい。
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