◆明治安田生命J1リーグ第5節 鹿島0―0札幌(31日・カシマスタジアム)
一目散にベンチへ駆けだした。ハーフタイムに突入するやいなや、鹿島のDF昌子は全速力でベンチに戻り、ホワイトボードを手にピッチに戻った。「集合!レオ、こっち!」。MFレオシルバ、永木の2人を集め、DF植田、山本らも加わった。異例のピッチ上での反省会で念入りにポジショニングを確認。「ロッカーに帰ってからでも良かったけど、それぐらいやられていると意識付けたかったから」。無失点への執念を見せつけた。
開始5分で4本のシュートを浴びる不安定な立ち上がり。発熱による日本代表MF三竿健の欠場が響き、相手選手の飛び出しを捕まえきれない展開が続いた。その中で迎えたハーフタイムの“昌子塾”。後半は相手のシュートを3本に抑え、クラブ史上最少の開幕から5戦1失点とした。攻撃陣が5戦2得点と振るわない中、19冠の歴史を誇る鹿島史上最も鉄壁な代表コンビの存在感は増している。
ベルギー遠征で昌子はマリ戦(1△1)、植田はウクライナ戦(1●2)に先発出場。守備の要・吉田麻也を負傷で欠く中で結果を示したかったが、ウクライナ戦で得点を挙げた浦和DF槙野智章のような目に見える結果を残せなかった。長距離移動を考慮され先発を外れた国内組が多かったこの日、昌子と植田はそろってフル出場。ハリル監督への再アピールに向け、ピッチで気持ちを見せた。
試合後には無得点に終わった攻撃陣に対し、サポーターからブーイングが起きた。「(失点)ゼロで終われたことは良かった」と語った昌子、植田の表情に満足感はなし。引き分け以上で1次リーグ突破が決まる4月3日のACL上海申花戦(上海)を含め、W杯メンバー発表まで鹿島での公式戦は残り12試合。無失点勝利を積み重ね、ハリル監督の信頼をつかみ取る。(岡島 智哉)
◆鹿島の開幕5試合の失点 2008年、16年の2失点がこれまでの最少。08年は大岩剛監督(45)、岩政大樹(現・東京ユナイテッド)を中心とした陣形で開幕5連勝。16年は昌子、植田のコンビで3勝1敗1分け。両年ともにリーグ優勝を達成した。
【鹿島】代表コンビでクラブ新の開幕5戦1失点!ハーフタイムにピッチで“昌子塾”