◆◆サッカーダイジェスト / 2019年9月12日号
中学時代から憧れていたクラブからの誘い。目標としていた選手は…
赤い彗星の10番が常勝軍団の門を叩く。
10月4日、鹿島は東福岡に所属する荒木遼太郎の来季入団内定を発表した。
荒木は正確なパスと展開力を兼備する技巧派MF。本職はトップ下とボランチだが、サイドハーフや最前線でもプレー可能で戦術理解度にも定評がある。昨秋には、U-16日本代表の一員としてアジア選手権で2ゴールを挙げる活躍を披露。チームの優勝とワールドカップの出場権獲得に大きく貢献し、一気に株を上げた。
そうした活躍に注目したのが鹿島だ。今春から継続的に視察。荒木の試合を見るためにスカウトの椎本邦一氏と鈴木修人氏が福岡の地に赴くなど、熱烈なラブコールを送り続けて来た。
一方の荒木も常勝軍団の誘いに胸を躍らせたという。何故ならば、鹿島こそが中学時代から憧れていたクラブだったからだ。
「中学時代に鹿島の試合を鳥栖まで見に言ったことがあります。スピード感が凄かったのですが、特に柴崎岳選手に惹かれたんです。今は在籍していないけど、それからは柴崎選手がいたチームでプレーしたいと思っていました。鹿島に入ることを目指していたので、今回話を頂いて、僕は鹿島に行くことしか考えていなかったです」
まさに相思相愛。憧れの柴崎と同じポジションであり、プレースタイルや背格好も似ているだけに目標とするのも頷ける。現状ではどのポジションで起用されるかは不透明だが、ボランチで育てられるのであれば、柴崎の後継者になる可能性は十分。また、鹿島にはレオ・シルバや三竿健斗といったJリーグ屈指のセントラルMFもいるだけに学ぶべき点は多い。本人も彼らのプレーに影響を受けており、「三竿選手やレオ・シルバ選手の守備がすごいので、そこを見習って、もっと守備で活躍できる選手になれたら良い」と意欲的だ。
鹿島入りが決まり、ここからは高校生活最後の戦いに挑む。今季は10番とキャプテンを任され、名実ともに名門・東福岡の大黒柱として奮闘。春先は4−1−4−1のアンカーに入って攻守でタクトを揮い、シーズン開幕後はチーム事情もあって最前線やトップ下でも安定したパフォーマンスを見せるなど、チームに欠かせない存在だった。
だが、大車輪の働きとは裏腹に、思うように結果を残せていないのも事実。7月13日のプレミアリーグWEST・10節のセレッソ大阪U-18戦で負傷。重傷ではなかったものの、夏のインターハイを欠場する形になったのだ。
負傷の影響で夏のインターハイとU-17W杯を欠場。最後の冬に懸ける!
「出場できなかったのは悔しかった」。冬の選手権を見越した選択とはいえ、荒木にとっては苦渋の決断。サポートメンバーとして帯同したものの、チームも初戦で姿を消し、高校生活最後の夏は歯痒い結果で終わった。
悔しさはある。たが、いつまでも過去に縛られているわけにはいかない。
「自分にできることは精一杯やったから、気持ちを切り替えて冬の選手権に向けて頑張ろう」
そうした想いを胸に、荒木は新たなスタートを切った。負傷からも順調に回復し、9月15日のプレミアリーグWEST13節・ガンバ大阪ユース戦で戦列に復帰。惜しくも先日発表されたU-17ワールドカップのメンバーからは怪我で代表活動に参加できなかった影響もあって選外になったものの、コンディションは上がって来ている。
「ずっと日本一を目指してやって来たので優勝したい。夏のインターハイで負けてから、人一倍練習をして来た。最近は選手権で良い結果が残せていないので、最後はみんなで笑って終わりたい」
負傷の影響でインターハイに出場できず、目標としていたU-17ワールドカップのメンバーからも漏れた。高校生活も残り僅か。このまま終わるわけにはいかない。最高の結果を掴み、鹿島へと旅立つ。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
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