WORLD SOCCER DIGEST (ワールドサッカーダイジェスト) 201...
「警戒はしていたが…」
[高校選手権準々決勝]徳島市立0-4静岡学園/1月5日(日)/駒沢陸上競技場
文字通り格の違いを見せつけたのが、静岡学園の10番・松村優太(3年)だ。
鹿島アントラーズ入団が内定している快足ドリブラーは、4-3-3の右ウイングで先発し、徳島市立の守備網を再三に渡って打破。前半終了間際には、右サイドをぐいぐいとドリブルで持ち上がり、絶妙なクロスでチーム3点目となるFW岩本悠輝(3年)のヘッド弾をお膳立てした。
その後も鋭い突破で観衆を沸かせ、4発快勝に貢献した松村を、徳島市立の河野博幸監督は、次のように評した。
「松村君はもちろん警戒していた。うちは5バックなので、スライドする距離は(4バックより)短くなる。何とか相手に引っ付くことと、抜かれてもいいから外に外に持って行かすように指示しました。しかし、まったく止められなかった。スピードが凄かったのもありますし、ボールの失い方が悪かったという面もあります」
組織力で勝ち上がってきた四国の雄も、強烈な個の力の前になす術がなかった。
「ああいう武器があると全然違いますよね。そこに頼れますし、敵を引きつけて周りを使うこともできる」
徳島市立のキャプテン、MF阿部夏己も脱帽した様子だった。
「10番(松村)と14番(小山尚紀)の両サイドが凄いのは分かっていたんですが、自分たちがついていけなかった。一枚も二枚も向こうが上だった。サイドの対応のせいで中央が空いてしまい、いろいろなところにパスを出されてしまった」
そして、松村の凄さについて、こう語った。
「加速力と推進力は、これまで対峙した中で一番でしたし、あんな選手と対戦したことはありません。やっぱりプロだなって」
今大会ここまでノーゴールながら、持ち味を存分に発揮している松村。静学を24年ぶりの優勝に導けるか。
取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)