サッカー・J2論 (ワニブックスPLUS新書) [ 松井大輔 ]
12月14日にJ1参入プレーオフ決定戦が終了し、来季に向けて各チームとも本格的に戦力補強が始まった。
毎年、移籍市場の主役になるのは、豊富な資金力を武器にライバルチームから引き抜いてきた浦和レッズ。だが、ある“異変”が起きていた。
「19年も浦和は湘南ベルマーレのDF杉岡大暉とサガン鳥栖のMF原輝騎にオファーを出しました。2人ともU‐22日本代表の実力者で、サッカーファンから、『また奪っていくのか…』とぼやきの声も聞こえてきたのですが、2人とも浦和のオファーを断ったのです。結局、杉岡は鹿島アントラーズが獲得し、原は残留しました。今までならビッグクラブの浦和に誘われたら、移籍が既定路線だったのに…」(サッカーライター)
今年のプロ野球のストーブリーグでも、国内FA市場で巨人が美馬学投手と鈴木大地野手に断られ、「巨人ブランド」の失墜が話題になった。それと同じように、サッカー界では「浦和離れ」が加速しているようだ。その原因は何なのか。
「昨年の浦和はアジアチャンピオンズリーグは決勝まで進みましたが、Jリーグでは一時残留争いをするほど低迷。得点を期待されてシーズン前に高額年俸で獲得したFW杉本健勇はまったく機能せず、期待外れに終わった。それどころか、ここ数シーズン、鳴り物入りで移籍しても活躍した選手はほとんどおらず、他チームの選手たちは浦和に移籍してもプラスにならないことに気づいたのでしょう」(前出・サッカーライター)
シーズン終了後に強化体制の一新を発表した浦和。年末にJ2のアルビレックス新潟からFWレオナルドを獲得したが、杉岡と原に関しては、「そもそも2人は、補強すべきポイントのポジションじゃない」と、サポーターからツッコまれてもいた。来季もこのまま迷走を続けることになるのか。