[4.23 ルヴァン杯グループA第5節 鹿島 3-0 大分 カシマ]
3-0の完勝でルヴァン杯グループリーグ突破を決めた鹿島アントラーズだったが、FW染野唯月には悔しさばかりが残っていた。「決められていないからこそ、点を取りたい気持ちは強い」。先輩のFW鈴木優磨からの手荒い叱咤も力に変え、ストライカーとして一回りも二回りも大きくなっていく構えだ。
途中出場の染野にビッグチャンスが訪れたのは投入からわずか1分後の後半13分。DF常本佳吾からのスルーパスに絶妙なタイミングで抜け出した。「抜け出しは(上田)綺世くんを見習って練習しているので上手くできた」。身体で相手DFを制しており、フィニッシュまでは良い形。ところが、右足で放ったシュートは完璧な飛び出しを見せたGK西川幸之介に跳ね返された。
ただでさえ悔しい決定機逸。しかし直後、さらなる追い討ちが染野を襲った。こぼれ球をFW鈴木優磨がゴールに押し込み、大きな追加点が入ったが、鈴木のゴールパフォーマンスは染野に対するガッツポーズ。グループリーグ第3節のG大阪戦でも鈴木の得点後に言葉で煽られ、それを発奮材料に得点を決めていた染野だったが、この日は背中に手荒いキックも受けた。
さらに後半22分にはMF松村優太のクロスにニアサイドで反応するも、シュートはミートせずにファーサイドへ。これをFWアルトゥール・カイキが決めたが、染野の背後でゴールチャンスを迎えていた鈴木から厳しい言葉が向けられた。「あそこで触るだけじゃなくて、ゴールに持って行ければ良かった」。これには染野も反省するしかなかった。
こうした厳しいプレッシャーもモチベーションに変え、その後もゴールを狙っていた染野。しかし、後半32分に常本のクロスに合わせたヘッドも枠を外れ、G大阪戦のようにゴールを決めることはできなかった。鈴木からの厳しい叱咤を「悔しいし、自分も点を取りたい気持ちがある」と振り返った染野は「得点という形で見返したい」とプライドをのぞかせた。
自身が触ったことで鈴木のチャンスにつながらなかった場面については、シュートを選んだことには後悔はなかった。「自分が触るんだ、誰にも触らせないんだということで触った。でも決めないと信頼は得られない。そこで決めていきたい」。目指すはあくまでもゴール。シュートを選ぶことでストライカーとしての存在を示し、決めることでストライカーとしての責任を果たすつもりだ。
鈴木は試合後、この日の振る舞いについて「チームとして底上げがなかったら強いチームになれないし、今日だったらタロウちゃん、染野、マツ(MF松村優太)に点を取ってほしかった」と心境を吐露。「それでチームに良い競争が生まれるのは鹿島にいて知っている。そういう意味で彼らにはやってほしい」と後輩アタッカー陣を鼓舞していた。
その思いはおそらく、6年ぶりの国内タイトル奪還を待ち望むサポーターも同じだろう。この日の終了間際、シュートチャンスのたびにゴール裏からの大きな期待を浴びた染野は「ゴールを待っている人がたくさんいるので、ゴールを取って一緒に喜び合いたい」と言い残し、ミックスゾーンを後にした。
(取材・文 竹内達也)
◆先輩からの熱い叱咤も“シュート選択”に悔いなし…鹿島FW染野唯月「得点という形で見返したい」(ゲキサカ)
#鈴木優磨 『(今日は)タロウちゃん、染野、マツに点を取ってほしかった』#染野唯月 『ゴールを待っている人が沢山いるので、ゴールを取って一緒に喜び合いたい』
— 日刊鹿島アントラーズニュース (@12pointers) April 24, 2022
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