日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年4月2日火曜日

◆【磐田戦で完封勝利も目線は高く。植田直通が示すタイトル獲得のための二つの基準】(サッカー批評)






「1点取ってくれれば勝てるような試合を」と語る強さ……「できるメンツが揃っている」


 鹿島アントラーズはホームでジュビロ磐田と対戦。前半の33分に、ハンドで得たPKを鈴木優磨が決めた虎の子の1点を守り切ったという内容で勝利を手にした。

 磐田の横内昭展監督も準備して来たことが、ある程度出せた中で、結果は鹿島に勝利されたことについて「強いチームは、やっぱりそういうものを持っている。難しい時間が長くても、試合が終わってみれば最低でも勝ち点1を奪う。もっと言えば勝ち点3を取って終わらせる」と語り、そうしたところの差を認めた。

 その強さの原点になっているのが、1点取ってしまえば、ディフェンスがゼロに抑えて勝てるという基本的な考えだ。磐田戦のMOMに輝いたGKの早川友基も「去年も難しい試合で、後はゼロで勝てた試合はいくつかあったし、そこは自分も去年の経験がつながってるなと。チームの共通認識という部分で、全体がゼロで抑えるというところにこだわっていけてる」と振り返り、こうも続ける。

「チーム全体として守れてたかなというのもありますし、もっと突き詰めないといけないところもある」


■「1点取ってくれれば勝てるような試合を」


 その早川とともに、ゴール前を死守したのがセンターバックの植田直通だ。ここまで5得点のジャーメイン良と初スタメンとなった大型FWのマテウス・ペイショットという磐田のツインタワーに対して”相棒”の関川郁万とともに、粘り強く攻撃を跳ね返して、対人だけでなく柔軟なカバーリングでも失点を防いだ。

「1点取ってくれれば勝てるような試合を続けていきたいと思いますし、それだけできるメンツが揃っているので。この勝利はすごく自信につながると思いますけど、まだまだ自分たちはやれることがたくさんあると思うので。また連戦なので、次も無失点にこだわりたい」

 ディフェンスとしては無失点で抑えながら、最低でも1点とってくれれば、十分に勝利を得られるという自信は感じる。終盤は磐田もサイドアタッカーに古川陽介や藤川虎太朗を投入して、仕掛けのところを鋭くしてきたが、最後のところでセンターバックの二人と守護神のところで崩れなければシュートブロック、あるいは枠外に外させることもできる。

 磐田からすると“決定力が”という話になるが、セカンドボールなどからゴール前に押し込まれても、最後のところで自由を与えない。そうした鹿島のディフェンスの強さが、内容的にはむしろ上回る時間も多かった磐田に、最後までゴールを割らせず、防ぎ切った理由だろう。

 しかしながら、それだけではタイトルの基準に達しないことも植田は認める。1−0でも勝てるディフェンスにはこだわっていくが、1−0で十分という意味ではないようだ。

(取材・文/河治良幸)




追加点を取り切って試合を早く決定付ける姿勢……最終的に一番上に立っているために


 ジュビロ磐田戦の1−0の勝利を支えた鹿島アントラーズの植田直通は1つの取材の中で、取り方によっては矛盾することを語った。「1点取ってくれれば勝てるような試合を続けていきたい」と語りながら、前半に1点を取ったところから追加点を奪って、試合を早く決定づけることができなかったことに厳しい目を向ける。

「やっぱり追加点。そこにこだわっていかないと。後半が始まる前に、僕もチームに話しましたけど、これだけ自分たちが引いて行くとやられるぞと。追加点というのは今後、優勝するためにも必要になってくると思う」

 磐田は基本的に後ろから繋いでくるチームだが、鹿島戦はこれまで途中投入されてきたFWマテウス・ペイショットがジャーメイン良と2トップを組んで来たことで、これまでよりロングボールが多くなった。しかも、ペイショットやジャーメインが落としたボールを中盤の選手が拾って繋げる意識も高い。鹿島側は磐田にボールが行くと、全体がどんどん下がって、ゴール前で後手の対応をしなければいけなくなる。

「追加点で試合を終わらせたかった」

 鹿島はそれでも後ろの選手が体を張って守り切ることもできるが、セカンドボールを拾えず、下がりながらの守備になることが、前半の終わりから後半にかけて多かった。回収したボールを前に運びながら、ディフェンスラインを押し上げるということをやって行かないと、ひたすら攻められるづけることになる。そうなってくると鹿島が誇るセンターバックコンビや気鋭のGKをもってしても、全ては跳ね返せなくなって行く。


■理想的でなくとも求められる姿勢


 1−0とリードした後にも鹿島にチャンスがなかったわけではない。もちろん、そこで決め切ることができれば理想的だが、そうでなくても後ろ向きにならずに、矢印を前に向けて行かないと、追いかける相手側にリズムを持って行かれて、セカンドボールも相手側に拾われて二次攻撃、三次攻撃から危険な状況になってしまう。

 ディフェンスの選手としては1−0でも勝てる守備というのは心がけながらも、チームには追加点を取り切る姿勢を要求していく。そうしたマインドはランコ・ポポヴィッチ監督の方向性にも一致するところであり、植田が強調することは鹿島が2018年のACL優勝以来のタイトル、さらに言えば2ステージ制だった2015シーズン以来のリーグ優勝を目指すための指標になってくるだろう。

 ここまで5試合で勝ち点10、首位の町田から勝ち点3差の4位という成績自体は監督が1年目のチームとしては悪くないが、ここから連戦で、どんどん厳しい戦いになっていく中で、鹿島が上位をキープして優勝争いに加わり続けて、最終的に一番上に立っているために「1−0でも勝ち切る」「追加点を奪い切る」という二つの指標を並行させていくというのはチームが共有しやすい基準と言える。

(取材・文/河治良幸)





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