日刊鹿島アントラーズニュース
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2016年11月23日水曜日
◆一発勝負のCS準決勝。 川崎Fと鹿島が抱えるそれぞれの不安材料(Sportiva)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jleague_other/2016/11/22/vscs/
いよいよ11月23日、Jリーグチャンピオンシップ(CS)の準決勝が行なわれる。
対戦カードは年間勝ち点2位の川崎フロンターレと、3位の鹿島アントラーズ。川崎Fのホーム等々力での1発勝負の戦いとなる。
昨年に続いて2度目の開催となるこのCSだが、準決勝のレギュレーションに変更ポイントがある。それは、年間順位の優位性をより大きく反映させるために、90分で同点に終わった場合は年間順位の上位チーム、つまり川崎Fが決勝へと勝ち上がれるのだ。
浦和レッズとガンバ大阪の対戦となった昨年のCS準決勝は、1−1のまま90分では決着がつかず、延長に突入。延長で2点を奪ったG大阪がファイナルへと進出した。年間2位だった浦和にとっては酷な結果となったことを受けて、今季はよりリーグ戦の順位を考慮したルールが採用されることとなった。
もっとも、引き分けでもいい川崎Fにその意識が強すぎると、アドバンテージが裏目に出るおそれもある。とりわけ同点のまま終盤を迎えれば、勝つしかない鹿島がなりふり構わずリスクを負って攻めてくることが予想される。そこで川崎Fが守勢に回って受け身となれば、鹿島の思うツボだろう。
同様のレギュレーションで行なわれるJ2の昇格プレーオフの歴史を振り返っても、失うもののない下位チームが上位チームを撃破するケースは決して珍しくない。川崎Fとすれば、持ち味である攻撃性を保てるかどうかが、この準決勝の最大のポイントとなるはずだ。
「引き分け狙いの戦いができるほど、器用なチームではない」と語るのは、キャプテンのMF中村憲剛。たしかに、今季の川崎Fは守備の安定性が高まったとはいえ、そのスタイルやタレントを踏まえれば、撃ち合いこそが彼らの真骨頂。そうした展開に持ち込めれば、勝機はグッと高まるだろう。
もっとも、シーズンを通して順調に勝ち点を積み重ねて年間2位を手にした川崎Fだが、大事な試合での勝負弱さは、相変わらずだった。1stステージでは、勝てば優勝を決められた第16節のアビスパ福岡戦で引き分け。首位から転落して鹿島に優勝を譲った。同じく、勝利すれば年間勝ち点1位となれた2ndステージの最終節でも2点のリードを守り切れず、G大阪に逆転負け。浦和に勝ち点2及ばず、2位に終わっている。
また、ケガ人の多さも不安材料だ。FW大久保嘉人と並び、今季のチーム得点王となったFW小林悠は左ハムストリング肉離れでCS準決勝の欠場が濃厚。中村とMF大島僚太もケガから復帰したばかりとあって、状態は万全ではないだろう。シーズン終盤に結果を残したFW三好康児、MF長谷川竜也ら若手の台頭は目覚ましいが、彼らがこの大舞台で普段どおりのパフォーマンスができるかは未知数である。
今季かぎりで退任する風間八宏体制の集大成、そしてクラブ創立20周年と、川崎Fが初タイトルを獲得するための舞台装置は整っている。とはいえ、それを実現するだけの説得力を欠いている。そう言わざるを得ないのが、川崎Fの現状だろう。
一方で、タイトルのかかった試合では無類の強さを発揮するのが鹿島だ。国内3大タイトル17冠の実績はやはり伊達でなく、その多くを経験しているMF小笠原満男、GK曽ヶ端準のベテランふたりの存在も心強い。勝ち方を知るチームなだけに、この大一番でもしたたかに試合を運んでいくはずだ。
ただ、鹿島にも不安が付きまとう。1stステージで優勝を果たしながら、2ndステージでは失速して11位に沈んだ。しかも、シーズンを4連敗で終えるという、不甲斐ない戦いぶりだった。失速の原因は、やはり失点の多さに尽きる。1stステージではわずか10失点だったのに対し、2ndステージは24失点と倍以上に膨れ上がった。もともと堅守のチームがそれを見失ったのだから、低迷も当然だろう。
希望を見出すとすれば、直近の天皇杯でヴィッセル神戸に勝利したこと。久しく味わっていなかった勝利の喜びが、好転のキッカケとなるかどうか。引き分けでは上がれないレギュレーションも、開き直りを促(うなが)すという意味では、プラスに働くかもしれない。いずれにせよ、守備こそが鹿島の戦いの肝であり、ここをいかに整えるかが、最重要課題となるはずだ。
今シーズンの直接対決の結果は、川崎Fの1勝1分。相性では川崎F優位と見られるが、ともに絶対的な要素を備えていない以上、勝敗を予想するのは困難極まりない。早い段階でスコアが動けば川崎F、終盤まで膠着(こうちゃく)すれば鹿島。おそらく、そんな試合になるのではないか。
決勝で待ち受ける浦和にとっても、未知の戦いとなるだろう。唯一、2年連続での参戦となるが、昨年は準決勝で敗退。ホーム&アウェー方式のファイナルは経験していない。今季の戦いを踏まえれば、その安定感は3チームの中で群を抜く。課題の勝負弱さも払拭し、ルヴァンカップ決勝も含め、大事な試合で結果を出せるチームへと変貌を遂げている。額面どおりの力を発揮できれば、浦和が王者に輝く可能性は限りなく高い。
浦和にとっての不安は、スケジュールと言えるかもしれない。「試合間隔が空いてしまうと勝てないのが浦和レッズ」とMF柏木陽介が冗談めかして話したが、リーグ最終節(11月3日)から決勝の第1戦(11月29日)が行なわれるまで、4週間近くも間隔が空く。11月12日に天皇杯があったとはいえ、それでも2週間以上実戦から離れることとなるのだ。新シーズンを迎える状況に近いとは言いすぎだろうが、シーズンのいい流れを保つには、時間が経ちすぎてしまった感は否めない。
また、準決勝を勝ち上がったチームのほうが勢いを持って決勝に臨めるだろうし、準決勝と決勝の間隔が中5日とコンディションも整えやすい状況にある。しかも第1戦は準決勝勝利チームのホームで行なわれる。浦和とすれば、ディスアドバンテージな要素が揃ってしまっているのだ。
もちろん、2戦トータルのスコア、アウェーゴール数が並んだ場合は準決勝同様に延長がなく、リーグ戦上位チームが勝利となるアドバンテージも備わるが、いずれにせよ第1戦は厳しい戦いが予想される。ここを耐えしのぎ、ホームでの第2戦にすべてをかける。そんな展開が、浦和の戴冠へのシナリオとなるのではないか。
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