鹿島は11日、始動から3日目となる練習を茨城・鹿嶋市内で行った。ゲーム形式の10対10が行われるなど、本格的なトレーニングがスタート。ポポビッチ新監督が掲げるスタイルが、随所に垣間見える内容となった。
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【縦に速く】 指揮官は、相手の陣形が整う前に攻撃を展開しようとする姿勢を強調。開幕前のため詳細は伏せるが、サイドMFを含めた前線の連係を求め、背後に抜け出すための手立てを熱弁する場面が見られた。
「まずはゴールという意識が強く、ゴールから逆算してどうするかが求められる。奪った瞬間、相手が整う前にどう攻撃するか、のイメージ」(FW垣田裕暉)
指揮官が「縦に速く」と「堅守速攻」をイコールとしているかどうかは、現段階では判断できない。戦術構築の過程の中で、まず最初に手を付けようとしているフェーズだとも言える。時間が一定程度経てば「アクセルを踏む時か、そうじゃないか」のイメージがチーム内で共有され「その先」を求めていくことになるだろう。
【攻守一体】 ポポビッチ監督がミニゲームを止め「ミスは起きる。そこにとらわれず、すぐに切り替えてプレーしよう」と促す場面があった。
右サイドバックで上下動を繰り返したDF須貝英大が「アグレッシブなサッカーになると思う。失った瞬間のトランディション、攻守一体っていうのが求められるかなって思います」と振り返ったように、数選手から切り替えの重要性についての言及があった。この点については、岩政大樹氏による前体制と共通する部分も多い。積み上げの姿勢を第一に“ポポビッチ流”へのアップデートを行っていくことになりそうだ。
【ブラボー!】 2時間の練習で、100回は言っただろう。5秒間で3回言った場面もあった(「(鈴木)優磨ブラッ…あ、(樋口)雄太ブラボー!」と名前を間違えた場面もあったが、多くの選手の名前を既に覚えているようで感心した)
褒めて伸ばす指導法は、現時点では大成功。練習は非常に活気あるものになっている。あまりに褒められるため、照れ笑いを浮かべている選手もいた。
今後、選手たちの序列がハッキリする段階になった時にどう左右するかわからないが、現段階ではDF安西幸輝が「ありがたいですよ、選手としては。モチベーション上がるし。全選手上がっていると思います」と語ったように、横一線での競争を促す意味で“ブラボー効果”はてきめんのようだ。
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練習の合間、コーチ陣が輪を作ってトレーニングのパフォーマンスを振り返る場面もみられた。今は監督の理想を追い求める時期。今後、何もかもうまくいくわけがないので、理想と現実の境界線を見極め、軌道修正を図りながら、チームとしての形をつくっていくことになる。
◆【鹿島】見えてきた新指揮官のカラー キーワードは「縦に速く」「攻守一体」そして「ブラボー」(報知)