
日刊鹿島アントラーズニュース
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2017年8月26日土曜日
◆【コラム】ドイツ2部からロシア行きなるか…内田篤人の新たな挑戦がスタート(サッカーキング)

「自分がちゃんとやれればいけるかなっていう手応えはある。8月いっぱい移籍のウインドーが開いてますけど、これだけ長くケガしていたんで、(新チームの)構想に入ってなかったらしょうがない。1カ月あるから、うまく見極めながらやらないと。練習行っても全然、みんなとやれないっていう選手もいっぱいいるから、それが自分なのか違うのか。厳しいけど、そこはちゃんと見ないといけないのかなとは思います」
2カ月前の6月30日。8シーズン目を迎えるシャルケでの新シーズンに挑むべく、内田篤人(ウニオン・ベルリン)は出発直前の成田空港で淡々とこう語っていた。2015年夏に手術した右ひざの回復が遅れ、15-16、16-17の2シーズンをほぼ棒に振る形となる中、いかにしてシャルケで定位置を奪回するのか……。それが彼にとって当面の最重要テーマだった。ただ、万が一の時には、移籍も辞さない覚悟もにじませていた。
負傷離脱している間、シャルケはロベルト・ディ・マッテオ、アンドレ・ブライテンライター、マルクス・ヴァインツィール、ドメニコ・テデスコと4人も監督が交代。内田に絶大な信頼を寄せていたホルスト・ヘルト・スポーツディレクター(SD)も15-16シーズン限りでチームを去った。現在はマインツ時代に岡崎慎司(レスター)や武藤嘉紀(マインツ)を引っ張ったクリスティアン・ハイデルがSDに就任しているが、ヘルトSDとは内田に対する見方や評価が微妙に違ったはずだ。

「今までケガから復帰した時はある程度、信頼されて使ってもらうパターンだったけど、今は監督も選手もフロントも俺のことを知らない。新しい選手がどういうプレーをするかを理解するところからコツコツやっていかないといけない」と昨年12月8日のUEFAヨーロッパリーグ(EL)ザルツブルク戦で1年9カ月ぶりに公式戦復帰した時も苦しい胸の内を吐露していたが、勝負の今シーズンはより立場が厳しくなった。プレシーズン中の必死のアピールにも関わらず、試合出場の望みがほぼないことをテデスコ監督とハイデルSDに通告された内田は、2010年夏から過ごした愛着あるクラブに別れを告げた。それは「試合に出てナンボ」のプロ選手として当然の決断だった。だからこそ、本人は「迷いはなかった」とキッパリ言い切ったのだろう。
清水東高校から2006年に鹿島アントラーズ入りした直後からレギュラーを掴み、鹿島でJ1リーグ3連覇を達成し、シャルケでもUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ベスト4など欧州トップを経験してきた男にとって、ブンデスリーガ2部というのは未知なる領域だ。細貝萌(柏レイソル)がアウクスブルク、浅野拓磨がシュトゥットガルトの1部昇格の原動力になった例はあるものの、内田ほどの実績を誇る選手でも2部という環境は一味違った難しさもあるに違いない。
まずタレント力の差がある。ユリアン・ドラクスラー(現パリ・サンジェルマン)やレロイ・サネ(現マンチェスター・C)を筆頭にシャルケには優れた攻撃のタレントが数多くいた。バイエルンやドルトムントほどではないにせよ、ブンデスリーガ1部でも自らが主導権を握って攻める時間が長かった。故に、サイドバックの内田が攻め上がってアシストやゴールも絡む時間的余裕があった。ウニオン・ベルリンは昨季2部で4位とリーグでは上位だが、1部から降格してきたインゴルシュタットやダルムシュタットもいるだけに、必ずしもボールを支配することができない試合もあるだろう。その場合は彼の攻撃的長所が影をひそめることも考えられる。

加えて、レギュラー争いも熾烈だ。目下、右サイドバックの定位置を確保しているのは昨季2部で33試合に出場しているクリストファー・トリメル。189センチの長身を誇る大柄な選手で、ダイナミックさを前面に押し出してプレーできる。浅野も「2部はフィジカル的要素が強い」と話していたが、そういうリーグでは、彼のような選手が有利なのかもしれない。
しかしながら、内田にも経験と実績、ワールドカップやCLという大舞台で培った戦術眼やインテリジェンスがある。指揮を執るかつての指揮官・イェンス・ケラーがそれを熟知しているのも心強い。「イェンス・ケラーはケガからの復帰戦だったとしても、終盤から出すんじゃなくて、後半頭から使ってくれた」と内田自身も信頼を口にしたことがあるだけに、恩師とのタッグで完全復活への歩みが加速する可能性も高いのだ。
ウニオン・ベルリンは目下、3試合を終えて勝ち点7の6位。本人は「1部昇格に貢献したい」と話しているが、いち早く新天地デビューを飾ることが第一歩だ。今後は27日のビーレフェルト戦、9月10日のデュッセルドルフ戦、15日のブラウンシュヴァイク戦と続くが、どのタイミングで試合に出て、存在感をアピールできるかがまずは注目すべき点だ。

その先に2018年のワールドカップ・ロシア大会がある。ドイツで多数のメディカルスタッフから右ひざの保存療法を勧められた内田があえて手術に踏み切ったのは、「30歳で迎えるロシアW杯を万全な状態で戦いたい」という思いが強かったからだという。公式戦から遠ざかっている今は、まだ大舞台のことを言える状況ではないが、本人は決して諦めていないはずだ。今の代表右サイドバック陣を見ても、酒井宏樹(マルセイユ)がライバルの加入で出場機会が微妙に減少し、酒井高徳(ハンブルガーSV)も一時的にレギュラーを外れている。若手の室屋成(FC東京)も負傷離脱を余儀なくされており、手薄感は否めない。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も経験豊富な男の復帰を待ち望んでいるのは間違いない。
ブンデス2部からロシア行きというミラクルストーリーをするためにも、内田篤人がピッチに立つことが肝要だ。ウニオン・ベルリンでの雄姿を多くの人々が待ち焦がれている。
文=元川悦子
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