目前まで手繰り寄せていた優勝カップをまたしてもさらわれた。東アジアの頂点を決めるEAFF E-1サッカー選手権、DF昌子源は表彰台の上で歓喜に沸くライバルの姿を遠目に見つめるしかなかった。
今季、鹿島はJリーグ連覇に4度王手をかけながらも最終節のジュビロ磐田戦に引き分け、2位の川崎フロンターレに逆転優勝を許した。「代表は代表」と気持ちを切り替えて臨んだ今大会、最終戦は引き分け以上で優勝に手が届く優位な立場でありながら、韓国に1-4で敗れた。最終ラインを統率した昌子は不甲斐ない結果に「情けない」と嘆く。
完敗だったとしか言いようがない。韓国に4失点するのは1979年6月以来、実に38年ぶり。昌子は「差を感じた」と敗北を素直に認めた。「正直、前の2試合が参考にならなかった。それくらい“別のチーム”だった」と話すように、韓国のプレーからは気迫が伝わってくる。空中戦や球際で強さを発揮し、得点は直接FKや崩しからのシュートとバリエーション豊かだった。
「特にブロックを作るのが速かった。僕と(三浦)弦太が顔を上げた時には、11人が完全に揃っているし、中も締めていた。守備ラインを低くすることで僕らが背後に蹴れないようにしていて、下に速いボールを入れればボランチや両センターバックが潰しに来る。それがすごく徹底されていて、その中で僕らがどういう戦い方をすべきかが曖昧だった」
戦術面でも、気持ちの面でも、韓国には隙がなかった。それは日本戦に対する強い執着心からか。それとも優勝へのこだわりか。どちらにせよ、日本からは「絶対に勝つ」という強い気持ちが感じられず、最後まで韓国に押し込まれた。
「2位と最下位は一緒なんですよね。やっぱりタイトルが欲しかった」
この敗戦を「いい経験になった」で終わらせるつもりはない。表彰式で村井満チェアマンに掛けられた言葉が胸に響いた。「『残念だったけれど、この悔しさだけは忘れないでほしい』と言われました。今シーズンは鹿島も代表も2位で、非常に情けないシーズンだったと思う。ここからははい上がるだけなので、この悔しさを忘れずに次に向かって顔を上げること。この経験を次に生かさないといけない」。韓国戦で味わった悔しさは、成長の糧へと変わるはずだ。
取材・文=高尾太恵子
今季2度目のV逸に「情けない」と嘆く昌子源、この悔しさを成長の糧へ