Jリーグサッカーキング2019年4月号【電子書籍】[ Jリーグサッカーキング編集部 ]
2019年03月01日(金) 19:03キックオフ 等々力陸上競技場
【入場者数】23,927人 【天候】晴、弱風、 気温11.6度、 湿度56.0% 【ピッチ】全面良芝、水含み
【主審】佐藤 隆治 【副審】中野 卓 【副審】武田 光晴 【第4の審判員】小屋 幸栄
明治安田J1 第2節
鹿島、等々力で王者川崎Fと意地のドロー。
アウェイの地でのリーグ第2節、アントラーズは川崎フロンターレと対戦した。前半立ち上がりに先制点を許す苦しい試合展開となったが、伊藤翔のゴールで同点に追いつき、1-1の引き分け。リーグ戦今季初の勝ち点を手にした。
J1開幕戦で大分に手痛い敗北を喫したアントラーズだが、指揮官が指名した先発メンバー11名は、GKにクォン スンテ、最終ラインは右から内田、犬飼、町田、安西。ボランチはレオ シルバと永木亮太がコンビを組んだ。右サイドに土居、左サイドに安部、フォワードにはセルジーニョと新加入の伊藤が入った。またベンチには、曽ケ端、ブエノ、三竿、遠藤、名古、金森、山口が座る。
最初のチャンスはアントラーズに訪れた。4分、左サイドを駆け上がった安西のクロスに、伊藤が飛び込む。ヘディングでゴールを狙ったが、わずかに枠をとらえられなかった。
試合開始早々にチャンスをつくり出したアントラーズだが、伊藤のシュートシーン以降は川崎Fに主導権を握られてしまう。8分、守備ブロックの間を強引にドリブル突破してきた小林悠を倒してしまい、フリーキックを献上。これを中村憲剛に決められた。まさに芸術的なFK弾を叩き込まれ、試合開始早々に追いかける展開となってしまった。
反撃に出たいアントラーズだが、川崎Fのボールポゼッションと激しいプレッシングに苦戦。ボールを奪い返しても、前にパスを繋げない。ロングボールで蹴り出す場面が多くなる。
それでも、アントラーズは21分にワンチャンスをものにする。右サイドバックに入った内田が自陣から最終ラインの裏へロングフィード。伊藤がこのボールに反応すると、相手DFとの競争を制し、身体を前に入れる。後方からのボールに歩幅を合わせて、見事なトラップで足元に収めると、冷静にタイミングを合わせ、右足を振り抜いた。この精密なシュートが相手GKの手をすり抜け、ポストに当たりながら、ゴールネットに届く。アントラーズが同点に追いついた。
さらに、アントラーズは等々力に駆け付けたサポーターからの後押しを受けて攻勢を強める。コンパクトな守備ブロックで中央へのパスコースを締め、ボールを奪ったら手数をかけずにロングカウンター。前掛かりになった川崎Fのゴールを脅かす。
22分には右サイドから永木、土居と繋ぎ、最後は安部がシュート。惜しくも枠を捉えられなかったが、チャンスをつくった。25分にも再び決定機が訪れる。安西が左サイド深い位置で倒されて、フリーキックを獲得。永木の蹴ったボールに、町田がヘディングで合わせると、シュートはゴールネットを揺らした。しかし、これはオフサイドの判定。追加点は幻となった。
チャンスを逸したアントラーズは、細かいミスから主導権を明け渡す。川崎Fが再びボールを支配。アントラーズは守備を固める展開となった。
前半はこのまま終了。数少ないチャンスをモノにし、同点でハーフタイムを迎えたが、守勢に回る時間が長く、苦しい試合展開となった。
後半に入っても、アントラーズは苦しい試合展開を強いられる。川崎Fにボールを支配され、なかなかボールを奪えない。ようやくボールを奪っても、素早いプレッシングを前に選択肢はロングボールに限られ、攻撃に転じることが出来なかった。
指揮官はアウェイで勝ち点3を奪うべく、70分に安部との交代で山口を、84分にセルジーニョとの交代で金森を投入。前線からの守備を強化するとともに、ロングカウンターで追加点を狙った。そして川崎Fにボールを支配されながらも、ペナルティエリア内では自由を許さず、コンパクトな陣形で猛攻を耐え抜く。
後半アディショナルタイム、伊藤に代えて三竿を投入。試合終了間際には川崎Fに決定機をつくられるものの、クォン スンテがスーパーセーブでシュートを凌ぎ、ゴールを許さなかった。
結局、後半は1本もシュートを打てずに圧倒的に攻められ、シュート数では5対18と大差をつけられた。しかし全員が体を張った守りで最後まで追加点を許さず、1-1の同点で勝ち点1を手にしたことは今後につながる戦いだったと言えるだろう。
まだまだこれからだ。
【この試合のトピックス】
・伊藤翔がアントラーズデビューから公式戦3試合連続ゴール
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・後半もセカンドボールに対する反応をすばやく続けていくこと。
・ピッチの中でコミュニケーションをとり、場面場面でしっかり対応していくこと。
・開始からしっかりと試合に入り、必ず勝とう!
川崎フロンターレ:鬼木 達
・時間とスペースを与えすぎている。ボールと人のアプローチをしっかりと。
・相手ボールになったら、しっかり戻ろう。
・攻撃は中と外をシンプルに使っていこう。シュートで終わる。
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
いろいろなアクシデントがある中でこのゲームに臨んだ。今日の90分で言えば、選手たちは非常によく戦ってくれたと思う。
Q.前半の途中から攻撃が活性化されたように感じたが、後半はまた相手にボールを保持される展開となったが、前半のプレーを続けられなかった部分はどのように考えているか?
A.相手が立ち位置を変えてきて、その相手に対して少し受け身になってしまった。前半は体力もあり、正しいポジショニングと次の攻撃に行くための準備ができていて、自分たちのやりたいことをよくできていたが、後半に関してはボールを奪った後のポジショニングが下がっていた分、次の攻撃につなげられなかったのではないかと分析している。
Q.後半にリスタートをゆっくりやっている部分があったが、その時間帯から引き分けでもいいという考えが頭にあったのか?
A.私の頭の中ではなかった。ただ、選手が休みを入れるところや流れを止めるところ、そこの判断だったのではないかと思う。
Q.勝ち点1をアウェイで取れたというところに関してはどのように考えているのか?
A.我々は開幕戦に敗れて、今日の川崎F戦を迎え、勝ち点3を目指して戦った。その中で勝ち点1を取れたというところは選手を評価したい。
川崎フロンターレ:鬼木 達
平日ナイターの試合で多くのサポーターの方に集まっていただいた中で、勝ち点3をプレゼントできずに、申し訳なく思っている。最初から選手たちは気持ちの入ったプレーをしてくれたし、いい形で先制できたが、警戒していたところで失点してしまったのは非常に残念に思っている。後半にしっかり押し込んではいたが、最後のところでもう少し大胆にできたのではないかと思う。
選手コメント
[試合後]
【犬飼 智也】
ボールを奪った後の一本のパスをもっと大事にしていくことができれば、もう少し攻撃できたので、そこは課題となった。しかし、チーム全体で守ることに関してはできたと思うので、一つの収穫になったと思う。
【伊藤 翔】
先に点を取られてしまい、難しいゲームとなったが、何とか同点に追いつくことができて良かった。
【町田 浩樹】
センターバック2人が真ん中でどっしり構えていこうと、犬飼選手とは話していた。その中で守備のところで外に追いやっていくような守備ができたと思う。
【永木 亮太】
相手は上手いし、攻撃の形が多彩なチーム相手に、流れの中で失点しなかったので、そこだけが収穫になった試合だと思う。今日のような試合展開になるのは分かっていた。みんなが準備してきたことをしっかり忠実にプレーで表現できていた。勝利はできなかったが、最低限の勝ち点1をとれたという点に関しては、今後に生きてくると思う。
【内田 篤人】
前節敗戦して、その中で迎えた2連覇中の相手に難しいゲームになると思っていたが、チャンスはあったので、勝ちたかった。全員が、結果には満足していない。
【三竿 健斗】
少しでもピッチに出て、試合の空気感を味わえてよかった。自分が出たときにはギラギラ感を与えたいと思っていた。自分のポジションはコーチングなど声を出す部分が多いので、そういうところでチームに貢献していきたい。
◆2019明治安田生命J1リーグ 第2節(オフィシャル)