◆◆億万長者サッカークラブ サッカー界を支配する狂気のマネーゲーム / ジェーム...
アンドレス・イニエスタに続いてダビド・ビジャも加わって、ますます注目を集めているヴィッセル神戸。今季は国内からも大物選手が続々加入した。特集3回目の今回は、そのひとりである西大伍に”今季のヴィッセル”と、自らが果たすべき役割について語ってもらった――。
毎日刺激を受けられる環境が
すごく魅力だった
鹿島アントラーズからの移籍を決断したのは、プロサッカー選手としての一番の喜びだと考えている”成長”を求めるためでした。もちろん、現状では鹿島のほうが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)など、より高いレベルでの試合を戦えるとは思います。
でも僕の中には「試合に出てさえいれば満足」という考えはなかったし、選手って試合を戦っている時間より、練習をしている時間のほうが圧倒的に長いですからね。毎日のように刺激を受けられる環境があるヴィッセルは、僕にとってすごく魅力でした。
それは当然、アンドレス(・イニエスタ)ら外国籍選手から受ける刺激を期待してのことでもあります。今のところはまだチームが始動して間もないので、外から見ていた時に受けていたのと同じくらいの刺激しか受けていませんが(笑)、実際にシーズンが進んで、僕を含めてそれぞれのコンディションが高まっていけば、必然的に刺激は増えるだろうな、と想像はできる。それが自分のサッカー観に与える影響もすごく楽しみです。
プレシーズンでは、3-3-3-1をベースに流動的にフォーメーションを変化させながら戦ってきましたが、(フアン・マヌエル・)リージョ監督の考え方はすごく面白いなと思います。ただ、このフォーメーションを機能させるには、どのポジションに入る選手にも頭のよさが求められるし、チームの総合力も求められますからね。それぞれの選手がもっと状況を感じて動けるようになれば、面白くなるはずですが、今はまだまだその部分での課題が多いです。
それを機能させるには、僕自身は、もっと監督の言うことを聞くところと、聞かないところのバランスが大事だと思っていますが、正直、今はまだチーム全体が監督のもとでサッカーをしている時間がそう長くはないので、言うことを聞くことに終始するのは仕方がない部分もあるのかな、と。僕も最初はそうしでした……今はもうやめたけど(笑)。
やめたというか、リージョ監督の考え方は理解したので、それをもとに自分のプレーをすればいい、という考え方にすでに切り替わっています。そんなふうに時間が経つにつれて、個々がいい割り切りを持ってプレーするようになれば、チームとしても機能するはずだし、個々のよさも消さずに戦えるのかな、と思います。
でも、その辺は安心してください。僕のコンディションさえ上がれば、チームもきっといい感じになっていくと思います。
自分がチームを変える
姿を見てもらいたい
ということで、今年のヴィッセル神戸の見どころは……僕です!
大丈夫? こんなこと言う選手、います(笑)? でも本気で、僕がチームを変える姿を見てもらいたいと思っています!……と、自分にプレッシャーをかけて、どんどん責任感を与えて、言い訳をしないようにしているんですけど(笑)。でも、これまでのサッカー人生でもずっとそうしてきたし、その積み重ねで今の自分があるんだとも思っています。
それに、クラブが僕を獲得したのは、リージョ監督がやろうとしているサッカーを、よりスムーズに表現するためでもあると思うんです。というのも、監督がやろうとしているサッカーって、教えればできるものではないと思うから。
無論、選手それぞれ、特徴もよさも違うので、”リージョ監督が求めていることをできない=悪い選手”だとは思いません。でもそういう選手も含めて、チームとして機能させていくために僕を獲得してくれた……と、僕自身は受け止めているので。実際に加入してみて、その使命も感じていますしね。
だからこそ、僕のコンディションさえ上がれば、チームも大丈夫かと。そう思えることも、今シーズンを戦っていくうえでの僕の楽しみの1つです。
ただチームが”タイトル”に近づくには、そうしたピッチ上のことだけじゃなくて、変えなきゃいけないこともたくさんあるんじゃないかと感じています。もちろん”タイトル”には獲り方なんてないし、僕もそれはわかりません。
でも、少なからず鹿島での経験をもとに考えるなら、クラブとしてタイトルを獲らないことが普通とされているのか、獲らなきゃダメだと言われるのか。そして、口で言うだけでも、願うだけでもなく、誰もが本気で……日々の練習からどのくらい本気で、それを強く求めているのか、なのかなと。あとは1年を通してずっと同じテンションで戦えるわけではないなかで、ピークをどこに持っていくのかとか、運も必要だと思います。
じゃあ、その運はどこから来るかと言えば……僕は日々の生活や練習の中からやってくると信じています。だから、今日も自分発信で「洗濯物を裏返しで出さないようにしよう」って決めたところです。人によっては「そんなこと?」って思われるだろうけど、そういう小さな積み重ねが運につながっていくものだと思うから。
実際、鹿島ではそういうことから意識していたし、だから僕も普段からそう信じて、道を歩いていてゴミが落ちていたら、拾うようにしています。そしたら、点が取れるんです。嘘みたいな話ですけど、本当です(笑)。
信じるか信じないかは自由だけど、僕はそういうこともすごく大事にしたいし、今後もどんどんみんなに言っていきたい。とくにこのクラブは……若い選手ほど、ピッチより私生活のところで言うことが増えるかな、と思っています。
『神戸讃歌』を聞けば
選手の気持ちも昂るはず
ホームのノエビアスタジアムは本当にいいスタジアムで、いいイメージしかありません……だって、勝てるから(笑)。昨年の終盤戦も僕、ここで点を取りましたしね。これは、鹿島としてというより、僕と相性がいいと思ってください。だから、僕がヴィッセルの一員になったということは最強です。なので、今年はヴィッセルの一員として、あのスタジアムでたくさん勝ちたいと思います。
チームの見どころは……僕を楽しんでもらいたい。あ、僕とチームのプレーを、かな(笑)。
そう言えば、あのスタジアムで試合前に歌われる『神戸讃歌』ってあるじゃないですか? この間の新体制会見のときにサポーターのみなさんが歌ってくださって初めて聞いたんですが、すごく想いの込められた、いい歌だと思いました。
でも、聞くところによると、僕らがアップを終えて、ロッカールームに戻っている間に歌われているそうなんです。それじゃあ、もったいないなと。だって、それだと僕たち選手が聞くことができないから。
だから、あれをできれば今シーズンは入場のときに……バルセロナのアンセムみたいな感じで歌ってもらえないかなって思っています。尺の問題とか、いろんな問題があるんでしょうけど、そのときだけ歌詞をコンパクトにするとか少し工夫していただいて、ぜひ歌ってほしい。
そうしたら間違いなく、僕たち選手の気持ちも昂ぶるだろうし、スタジアムの雰囲気ももっとよくなる気がする……って、そんな簡単には実現しないかもしれないけど、せっかくヴィッセルの一員になったからには、そういうことも含めてどんどん意見を出していきたいと思います!
と同時に、プレーでも観に来てくださった方が応援をがんばるとか、そういうことじゃなくて、純粋に僕らの試合を観て楽しんでほしいし、また観に行きたい! と思ってもらえるプレーをしたいと思っています。